こんにゃくコーヒーは大人の味
魔プリ1-7
こんにゃくコーヒーはあらゆる苦味を凝縮してスライムに詰めたようなものだった。この苦味が人によってはうまい…人によっては苦手…そう、人の口の数ほどそれぞれ感じるうまさがあるのだ。ああ…こんにゃくコーヒー…かつてこの世に十人十色の言葉がこれほど相応しい食べ物無いであろう。
王子は残念ながら後者であった。
カップの中を恐る恐る覗く。まだ半分以上あるが、彼女の前でこれを残すわけにはいかない…。
「やっぱり少し苦かったかな…?」
「あー!いや!そんなことは無い」
苦いのがニガテなんてまるで子供ではないか…!そう思っているとふっと奇妙な違和感に襲われた。その気配は徐々に近づいてくると思わず王子はその椅子から立ち上がった。
「な…!?」
なんだこの威圧感は…!?
一枚ドアを挟んだ向こうから今まで感じたことのない威圧感…殺気を感じて王子は思わず椅子から立ち上がった。身体中の毛穴という毛穴が開くのが分かる。
「ど、どうかしましたか…?」
「アンタは下がっていてくれ!」
人間族に嗅ぎつかれたのだろうか。しかし、魔王の息子である自分にこれほどのプレッシャーを与える人間族など、そうはいないはずだ。
王子はなにか武器になるものはないか、と辺りを探るがなにもない。当然だ。ここは人間界の喫茶店。
その間にギィ…と店のドアが不穏な音を立てて開いた。
「おっじゃっまー⭐︎」
現れたのは金髪の長い髪を一つに束ねた細面の陽キャ男だった。