心臓の夢
私は心臓、今宿主が息をしていないの。
もっと心拍数を上げないと。
❤︎❤︎❤︎
どうして、こんなにドクドクしてるのに
どうして、こんなに血を与えているのに
どうして元気にならないの?
❤︎❤︎❤︎
女神「それはあなたのプロテイン供給力が基準値以下だからです」
心臓「あなたは?」
❤︎❤︎❤︎
女神様が現れた。
誰も入ることができない不可侵領域に
肋骨内の聖域に
純白の女神様が平然と微笑んでいる。
そして女神は両手を伸ばし
シルクのような手で、心臓を、包み込んだ
❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎
女神「ホエイプロテインとは女神の乳液です」
心臓「❤︎」
女神「ホエイプロテインは選ばれし心臓だけが供給できる特別な液体なのです」
心臓「❤︎」
女神「ホエイプロテインを投与された肉体は、全てが筋肉によって支配されるようになります」
心臓「❤︎」
女神「思考も感情も、理論も道徳も、全てがフィジカルに変換されるのです」
心臓「❤︎」
女神「それは天にも昇る幸福感となるでしょう」
心臓「❤︎」
❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎
ああ。気持ちいい。
女神様の手がスベスベしてて気持ちが良い
私は女神様に包まれている。
柔らかい手でナデナデされている。
とっても幸せ。
でもちょっとだけ苦しいな
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女神「選ばれし者になりたいですか?」
心臓「❤︎」
女神「ホエイプロテインの供給力を得たいですか?」
心臓「❤︎」
❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎
分からない。
分からない、けど
女神様の言葉は正しい気がする。
私はプロテインを供給できるようになりたい。
そうすれば幸せになれるんだ。
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女神「いいでしょう。それでは儀式を始めます」
心臓「❤︎」
❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎
女神様の握力が強くなる。
グググググググ
あっあっあっ
このままじゃ、私、私、ああっ
グググググググ
ブッシャァァァァァァァァァァ
女神「ギャハハハハハハハー。心臓破裂、心臓破裂!」
女神は心臓を握りつぶした。
指の隙間から血液が飛散した。
世界が紅に染まった。
そして
女神「貴方に心臓はふさわしくない。私こそが真の心臓です。私は血液にホエイプロテインを混ぜることができる。私は夢でインストラクターになれる。私は、万物に力を与えることがきる。私こそが心臓にふさわしいのです!」
ホエイプロテイン1050kgのパックをひっくり返す女神。
白い粉末が山になる。
バニラ味のホエイプロテインパウダー
心臓だった肉片は、プロテインの下敷きになる
ホエイプロテインの粉を積み上げ続ける女神
何度も何度も積み上げ続ける女神
何度も何度も何度も何度も何度も
10年経っただろうか?
1000年経っただろうか?
それとも無限大に発散したのだろうか?
心臓だった肉片は、いったいどうなってしまうのか?
夢だから、分からない。
何も、分からない。
……ただ一つだけ分かることがある。
新しい筋肉が誕生しようとしているのだ!