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【書籍化・漫画化】あの日助けた幼い兄妹が、怒濤の勢いで恩返ししてきます  作者: 新高◆恩返し兄妹2巻4/15発売
コネタ

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浮気(クラウド)

「隙があろうがなかろうが、公務以外はレナに全振りしているカリンにそんな暇があると思うのか??」


 面倒くさい、というのを微塵も隠さずそう言い切るのはカリンの婚約者で王太子でつまりはクラウドその人だ。

 いやほんとそれ、というカリンに対する解像度の高さに、レナとエリアスは思わず素で拍手を送ってしまう。

 それはさておき、大国ザーヴィングランの王太子相手に、その婚約者が浮気をしているようだと言うのはかなりの危険性を伴う。いくら夜会の場で、酒が多少なりとも入り、外交を重ね気心の知れた相手だとしても、である。


「……殿下とそこまで親しいわけではない方ですよね?」

「あくまで最低限の親交を重ねているだけですね」


 見目麗しい王太子は常に気品溢れた姿でいる。それを今、この瞬間まで崩していなかったのはつまりは目の前で乾いた笑いを浮かべている隣国の公爵子息、はその程度の相手であるのだろう。


「お相手はでも凄く衝撃を受けてません?」

「殿下と親しいと思いこんでいたら、初めて見る顔と態度で驚いているんでしょう」

「まあ突然あの態度されたらビックリはしますね」

「流石の外づ…普段は貴族の手本となるべく己を律しておられますからね」

「聞こえてるからな!」


 話の途中で別の相手に声をかけることも珍しければ、こんなツッコミを入れる姿も外で出すのは初めてだ。渦中の公爵子息どころか周囲もチラチラと様子を盗み見る。


 はぁ、とクラウドは一つ息を吐いた。

 クラウドだってもう少し、いつものように、軽く流すつもりでいたのだこれでも。

 だが、そうは思っていても自分が何よりも大切にしている相手を侮辱されては考えるより口が動いてしまったわけで。


 あとはあれである。ここでクラウドがほんの少しでも躊躇していたらエリアスがキレていた。そしてそれよりも速くレナが逆関節をキメにいっていたのだ間違いないだってレナはダッシュするためにドレスの下で靴を脱いでいるしエリアスの手は腰の剣に触れている。


 ――お前たちの暴挙を止めてやったことに感謝しろ!!


 そんな無言の圧力がビシバシと飛んでくる。レナとエリアスは先程よりも大きな拍手を送った。


「まずもってカリンは浮気なんかしない」


 うんうん、と妹を溺愛、では生ぬるくらい愛している兄姉は大きく頷く。


「そんな暇があったらレナに注ぎ込む」

「……いや、さすがにそこまでは」

「そうですねカリンは本来全ての時間をレナに使いたがっています」


 俺もそうですし、と残念極まるエリアスの声は小さかったので隣にいるレナにしか聞こえない。しかしレナがひぇ、とおののくその反応で、クラウドは会話の中身を察する。


「公務でどうしてもレナに使う時間が減るとしても、そこを差し引いても結果としてカリンにとって最適な環境を与えることができるのは、この国、いや、この世界で俺しかない!」


 クラウドによからぬ噂を聞かせた公爵子息は最早涙目だ。そんな彼の前でクラウドは朗々と告げる。


「だから、カリンが浮気をするなどありえない!くだらないにもほどがある!」


 我に返るとツッコミしか出ないクラウドの言葉であるが、場の雰囲気が「王太子がなんだかとても素敵なことを仰っている」というものだから、レナとエリアスだけでなく周囲からも拍手があがる。


 しどろもどろで言い訳をしようとする子息を肩越しに一瞥だけくれ、クラウドはレナとエリアスの元へ向かう。


 と、その視線の先、ホールの入り口で顔を真っ赤にしてぷるぷると震えるカリンがいた。

 パァ、とクラウドの表情が輝く。あっこんなところも似てる、とレナは美形の満面の笑みが眩しくて目を細めた。周囲では令嬢達の黄色い悲鳴まで上がる。


 駆け寄ろうとするクラウドを前に、カリンが照れと羞恥とでもこれだけは言わなきゃ、という乙女の勇気を振り絞って告げた。


「ちゃ……ちゃんと殿下のことも好きだもの!」


 普段、恥ずかしがり屋で中々そんなことを言わないカリンである。

 そんなカリンが赤くなりながらもクラウドの目を見て愛の告白をするものだから、当然クラウドの動きは固まり――


 華麗にターンを決め、カリンはそのまま逃げ出した。半秒遅れてクラウドも追う。お互い猛ダッシュしたいだろうに優雅に逃避と追跡が始まるのはいっそ見事だ。


 常日頃は貴族の、民の範たれとしている二人のそんな、年相応の姿に一際大きな拍手と歓声があがり、この話は微笑ましい一組のカップルの話として広く語られていくのであった。





「今回の噂ってあれですよね?カリンが殿下のために私に刺繍をこっそり習いにきている、その動きが怪しいっていう?」

「まあそれがなくても、火のない所に煙を立てるのが一定数いますから」

「それにしても、殿下はとても良くカリンを理解しているのに、肝心なところを分かってないですよねえ。いくら私といられるとしても、カリンは好きでもない相手と結婚なんてしないのに」

「それは……そうなんですが……そこに関しては恋仇があまりにも強すぎるので」

「なんですか?」

「いえ、なんでも」


 なにはともあれ、その後カリンとクラウドの仲はより一層深まったので良しである。












卑下しているわけではなく、世界の理的に「カリンの一番はレナとエリアス」だから、その次にいる俺は実質一番、と思っているクラウドと、お姉様お兄様とは別名保存してるだけで大事なのは同じなの!!なカリンです。


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