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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第十二章 キセキ視点 出発

「楽しんだ者勝ち」

それが私の旅


結局その晩は、ほんの少ししか寝付けなかった。でも出陣する意欲は上々だ。

とりあえず、村に辿り着くまではゆっくり進む事にした。ちゃんと村を見つけた時に、状況などを整理して作戦を立てても遅くはない。

ウメが村を出て行ってから、一体何日何ヶ月経っているかも分かってないから、村がだいぶ様変わりしている可能性も考えられる。

様変わりが、良い意味であっても、悪い意味であっても、まず自分の目で状況を確かめた方が、作戦が練りやすい。

ちゃんと正しい道を進めば村へは辿り着けるし、行くまでに無駄な体力を消耗したくない。私は野宿に慣れているから、宿屋などが無くても全然平気。時々野宿で熟睡する事もある。

ウメは元々外で活動する鳥だから、外で眠る事が当たり前。でも何処で寝る方が安全なのかは、私よりもウメがよく知っている。

道の途中で一休みする時も、ウメは『勘』で、池や風通しの良い場所を見つけてくれる。その『勘』にはさすがに驚いてしまった。それにウメは、池の水が安全なのかも『勘』で分かるらしい。

各地にある池の中には、時々有害なモノが溶け込んでいる池もある。それを飲めば、私も動物も無事では済まない。

大概池の周りを確認すれば、その池が有害なのか判別できる。池に有害なモノが含まれていれば、周りの環境にも変化が生じる筈。

ちゃんとした道具や手順で調べれば、有害なのかそうでないかはすぐに分かる。けど、旅の途中となると話が変わってくる。

調べる道具を持っていない時や、持ち歩いていた水が底を尽きた時、不用意に池の水を疑い無しに飲んでしまう。

それが原因で、旅の途中に命を落とす旅人の話を聞く。『緊急事態だからやむを得ない』と、危険な行為を強引に安全にしようとするのは相当危険。

でもウメが言う通り、私達が見つけた池はとても清らかだった。その証拠に、池の中では小さな魚が泳ぎ、池貝も住んでいた。

その日の夜は、池で泳いでいた魚を焼いて、池貝を茹でて食べる。ウメは、今まで魚を食べた事がなかったらしく、普段食いしん坊の私よりも食いつきがよかった。

その姿はまるで獣の様だったけど、私が言える立場ではない。実際私も、食事をしている時は無我夢中になる。

でも、互いに食事のありがたみや、食べ物をしっかり味わう点は同じだから、その晩はとても楽しい時間を過ごせた。

実は、もう少し歩けばちゃんとした宿屋があったんだけど、その晩はあえて野宿を楽しんだ。でも焚き火を作る時は、さすがにウメが怯えていた。『鳥』にとって、『火』は獣に次で恐ろしいモノ。

羽毛は火に弱く、飛び火すればたちまち全身を燃え尽くしてしまう。ウメは人間に変化しているにも関わらず、体を縮ませていた。

その晩は風もあまり強くなかったから、枯れ葉を布団代わりにして、二人で固まって寝る。

ウメの『勘』は幅広く、眠っている間に獣が近づいて来ても『勘』で分かるらしい。でもその晩は、二人共終始安全に夜を過ごせた。

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