7.鏡の前のリカ。後編
まさか鏡の中の自分が別の動きをするとは思わなかった。これからしようとしていた動作が先に実現されている。まるで時間感覚が狂ったように感じられた。あるいは自分の頭の方がそうなったかとも思ってしまう。
いい機会だとおもった。しばらく現在の自分と生き別れてしまった未来の自分を観察してみる。未来のあたしは見られているのに気付かないまま、肩をすくめて前髪をいじっている。
まるで小動物のようだ。いますぐにでも食べられてしまいそうである。いつもとは違う印象にリカはもしかしたらこの子は内なら自分ではないかと仮説を立てた。
弱い自分をいつも感じていた。不安になって周りを気にしてしまうことは毎日だった。
縁起はよくないとは思ったが話しかけてみた。どうやら仮説は当たって性格が真逆であった。常にビクビクしてるという有様だ。
もしかしてこれが本来のあたしなのかもしれない。隠していた弱い面を彼女は前面に押し出していた。
だから、彼女に相談した。片思いの恋愛を叶えたいとアドバイスを求めたのだ。弱いあたしなら何が不安なのか理解しているだろうと。勇気を与えてくれるだろうと。
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