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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第二章 キセキ視点 山から訪れたのは・・・

しかし、サカネイさんの腕には、かなりボロボロになっている、一人の少女が抱えられていた。

私はすぐに分かった、この子が村の住人ではない事に。そしてサカネイさんの困惑した様子から、何となく事態は察せた。


「その子・・・もしかして森の中で倒れてたの?!」


「あっ・・・あぁ・・・・」


サカネイさんも、助けるのにだいぶ苦労したんだろう。何故なら彼は、ずっとこの村で一人暮らしをしているんだから。

でも元々、サカネイさんにも奥さんや子供が数人いた。でも、『異様な存在』によって家族を惨殺されてから、この村に住み始めた。

幼い頃の私とはあまり会わなかったけど、サカネイさんが獲ってくれる獣肉は、どれも大きくて味も良かった。大人になってから、何故サカネイさんが私と微妙な距離を置いているのか何となく分かった。

きっと私を見ていると、亡くなった妻や子供を思い出してしまうんだろう。もちろん私にそんなつもりはない。

だから余計に、付き合いが難しかったんだろう。でもサカネイさんは不器用だけど優しい人。それは村の全員が知っている。

そんなサカネイさんだからこそ、傷ついた子を山に置き去りになんてできなかったんだ。だから猟を一時中断して、少女を私の元まで運んでくれた。それでもう十分。

私はサカネイさんの腕に抱かれている少女を抱えて、後ろを振り向き大声で他の巫女達を呼んだ。私の声を聞いた巫女が数人集まってくれて、私は応急処置をする準備を始める為に、少女を神社の中に入れた。

サカネイさんは一安心した表情で、再び山の中へ行ってしまった。少女の代わりにお礼が言いたかったけど、それはまた後日。

サカネイさんが好きな栗金団くりきんとんを持って行く事にした。

神社には、旅人などが泊まれる部屋も用意してあるから、そこに布団を敷いて少女を寝かせる。

他の巫女は応急処置の準備、私の他にも医療の知識を持っている子もいるから、その子と一緒に応急処置を始めた。

別に私は、「医学を勉強しろ!」なんて一言も言った事はない。私が持っている医術などの本を見て、私と同じ様に勉強してくれた。

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