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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第十二章 キセキ 過去編

「・・・・・随分遅い対応ですね

 もしかして、私の腕を疑っていたんですか?」


「あっ!!!いえいえ!!!

 そうじゃ・・・ないんですけど・・・

 なんせ・・・我が国は今、急速な成長を遂げる為に・・・」


「私が聞きたいのはそんな事ではないんです

 どうしてこんなにも対応が遅いのか聞いているんです

 結局ツケが回って来て困るのは、貴方達ではありませんか?」


「・・・・・・・っ」


黙り込んでしまったお偉いさん、私が一言発するだけでビクビク怯えている。

まるで、拾って来たばかりの子犬か子猫を見ている様な気分。でも、拾ったわりには随分育ちがいい体格をしているけど・・・。

でも私は、こうゆう「周りくどい」人は大嫌い。だから手っ取り早く話を決めた。私が札束の包まれている敷物を手に取ると、お偉いさんの顔が一気に明るくなる。

そして私は同時に、異変の資料も手に取った。その行動は予想外だったのか、お偉いさんは空を掴みながら口を動かそうをしている。でもこの資料も、異変解決の為に必要な物。

お偉いさんにとってこの資料は、自分達の怠慢そのものだから、誰にも見せたくないんだろうけど、そんな事気にしていられない。

怪鳥が出現する場所が不透明な現状で、この資料は次の出現場所をある程度詮索してくれる鍵となる。

それでもまだ、お偉いさんは「資料を返せ」とごねていたから、敷物を返す素振りをしたら、すぐ黙ってくれた。

私は、地位が高い人、資産家などと話すのは、あまり好きではない。そうゆう人の標的になりやすいのは、社会と逸脱した存在でもある、『私達』だから。

でも、いくら地位や財産を持っていても、解決できない事なんていくらでもある。私が専門とする職は、特にそうなのかもしれない。

妖怪などが見えるだけでは解決できない例もあるし、戦えたとしても、力が弱ければ逆に返り討ちに遭う。

私がこの職の筆頭格だからこそ、今目の前にいる男は、これほど低姿勢なのだろう。私がコロコロ態度を変えると、相手もコロコロ態度を変えるから、その姿が滑稽で笑いそうになる。

ある意味私も、目の前の男と同じく、意地が悪いのかもしれない。

こうやって、立場の高い人間の様子を観察しながら、揚げ足をとっているんだから。

でも、それが申し訳ないと思った事は、何故か一度もない。何故なら彼らは、私の頑張りを、決して世間に公表しようとはしない。

それどころか、お偉いさんはこの天野原を、決して世間には出さないように画策しているんだから。正直お偉いさんの持って来る仕事は、『拒否』を前提に考えている。

今回の場合、多勢の人間が被害を被っているから承諾しているだけ。お偉いさん方の個人的な仕事は、どんなにお金を積まれても承諾なんてしまい。

一度、「引き受けないと、この村自体を潰す。多額の弁償額を払ってもらう」なんて、恐喝紛いな仕事の依頼人もいた。

でも、抜かりなく色々と『そっち系の情報』をちらつかせれば、すぐ大人しくなる。本当にあの時は、聞き分けのない子供のしつけをしている気分になった。

今回の依頼主はまともな方だったから、お偉いさんは私が仕事を承諾すると同時に、そそくさと去って行く。

改めて敷物の中に入っているお金の金額を見ると、だいぶ多かった。きっと、口止め料も込みだろう。

そして、お偉いさんが去った天野原は、再びいつもの活気を取り戻す。神社の境内に隠れていた巫女や宮司も姿を現した。

別に、皆がお偉いさんに会っても一向に構わないんだけど、この天野原に限っては、そうもいかない人々が殆ど。

サカネイさんの場合、狩猟を言い訳に山へ登り、お偉いさんが帰ったと同時に、沢山の獲物を持って来てくれた。


天野原の皆はこれで一安心だけど、私にとって、一番の山場はここから。今回は、相手の数が多い事もあって、仲間である巫女や宮司を引き連れて向かった。

もちろん個々の力量を秤にかけて、ふさわしい人のみ、同行を許した。でも、相手は予想以上に強者だった。

数が多い事は見越してはいたんだけど、相手の執念深い根性に手を焼いて、結局ケリがついたのは、一週間くらい経過した後。


主に『ご機嫌取り』が・・・

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