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VR世界は問題だらけ  作者: たてみん
第3章:夏とダンジョン問題
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第二十八話「自分で考えないと役に立ちません」

よろしくお願いします。

帰宅後。

せっかくだからもっと広く情報を集めてみようと思い、掲示板にも色々書き込みを行って反応を見てみた。さすがに全部が全部、すぐに期待した書き込みがあるわけでもないので、一日様子を見ることにする。

掲示板に書かれていた内容は、おおよそほのかと水菜ちゃんの言っていたことと一致したけど、色んな要望なども吸い上げることが出来た。


それらを纏めて、ダスターに会いに行く。

ログインして社務所の玄関先から声をかけた。


「ダスター、ただいま。ダンジョンについて色々と聞き取りしてきたよ」


ドタドタドタっと廊下を走った音がした後、壁の向こう側にダスターが来た気配がする。


「お帰りなさいっす。兄貴。兄貴が次来た時用にちゃぶ台とお茶を用意しておいたっす」

「おぉ。ありがとう」


確かに玄関入ったところに、前回なかった和風のちゃぶ台セットがお茶とせんべい付きで用意されていた。

神社といい、世界観は大丈夫なんだろうか。あ、でもこのお茶美味しい。


「それで、兄貴。首尾の方はどうっすか」

「それなんだけど、ダスター。君はもう少し客の気持ちを考えるようにしような」

「客の気持ち?なんすかそれは」

「あー、例えばさ。君が自分の作ったダンジョンに潜ったのを想像してみて」

「うっす」

「出てくるモンスターはゴブリンだ。3歩進む度にゴブリンが10匹出てくる。それもどこまで進んでもだ」

「・・・・・・」

「最下層まで行ってもゴブリンで、帰り道もゴブリンで、ゴブリン以外ないダンジョンだ。そんなダンジョンに何度も行きたいかな」

「・・・・・・うげぇ。頭の中がゴブリンでいっぱいになったっす。夢に出てきそうっす。もう二度とゴブリンは見たくないっす」


うん、僕もそんなダンジョンがあったら、絶対に入らないと思う。


「じゃあ、ダスターだったら、どんなダンジョンなら入りたいって思うかな」

「そうっすね。楽しくてやりがいがあると嬉しいっす」

「うんうん、他には?」

「うーん、見事踏破出来たら、兄貴にほめて欲しいっす」

「僕にほめて欲しい、か。うん、いいよ。じゃあ理想のダンジョンが出来たら何かご褒美をあげよう」

「本当っすか!! 俄然やる気が出てきたっす」

「あはは。さて、後はどんなのがあるかな。例えば他の人にお勧めするなら、とか、これがあれば何度も行きたくなるものとか、後からまた来たいって思うには、とか色んなバリエーションを考えてみよう」

「わかったっす。なんかこうして考えるのも楽しいっすね」


そうやって、ダスター自身に色々と考えて貰いながら、行き詰ったら別の角度で考えるようにアドバイスしたり、仕入れてきた案を紹介したりすることで、大分面白いことになりそうだ。

出てきた案を纏めるとこんな感じだ。


・洞窟だけでなく、塔やフィールド型のダンジョンも用意する。

・洞窟の場合、うっすら明るくする。

・形状に迷路や大広間などのバリエーションを創る。

・セーフゾーンを作って、休憩しながら長く潜れるようにする。

・そのダンジョンでしか手に入らない、採取ポイントや採掘ポイントを用意する。

・いくつかのクエストで必要になるアイテムを用意する。

・裏技、隠し通路、特殊トラップを用意する。

・ボスを用意して、特別なドロップを用意する。

・ボス部屋を抜けた先に転移陣を作って、そこから再開出来るようにする(ボス部屋には戻れなくする)

・ボス部屋を越える度に段階的に魔物を強くしたり、種類を変える。

・上級者コース、期間限定コースを創る。

・攻略する度に成長する。新たな階層を攻略した冒険者の名前を発表する。

・希望者にはダンジョンキーパーになってもらう。ダンジョンキーパーは特典としてダンジョンそのものを世界樹の卵の育成フィールドとして活用できるようにする。

・ダンジョンの場所を一部を明確に伝え、一部はあいまいに(○○山のどこかにあるなどと)伝える。これにより、ダンジョンを探すことも楽しんでもらう。

・多くの冒険者と戦って生き抜いた魔物は成長、進化させる。

などなど。本当に色んな案が出てきた。


「よし、ここまで来れば、詳細を詰めて作っていくだけだから僕は地上に戻るよ。後は頑張ってな」

「え、もう行っちゃうんすか?最後まで手伝ってほしいっす」

「甘えないの。ダスターのダンジョンなんだから、実際に作るのはダスターの役目だよ」


実際、ここまで自分で考えられるようになったんだから、もう僕が居なくても、これから更に改善してより良いものが作れると思う。甘やかすだけじゃだめだってこの前骨身に沁みたしね。


「うぅ。分かったっす。あ、兄貴。ここまで良くしてもらったのに、何も恩返しせずにこのまま帰すのは忍びないっす。今のあっしに何か出来ることはないでしょうか」

「えっと、それなら。またここに来れるように隠し通路を備えたダンジョンを作らせて貰っても良いかな」

「あ!わかったっす。そうすればいつでも兄貴と連絡が取れるし、会うこともできるっすね」


ポンっ!

【特殊ダンジョン「テンドウダンジョン」のダンジョンオーナーになりました】

【特殊スキル「ダンジョン生成」を取得しました】


「はい、これで兄貴もダンジョンを作れるようになったはずっす。あ、こことの入り口は本殿に設置してほしいっす」

「うん、ありがとう」


やっぱり、ここまで関わっておいて後を丸投げはちょっと気が引けるので、またちょくちょく様子を見に来ることにしよう。



それじゃあ、せっかくもらったしダンジョンを作りますか。


ただ教えるのではなく、考え方を身につけることが重要です。

そして主人公はようやくシャバに帰ります。



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