表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

じゃんけん大会で勝ったら賞金百億円負けたら死ぬ

作者: 藻岩 憧

 今ここは、じゃんけん大会の決勝だ。


 日本のざっと半分が参加していて、最後に勝つと百億円もらえる。ただし最後で負けると死ぬ。

 ざっと半分というのは、二人一ペアでじゃんけんして、ちょうど26回勝つと100億円で、25回勝って次で負けると死ぬように人数整理の抽選が行われているからだ。

 それで、俺は25回良くも悪くも勝ち続けたんだ。


 決勝なだけあって注目度は十分すぎる。多分全部のテレビ局やらなんやらが集まっている。どっちが勝つかの予想なんかも行われているみたいだ。

 もっと大事な話題もあるだろうに。

 顔はもちろん名前も知られてる。25戦の出した手の傾向も知られてる。こんな形で無駄に有名になるなんて。


 相手の人は何が何でも100億円を手に入れようとしているようだ。つまりやる気は十分ってわけだ。何なら負けて万が一死ななくても自殺さえするような気迫さえ感じる。何なら今すぐにでも殺しにかかってきそうだ。


 俺は実際こんなところに来る気はなかった。6000万だか7000万だかのうちの2人のうち片方になるなんて、思ってもいなかった。

 そりゃ最初はもしかしたら100億かもよ、なんてふざけあっていたけど、今では会う人合う人、今生の別れかと感情的な奴とか、やたら関わってきたり恩を売ろうとしてきたりする奴ばかりだ。みんな100億のおこぼれを期待しているんだ。

 セミナーやらなんやらの招待が山ほどくるし、顔も名前も知らない親戚が来る。気が休まる暇もない。


 もし勝っても更に地獄だろう。顔も名前も知られている、100億円を無防備に持っている人になるんだ。いい鴨だ。

 ネットなんて見てられないし、ちょっとした行動にも周囲の目がやってくるだろう。

 もういっそこの決勝に来る前に、ユニセフだか何とか基金だかに連絡して、100億寄付する約束を取り付けて、決勝が終わったその場で寄付するなんてできていれば、こんな悩みはしないだろうが、もはや後の祭りだ。


 いっそ負けたほうが文字通りの天国に逝けるかもしれないな。

 俺にだって夢はあったんだ。そのために勉強して、いい大学だって入れた。もっと親孝行もしなきゃだし、可愛い彼女や一生の親友だってそうだ。やっぱり負けるには惜しい。


 ああ、もうじゃんけんが始まる。本当に嫌だ。死にたくない。生きたくない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ