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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第十二章 キセキ視点 出発

その旅の途中、道端にあったお茶屋さんで休憩した際、私はウメに三色団子を食べさせてあげた。

団子のモチモチの食感と、『串を掴んで食べる』という初めての経験が楽しかったのか、ウメは3本もおかわりしていた。

でも私もウメと同じくらい食べていたから、お茶屋さんの主人が目を丸くしながら私達を見ていた。

でもお茶屋さんの奥さんはかなり喜んでいる様子。「美味しそうに食べてくれてありがとう」とも言ってくれた。

お茶屋さんには、私達の他にも色々な旅人が立ち寄っていた。旅をしている人の中には、子連れや家族連れも。

家族連れの旅人を見たウメは、彼らにこんな質問をする。


「どうして危険を冒してまで、旅をしているのですか?」と。


きっと、ウメの脳にサバネの過去が過ったんだ。「サバネも少し前まで、家族と共に旅をしていた」と、ウメは自分の口で私に説明していた。

他者から考えれば、ウメのこの発言は、余計なお節介なのかもしれない。でも、ウメの過去を知れば、そんな事言えない。

サバネは、たまたまウメが見つけたから一命を取り留めたけど、もしあのまま誰にも気づかれる事がなかったら、確実に死んでいた。

旅とは、常に『運』との勝負になる。せっかく見つけた池も、有毒だったら逆に命取りになる。でもそれも、結局は『運』によるもの。

池を見つけたのも『たまたま』、池が有毒だったのも『たまたま』。旅の途中で死んでしまっても、一命と取り留めても『たまたま』。

サバネがあの時、山の中で人知れず死んでも、ウメに助けられたのも、『たまたま』。旅においての事故は、誰にも責任が取れない事が殆ど。盗賊に襲われた人的な事故については別として。

でも、人的な事故にしても、盗賊が全ての責任を取れない事も多い。奪ってしまった命は、お金を返しても帰ってこないのだから。

家族で旅をして、そんな事故や事件に巻き込まれると、サバネのように助かったとしても、生きる事が困難になってしまう。

サバネは元々立ち直りが早い性格だったかもしれないけど、人によっては事故や事件のトラウマは、死ぬまで取り憑いたままとなる。

だったらいっその事、危険な道を外れて、安全な場所で家族仲良く住む方が良いんじゃないのか。ウメは、きっとそう思ったんだ。

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