第十九章 キセキ視点 衝撃
「・・・きっ・・・・・
キセキさん!!!」
突然後ろからサバネの声がしたので振り返ってみると、サバネはその場に跪いたまま動けない様子。必死に足をさすりながら青い顔をしているサバネ、どうやら足を挫いてしまったらしい。
いくら丈夫とはいえ、焦って痛んでいた足に負荷をかけてしまえば、当然体は悲鳴を上げる。
でもサバネは、必死に歩こうをして、前に進もうと息を切らしている。しかし、さすがにこんな状態で動いたら、体の負荷が増えるだけ。
「私が行ってくる!!!
無理せず休んで!!!」
そう言い残して、私は先を進む。後ろからサバネの声が響いていたけど、早くしないと私もサバネも妖気に負けるかもしれない。
とにかく妖気を出しているモノを見つけて討伐しないと、この事態は収拾できない。私は根を飛び越え、岩を駆け上る。
そして私は走りながら、過去の記憶を思い出す。そう、私はこの妖気を、随分前に感じた事があった。
そして同時に、私の考えていた『最悪な結末』が頭を過る。
私は無意識に独り言を呟きながら、必死に走っていた。
「・・・お願い・・・『思い出さないで』・・・
私の意思も・・・貴女の意思も・・・
無駄にしたくない・・・!!!」
飲み込むは
積み重なる『憎悪』の渦