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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第二十章 キセキ視点 後日談

夏の訪れは

彼女を待ってはくれない

そうして、『報酬金の始末』にある程度区切りがついた頃、村に一人の女性が顔を出した。

よく見るとその人は、あの村長の娘さん。会ったばかりの痩せ細った体とは思えないほど、健康的な肉体を取り戻していた。

髪もきちんと整えられていて、草履を履いて来た足は、もう傷だらけなんかじゃない。娘さんは私を見ると飛びついて来て、その力に圧倒されていた私と、不思議な目線を送る皆。

奥さんは、残念ながらもう亡くなってしまった。今まで旦那である村長にこき使われた反動らしい。

でも奥さんは、呪縛から解放された喜びで、体から一気に力が抜け、布団の中で安らかな笑顔を皆に見せていたそうだ。

そして奥さんから私への伝言で、「天の上で、あなたを見守っています」と言ってくれた。

娘さんはというと、全壊した村の復興に勤しんでいるそうだ。サバネも協力して、もう家が粗末ながら建ち始めているらしい。

東京へ繋がる道を整え、『生メル森』の復興も進められて、今では外から来た旅人も、復興に尽力してくれるそうだ。

私もその復興作業に行きたかったけど、色々とバタバタしてなかなか行けなかった。『報酬金の始末』をしている間に、また仕事を受け持ってしまったから、その出発前に娘さんが来てくれて良かった。

次の行き先はそれほど遠くないけど、また色々と面倒くさい事情に巻き込まれる事になりそうだ。でも、ウメやサバネの様に、勇気ある行動を自ら進んで行う人々を支え、守る為にも、この責務を全うしたい。

ちなみに村長のその後だが、命までは無事だったが、今は見ず知らずの地で強制労働させられているとか。

村の人々から強奪した分、村を好き勝手に改良して、全壊させた分などを考えると、きっと村長はその場所から出る事のないまま、一生を終えるんだろうな。

でも同情なんてしない、むしろ清々しい気分だ。今回の都の対応は、遅かったにしろ的確ではあった。

村の復興に一体どれくらいの時間がかかるのかは、まだ不透明だけど、強い意志を持つ人々が集えば、あっという間に元の穏やかで活気ある村に戻るであろう。

その頃には、この天野原も変わるかもしれないし、変わらないかもしれないし・・・。

まぁ、未来は見えない方が楽しいし、頑張りがいがある。これからサバネ達が作り上げる村がどんな変貌を遂げるか、楽しみだ。






「そういえば、巫女さん」


「ん?」


「巫女さんって、一体何歳の頃から『陰陽師』を務めているんですか?

 経験も知識も豊富だし、なんだか・・・随分昔から、陰陽師として活動している話も聞いている 

 し・・・

 その『随分昔』って、一体どれくらいの年月の・・・




「娘さん


 こんな言葉を知らない?


 『知らない方がいい事もある』って」

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