第七章 ウメ視点 特異
清らかで 華やかなる
私がこの山に住み始めたのは、十数年くらい前の話。私は普通の鳥とは違うから、寿命がとても長い。
でも、この山に住むようになったのはいつなのかは、記憶が曖昧でよく覚えていない。
体が小さい私は、脳も小さい。だから、昔の事をすぐ忘れてしまう。
それでも、サバネの事を覚えていられるのは、彼が冬以外は頻繁に山に登り、私に会いに来てくれるから。
もちろん、私が普通の鳥ではない事は、山に住む動物達も、麓の村で暮らす村民達も、サバネも知っている。
そもそも私の姿は、『ウグイス』や『ツバメ』とは全然違う、不思議な色をしている。
桃色の体に、緑色の瞳をしている私の見た目に、驚いてしまう人だって珍しくなかった。
サバネだって、私を始めて見た時、不思議そうな顔をしていた。でも彼はすぐに私を自分の掌に乗せて、元気な笑顔を見せてくれた。
あまり事情が理解できない村の子供からは、時々からかわれてしまう。でも理解してくれると、私にちゃんと謝ってくれる。
村に住んでいる人は数十人。最近は、都会に行ってしまう人が多いけど、村は今も昔も変わらず、毎日活気に溢れている。
私は、普通の鳥と同じように生活している。だからよく村にも遊びに行くし、屋根の上で日向ぼっこするのが大好き。
そして、日が暮れると同時に、巣に戻って眠っている。冬眠だってするし、食べる物も普通の鳥と変わらない。




