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極道の義兄ができました  作者: リラックス夢土


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第20話 食い逃げ犯



 なんだろう、この光景は……



 店のお客さんや従業員たちの視線を集中させているひとつの席を見て小さく溜め息を吐く。

 暁刀さんや愛斗さんを食事の席に案内しようとしたら二人は天飛さんの存在に気付いた。


 まあ、この店に場違いな御曹司の姿があれば誰でも気付くと思うが。

 すると天飛さんが「お前たちが別々に座ると席を独占して売り上げが落ちるから俺と同じこの席に座れ」と弟たちに命じたのだ。


 店の売り上げのことを考えてくれたのはありがたいがおかげでひとつの席にイケメン御曹司とイケメン王子様とイケメン大学生の図というのが出来上がってしまいみんなの注目を集めてしまっている。



 できれば目立って欲しくないんだけど。

 でもあの三人に目立つなって方が無理か。



「ねえねえ、凛子ちゃん。あの三人ってどういう関係なの? まさか凛子ちゃんはあの三人と付き合っているとか?」



 優香ちゃんが興味津々で私に尋ねてくる。



「あの三人は兄弟です。それに私と付き合っていませんから」


「え~、そうなんだあ~、凛子ちゃんの逆ハー期待したのに~」



 逆ハーレムなんて勘弁して欲しい。

 義兄だってだけでもこっちは大変な思いをしてるのだから。


 そうは思っても私の視線は天飛さんに向いてしまう。



 天飛さんとなら付き合ってもいいかな。

 何度見てもあの顔は私の好みなんだよな。



 同じイケメンでも微妙に差はある。

 あの三人の中で一番誰が好みのタイプかと言われれば私は天飛さんなのだ。


 俺様系ではあるが仕事はできるし有言実行の性格も惹かれてしまう。

 自分の組で麻薬を取り扱わないためにそれに代わるシノギで稼ぐのは大変だと思うのに天飛さんはそれを実践しているのだ。



「オムライス三つできたぞ」


「はい」



 出来上がったオムライスを持って私は三人のテーブルに向かう。



「お待たせしました。特製オムライスです」



 三人の前にオムライスを置くと三人は嬉しそうな笑顔を浮かべる。



「オムライスを食うのは子供の時以来だが凛子のオムライスならこれからも食いに来てぇなぁ」



 できれば今回だけにしてください、天飛さん。



「リンリンのオムライスだったら毎日食べてもいいわ」



 毎日オムライスだと栄養が偏りますよ、暁刀さん。



「凛子さんのオムライスなら絶対おいしいに決まっています。味わうのが楽しみです」



 いえいえ、作ったのはこの店のシェフです、愛斗さん。



 なぜか三人はこの店のオムライスを私のオムライスだと呼ぶ。

 私が作ったわけではないのに。



「ごゆっくりどうぞ」



 それでも仕事中はこの三人はお客様であることに変わりはない。

 さっさとオムライスを食べてこの店を去ってもらいたい。



「凛子ちゃん、レジお願い!」


「はい!」



 優香ちゃんの声に反応して私はレジの前にお客がいることに気付く。

 若い男性で黒い帽子にサングラスにマスクをしていて人相が分からない。



「お待たせしました。お会計は1200円になります」



 私が笑顔でそう言うがその男性は財布を出さずにソワソワしている。



 どうしたんだろう、この人。



 そう思った瞬間、その若い男が会計をせずに店の扉を開けて外に走って行く。



「食い逃げよ! 待ちなさい!」



 とっさに私もその男を追って外に飛び出した。

 その男が必死に逃げて行こうとしているのを見て私は大声で叫ぶ。



「その人食い逃げ犯よ! 誰か捕まえてえぇーっ!!」



 すると私の隣りを駆け抜けていく三つの影。

 その三つの影は瞬く間に食い逃げ犯に追いつき捕まえる。



「おい、てめぇ! 凛子の店で食い逃げするとはいい度胸じゃねぇか! 山に埋めるぞ、コラァ!」


「リンリンのオムライスをタダ食いするなんて、海に沈めるわよ! アンタァ!」


「山に埋めるのも海に沈めるのも面倒です! クソ野郎の遺体はゴミ捨て場に捨てましょう!」



 三つの影だと思ったのは天飛さんと暁刀さんと愛斗さんの三人だったようだ。

 天飛さんが食い逃げ犯の胸ぐらを掴み締め上げる。

 このままでは食い逃げ犯の命が危ない。



 いけない! このままじゃ食い逃げ事件じゃなくて殺人事件が起こっちゃう!



「天飛さん! 暁刀さん! 愛斗さん! ストーーップ!!」



 私が大声で叫ぶと三人の義兄が私を見た。



「止めるな、凛子。こいつは凛子にケンカを売ったんだぜ。ケジメをつけさせなきゃなんねえ!」


「そうよ、リンリン。リンリンにケンカ売るなんて僕がケジメつけてあげるわ!」


「凛子さん。ケンカをなめられたら終わりです。やる時は徹底的に潰すのが基本です。私がケジメをつけさせます!」


「ケ、ケンカを売られたのは私ですから私に、ケ、ケジメつけさせてください!」



 そんなに「ケジメをつける」ことが必要ならケンカを売られた私がケジメをつければいいはず。

 とにかくこの場で殺人事件が起こることだけは避けたい。



「仕方ねぇな。凛子がそういうなら俺たちは手を出さねぇ。凛子自身でケジメつけろ」



 天飛さんが食い逃げ犯の男から手を離すとその男はその場に倒れ込んだ。

 どうやら天飛さんたちの迫力だけで恐怖で気絶したらしい。



 ふう、食い逃げ事件が殺人事件にならなくて良かったな。

 この三人を怒らせないように注意しなくちゃ。


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