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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第二十章 キセキ視点 後日談

そして、一息ついた後に待っている仕事は、『報酬金の始末』だ。持ってばかりいても宝の持ち腐れになるだけ、でも大金を要して欲しい物、やりたい事もない私は、大抵報酬金を村につぎ込んでいる。

壊れてしまった家などの修理費、子供達への教材など。でも私は、東京への買い出しは殆ど行かない。神社で働く巫女や宮司、村民に直接お金を渡して行かせている。

面倒くさい事もあるけど、東京へ行く度にからかわれていたら、行かない方がマシ。仕事関係でよく東京には出向いているし、わざわざ私情で行く必要はないと思う。

でも、「一緒に行きましょう!」とお誘いがあれば、仕方なく行く。今回も巫女達に引きずられる形で、東京に連れて行かれた。

買い物の途中、私をジロジロ見ている男達に声をかけられそうになったけど、巫女達がガルガルと威嚇してくれて助かった。

周りから見たら、だいぶ奇妙な集団に思われたかもしれないけど、久しぶりに楽しい買い物が満喫できた。

「師匠は髪も綺麗なんだから、髪飾りをもっと揃えるべし!」


「職人の草履なら、長い旅でも足が疲れないよ!」

と、私に色々と買う物を要求されて、その押しに負けてしまった。結果、私を含めた巫女の四人は、帰り道息を切らしながら天野原へ戻る。沢山の手土産を両手に抱えながら。

子供達には、東京で流行っている西洋菓子の「かすてら」を買ってあげた。私も自分用で買ったけど、すごく美味しかった。

気の良い商人に「かすてら」の作り方を教わったけど、案外作りも材料も安易だったから、今度試しに作ってみる事に。

農家の皆さんには、新しい農具や掃除道具、質屋さんには、新しい算盤を買ってあげた。あまりにも多い荷物を背負って帰って来た私達に、皆はだいぶ驚いていたけど。

後から分かったのだが、巫女達は別に東京に行きたかった訳ではなく、私と一緒に買い物がしたかっただけらしい。

でも確かに、巫女達に連れて行かれなきゃ、東京のハイカラな文化に触れる事なんてまずない。その晩、私も巫女達も疲れで熟睡していた。それほど、慌ただしく楽しい時間を過ごしたから。

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