第五問「運営仕事しろ」
な、なんということでしょう。
ブブブ、ブックマークが付いてる。何というプレッシャー!!
お読みいただきありがとうございます。
なりゆきで色々と動いてたら変な称号を貰いました。
詳細はあとで確認すれば良いかな。
それから領主様と雑談を交えながら最近の街の状況を聞いていたら、あっという間に2時間くらいが経過していたので、そろそろお暇しよう。
「今日は貴重なお時間をありがとうございました」
「こちらこそ、とても有意義な時間でした。また何かあればいつでも気兼ねなく訪ねてきてほしい」
「はい、今他にも1つクエストを抱えているので、それ関連でお力を借りるかもしれません。その時はまたよろしくお願いします」
「うむ、この街の為になることなら大歓迎だ。期待しているよ」
「はい、それでは失礼します」
領主様と握手を交わして家を出ると、外は相変わらずの人混みだったけど、多少はマシになったかな。多分街の外に出かけたんだろうね。
ってそうだ。いつの間にか都市開発シミュレーションみたいな事してたけど、本来は魔物あり、魔法ありの冒険を楽しむゲームだった。
ん~、なんか今から街の外に出て魔物退治って気分でもないし、ステータス確認して今日はログアウトしようかな。
ということで、今のステータスは……
『ステータス情報
名前:テンドウ
種族:人族
職業:道士
レベル:3
称号:「クエストの仕掛人」
スキル:
杖術Lv1、体術Lv1、魔術Lv1、話術Lv2、先見Lv1
魔法:
無属性魔法Lv1
■詳細情報「クエストの仕掛人」
自発的にクエストを発生させた者に送られる称号。
地元民を巻き込んだクエストが発生しやすくなる。またクエストが達成された場合、対象の地元民からの好感度上昇。通常より多くの報酬を得る場合がある。
取得条件:自発的に何度かクエストを発生させる。クエストの規模により回数は変動。』
あ、HPとかの表記は無いんだ。
職業の道士って仙人の弟子ってイメージがあるけど、そんな感じかな。話術がLv2に上がってるのはクエスト立てたりしてたお陰だね、きっと。
あとはこの称号。言動に注意しないと厄介事がどんどん起きそうな予感がする。実際この短期間に2つもクエストが発生してるし。……まぁ、それは楽しいからいっかな。
戦闘系スキルがどう作用するのかは、また明日確認してみよう。という訳で、ログアウト。
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某所、会議室
大テーブルを囲んで6人の男女が重い空気を纏っていた。
「それでは、第17回企画会議を始めます」
「いい加減、新規プレイヤーから『運営仕事しろ!』って煩いんだが」
「元々のコンセプトが、プレイヤーの自主性を重んじて自由にのびのび異世界を堪能してもらう、だったよな」
「NPCとの交流で可能性は無限大!!とか謳ってたけど、コミュ力ある人が少なすぎ」
「最近のひなどり世代に自分で巣から飛び出して餌を取りに行けっていうのが間違いだったんだよ」
「今のままだと狭い巣の中で押しつぶされるのをただ待っているだけです」
「まぁ始まりの街を分散させなかったのは失敗でしたね」
「皆さんの気持ちは分かっています。問題はこれからどう改善していくかです」
議長らしき男性が他のメンバーを見回した時、会議室の扉が開いて女性が飛び込んできた。
「部長、大ニュースです!!とうとう『クエストの管理人』の称号が発行されました!!」
「桜さん、遅刻です。まずは扉を閉めて席に着きなさい」
突然の事にも部長は冷静だ。
「それで『クエストの管理人』ですか。確か累計100人以上のNPCを巻き込んだクエストを発生させたら与えられるものですね。ただ、1人その称号を得たからと言って、今更焼け石に水ではないですか?」
「部長、それが違うんですよ、桁が!! なんと上手く行けばNPCだけで1000人以上、プレイヤーも10万人規模の動員が見込めるクエストが提案されたんです。しかも1プレイヤーから!!!」
「はい!? 一体何が起きたのか説明してください」
予想外の規模に流石の部長も驚いて腰を浮かす。
桜と呼ばれた職員も興奮冷めやらぬまま、
「都市開発です!!」
と返した。
「……桜さん、シミュレーション事業部は隣の部署ですよ」
冷静さを取り戻した部長であった。
VRの世界が異世界と繋がってたら良かったのに。自由すぎる事の弊害。仕組まないと問題ってそんなに発生しません。
そしてようやくステータスが出てVRっぽくなりました。
次回は掲示板とか主人公のリアルとかも出していく予定。冒険の日々はまだ先です。




