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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第十七章 サバネ視点 全力を振り絞って・・・

「自分に、まだできる事があるのなら

 全力でそこへ向かいたい

 

 それが『罪滅ぼし』だとしても

 僅かに残された『希望』だとしても」

自分には分かっていた、あの巨木の正体が。だって、あんな芸当ができるのは、『あの子』しかいない。そして、その巨木が村を飲み込んだのも、自分のせいだ。自分は『あの子』に全てを賭けてあげたのに、『あの子』は俺の為に、一生懸命此処まで辿り着いたのに・・・。

彼女を自暴自棄にさせてしまった結果、村は完全に大破してしまった。でもその光景を見て、少し胸が軽くなってしまう。

前と比べて、随分変わってしまった景色。それを見た『あの子』が、ショックを受けない筈がない。

もしかしたら、どの道『あの子』は、自暴自棄になって村を壊す事は、変えることのできない運命だったのかも。

でもその責任は、人間でありながら、村を村長の意のままにさせてしまった自分にも責任がある。お金の欲に負けてしまった村長が怖かった事もあるけど、そんなの、村の皆だって同じ事。

それに自分は、村長さんの一番近くで世話をしていたのに、村長さんの異変を、誰よりも早く察していた筈なのに・・・。

村長さんを止める機会なんて、いくらでもあった。でもいろいろ考えているうちに、村長さんはあっという間に変わってしまう。

村長さんの奥さんや娘さんすらも守れなかった自分は、もうあの二人にあわせる顔なんてない。むしろ、自分が一番罰を受けるべきなんじゃないかと、意識を失う間際に思った。

自分は気絶程度で済んだけど、それでは済まされない人だって沢山いる。そして、自分が、崖から落ちた時に目を覚ましていれば、『あの子』を此処まで追い詰める事はなかった筈。

結局自分は、命の恩人を誰一人として助ける事はできず、ただ後悔ばかりを続けているだけの、ひ弱で憶病な人間。

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