第四問「クエストが足りない」
25時はまだ今日ですよね!?
誰よりも作者が迷走し続けております。
「街作り……ですか。はは、また随分大きく出ましたな」
良かった。ここで「話にならん!帰れ!!」って言われたら話が終わる所だった。まずは第一関門突破、という所かな。まだ侮られてるのは仕方無いけど。
「はい、幸い人手は余っていますから」
「動かせるのですか? こう言っては失礼ですが、この世界に来たばかりのあなたに、それほどの人脈も牽引力も無いとお見受けしますが」
「動かすのではなく、動きたくなるようにするんです。その為にも街ぐるみの大規模クエスト、という形を取らせて欲しいんです。そういうものに惹かれるのは外来人の性みたいなものですし」
日本人はお祭り好きだしね。祭りだーとか、火事だーとか叫べば、どんどん集まってくるはず。
「ふむ、そうですな。クエストを発行するくらいなら問題ありませんよ。ただ、報酬はどうします。残念ながら街にはそんな予算はありませんよ。それに家を建てるにしても資材もどこかから調達する必要がありますな」
確かに、資材の問題があるか。いや、魔物や薬草はいくらでも生えてくるんだから資材も行けたりするかも。
「例えば、魔物の森から木を伐りだして来るのはどうでしょう。そこなら幾ら伐採してもすぐに再生してきたりしませんか? 他の材料が取れる場所もあるでしょうし。素材になる魔物を狩ってきてもらうのもありでしょう」
「…確かに、東の森でそういう報告は聞いています。ですが魔素が濃い場所は往々にして魔物も1、2ランク強くなる傾向があります。残念ながらこの街に居る外来人では伐採するどころではないでしょう」
「なら隣町とか国中の外来人に呼び掛けましょう。クエストに飢えているのは他の地域も同じでしょうし。それに、この街で上手く行けば良いモデルケースとして、他の街に恩を売る事も出来るんじゃないでしょうか」
「ほう。他の街に恩を、ですか。それはなんとも」
おっ、少し興味を持ってくれたかな。
『最初の街 → 弱小 → なめられがち、もしくは貸しがある』
かもしれないと思ってみたけど当たりだったかも。もう一歩押せば行けるだろうか。
「これで人手と資材はめどが立つでしょう。後は報酬についてですが、開拓した土地を家1件分ずつくらいに区画分けして、参加した人たちに無償で渡してしまってもいいでしょう。個人でっていうのは無理がありますからギルド単位とかになるかと思いますが」
「は? いやいやいや、無償って。それでは結局、我々地元民はあなた達の為に苦労させられるだけでほとんど得が無いでしょう」
うん、リアルだとそうなんだけど、ゲームだと事情が変わるんだよね。
「目先の事だけ考えるとそうでしょう。では、10年後、20年後は? 断言しますが、外来人で地元民と結婚する人はまず居ません。また、今居る人達で10年(リアルで2年以上)後もここに居座る人は1割も居ないでしょう。結果として整備された街が丸々手に入ります。10年もあればこの街の人口も増えて今のままじゃ収まりきらなくなることを見越せば、十二分に価値があるのではないでしょうか」
「……ふっ、はっはっはっ。未来を見据えて動けとは。いやはやお若いのによく考えてらっしゃる。良いでしょう。まだまだ荒い部分は多くありますが、この話、乗らせて頂きましょう。とは言っても少々話が大きすぎるので、他の者とも協議して詳細を詰めて、そうですな。クエストを発行するのは早くて6日後くらいにはなるでしょう」
「いえ、十分過ぎるほど早いと思います」
多分リアルだと数か月は計画だけで掛かる話だろうし。
最初の時に比べて、領主様の表情が大分和らいだ気がする。少しは信頼されてるって思っても良いのかな。
むしろ、どこか楽しそう?
「それにしても、君は変わった人だ。いままでここに訪ねて来た外来人は何人も居たが、みな『困っていることは無いか。クエストは無いか』と求めてばかりでね。クエストを新たに作らないか、なんて提案してきたのは君が初めてだ。君がここに来る前にも新規にクエストが発行されたみたいだが、それも元を質せば君が発起人だそうじゃないか。今後も色々と動き回ってくれるのを期待しているよ」
ポンッ!!
【称号「クエストの仕掛人」を取得しました】
……はい!?
周回クエストがそんなにある訳無い。魔物倒してお金貰えるって、予算はどこから出てるんでしょうね。
クエストが足りない??なら作ればいいじゃないか。自由度が高いなら出来るはず!!
あ、発案者という事で、将来のマージンはよろしくお願いします。収入の1割で十分ですので。




