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花ノ鳥 儚キ鳥 背負ウ鳥  作者: 秋の鶯
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第一章 キセキ視点 春の訪れ

春の始まりは

仕事の始まりでもある

長く地面に居座っていた雪がようやく溶け始め、青々とした新芽が顔を出す、三月の気持ち良い朝。連日続いた雪かきにうんざりしていたけど、今日はその道具を倉庫に片付けてしまおうと思った。

神社周りの雪かきも大変だったけど、村の方では動物達にも雪の被害が出ていた。私の住んでいる天野原あまのはらでは、馬主の家で飼われている馬が、雪に足を取られて大怪我をした。

低い地面に建てられた家では、屋根がすっぽり隠れるほどの雪によって、中に居た人が閉じ込められる事態にまで。

いつもお世話になっている村民の為にも、雪が降る時期になると、私は村のあちこちで雪かきを手伝っている。

毎年雪の降る時期になると、仕事はめっきり減ってしまう。でもそんな時期こそ、村の為に役立つチャンスでもある。

でもその後、雪かきのお礼としておにぎりやお鍋をご馳走になってしまった。恩返しをするつもりが、逆に色々とご馳走になったけど、どれもとても美味しかった。

この村に海は隣接していない。だからお鍋の中身は、大抵野菜か肉。でも家々によって入れる材料が違うから、私はずっと日替わり鍋を食べていた。

海近くの市場で商売をしている家では、魚が入った鍋を出してくれるし、猟師の家では、鍋にどっさり獣肉が入っている。

私は食べ物に好き嫌いがないから、どの家の鍋も好き。でもやっぱり、魚が入っている鍋は出汁が取れるから、一番好きではある。

獣肉が入っている鍋も、もちろん好き。でも臭みを消すには時間も手間もかかるから、そう考えると魚の方が楽で食べやすい。

この村にある西の山を越えれば海がある、その山を超えて野菜を市場で売っている農家も多い。市場では魚も沢山売られているから、海の市場から帰って来た人は、いつも魚を手土産に持って来てくれる。

時には塩や、様々な海藻の時もある。この前は、娘の為に綺麗な貝殻を買って来たお父さんもいた。

塩は貴重な調味料として、各家に配ってくれるし、海藻は山の自然な空気を含ませてから、汁物にするととても美味しい。

私は仕事柄色々な場所へ赴く事が多い。近場の時はお土産を買って帰れるけど、遠方だと行き来だけでも疲れてしまう。

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