第三十七問「ご新規様ですか」
よろしくおねがいします。
祝:10000PV突破。
読み専だった自分が書いた作品がまさかこれほど多くの人に読んで貰えるとは。
もう皆様には感謝しかありません。本当にありがとうございます。
あれから、朝食をファミーユで摂った後、なぜかプチサイン会みたいな感じになり、駅前の大型書店が開いたら僕の書籍コーナーに連れていかれ(いつの間にか特設コーナーが出来てるし)、既にでかでかと『映画化決定!!』ってのぼりが出てる。
うん、言われなかったら絶対に自分のコーナーだって気付かなかったと思う。
ま、それはいいとして。現実逃避じゃないけど、AOFにログインする。
さて、アシダカさんの招待から始まった世界樹の問題も無事に解決して、ダンジョンの方も軌道に乗ったから当分は皆に任せれば大丈夫だろう。これで緊急のやることは無くなったし、ようやくこのゲームを普通にプレイしてみようかな。
そう思ってまずは始まりの街に移動する。うん。普通だ。というか、普通に戻ったと言うべきなのか。最初に訪れた時の渋滞具合は無くなり、もちろん新規プレイヤーと思われる人たちがそれなりの人数居るけど、活気のある町並み、という感じに落ち着いている。まぁ最初と違うところといえば、
「お、テンドウさん。久しぶり。なんだいつ帰ってきたんだ。水くせぇ。帰ったならうちに飲みに来いよ」
「テンドウさん。お帰りなさい。この前のお礼がしたいから今度うちのお店に来てね」
「テンドウの兄ちゃん。こんにちわ」「「こんちわ」」
と各種店舗の人や、孤児院の子供と思われる男の子たちに声を掛けられたりする。
うん、自分ががんばった結果、こうして皆に喜んでもらえてるのが実感できると嬉しいね。そうやって街のみんなに挨拶しながら、冒険者ギルドに向かう。そう、今までギルドに来てギルドマスターに会ったり色々してたけど、冒険者登録はしていなかった。それを受付の人に伝えるとびっくりされたり笑われたりしたけど、無事に冒険者証を発行してもらえた。もちろん発行されたばかりだから最低ランクのCランクだ・・・・・・って、C!? あわてて受け付けのおっちゃんに尋ねると、
「テンドウさん。我々はあなたがこの街に来てからのことをよく知っているし、その行動にはとても感謝している。本当ならAランクにしてあげたいところなのだが、ギルドの既定でBランク以上は試験を受けてもらわないといけないんだ。だから申し訳ないがCランクとさせてもらったんだよ」
なるほど。登録していなくても評価には繋がっていたんだね。
そう納得してたら後ろから声を掛けられた。
「おうボウズ。ここはお前みたいなひよっこが来るところじゃねえぜ。痛い目に会いたくなかったら帰って彼女に膝枕でもしてもらいな」
「そうで、だぞ。おに、お前さんみたいなのは大人しくうちのお店、じゃない、おうちでミルクでも飲んでな」
のりのりな声と台本をがんばって読んでるような声に振り向くと、案の定、ホノカとミーナが胸を張ってポーズを取りながら立っていた。
「って、ふたりとも、何してるの?」
「いや、冒険者ギルドで登録って言ったらやっぱりお約束じゃない?」
「わたしはその、お姉さんに言われて。なかなか難しいです」
あ、ミーナが素に戻って恥ずかしくなったらしく顔を赤くしている。
「まぁお約束といえばそうだけど。そもそも女の子の声でそれ言われても違うと思うよ」
「あははっ、はぁ。やっぱりそうよね。ってそれはおまけだからいいの。本題は別にあるんだから」
そう言いながら一枚の用紙を差し出してくる。えっと『クラン設立申請書』か。へぇ。メンバーのところにホノカとミーナの署名が既に書かれている。
「なるほど。ふたりでクランを新たに設立するんだね。ってふたりとももう別のクランに入ってたよね」
「ふたりでじゃなくて、三人でよ。リーダーはテンドウくんだから、リーダーのところに署名して提出してきて」
「そういうことです。それと前のクランは既に退会してきました。なので、これからよろしくお願いします」
リアルでも思ったけど、このふたりが手を組むと僕が何かを言う前にどんどん話が進んでいく。まぁ全然嫌じゃないから問題ないんだけど。
そんな訳で、受付に申請書を提出する。
「クランの設立か。初動メンバーは、『劫火』のホノカと『氷槍』のミーナってまた豪勢な。・・・・・・なぁテンドウさん。もう分かってるかもしれねえが、女の尻に敷かれるってのは結構良いもんだぜ!」
なぜかそう言いながらサムズアップするおっちゃん。いや、別にそういうのじゃないから。・・・・・・ないよね。
「あ、それとテンドウさん。このメンバーなら戦闘力も申し分無いし、Bランク昇格クエストを受けてみないか?というか、昇格はおまけで、受けて欲しいクエストがあるんだ。頼めるか」
ポンッ!
【Bランク昇格クエスト「盗賊の調査」が発行されました。受けますか?[はい/いいえ]】
ひとまず、[はい]を選ぶけど。
「盗賊・・・・・・ですか」
「ああ。どうも隣の外来人街付近で頻繁に出没するらしいんだ。分かっている限り、奴らは何度撃退しても現れることと、どうも外来人を中心に狙っているらしいんだ。今のところそいつらから地元民が襲撃を受けたって話は1件しかない。それも何も取らずに途中で撤収したそうだ」
「うーん、外来人専門の盗賊って何かメリットがあるんでしょうか」
このゲーム、PKをしてもお金や武器が奪える訳ではない。戦闘経験が積める、といえばそうだけど、犯罪者の烙印を押されてまでやる事とは思えない。
「俺達にも分からん。だから奴らの目的を調査してほしいっていうのがこのクエストの内容だ。テンドウさんなら奴らと内通している心配もないし、外来人同士、分かることもあるかもしれないからな」
「分かりました。方々から情報を集めて調べてみます」
「ああ、よろしく頼む。街を行き来する商人達も自分達は襲われないと分かっていても不安で身動き取れないって人が多いから助かる」
そういうことなら、少し急いだほうが良さそうだね。まずはふたりに聞いてみたり、襲われた人たちを中心に聞き込みをしてみよう。
と、そこにギルドマスターのギークさんもやってくる。
「お、テンドウ。良い所に居たな。ついでだ、こっちのクエストも受けてくれ」
ポンッ!
【Aランク昇格クエスト「凶悪魔獣の討伐」が発行されました。受けますか?[はい/いいえ]
※注意:こちらのクエストはBランク昇格後にのみ達成が認められます】
・・・・・・ついでって。だからAランクもそんなに簡単に成れていいの?
「一部の者にしか情報は回っていないが、お前のお陰で魔王軍の侵攻が抑えられたそうじゃないか。この件もよろしく頼むぞ」
僕の内心を察してそう小声で付け加えてくれた。ってあの件って上の人には知られてるんだね。
まあ凶悪魔獣ってもしかしなくても、世界樹がらみだと思うから受けるしかないか。
今更ですが。冒険者ギルドに登録。普通はGランクからのスタートになります。
主人公がこれまであげた実績
・各種新人向けイベントへの参加(主人公立ち上げ)
この段階でFランク相当。
・南の畑の防衛活動
・ゴブリン討伐(進化系含む)
この段階でDランク相当。
・レッグスパイダーの異常進化の沈静化
・始まりの街の救済
この段階でBランク相当。
・魔王軍の撃退




