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VR世界は問題だらけ  作者: たてみん
第1章:始まりの街の人口問題
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第十五問「クエスト発行の基準について」

よろしくお願いします。

お盆休みを使って書き溜めています。


冒険者ギルドに向かう前に、ホノカにメッセージを送る。


『こんにちは。ホノカ。

 街作りは順調? ちょっと相談したい事があるんだけど、今って時間取れるかな?』


さて、ホノカって実はトップクランのサブマスターらしいし、忙しいからすぐには返事は返ってこないかな。

ちなみに、最初は「ホノカさん」って呼んでたんだけど、彼女の強い要望により呼び捨てにすることになった。

僕としては慣れ慣れしいかなって思ったんだけど、呼び捨てにするとニコニコしてるから問題ないみたい。

と、考えてたら、10秒で返信が返ってきた。


『てて、テンドウくん!

 テンドウくんの方から連絡くれるなんて珍しいね♪

 相談事?もちろん何でも聞いて!今冒険者ギルドの近くに来てるんだけど、どこに行けば良いかな??』

『ありがとう。えっと、じゃあ、冒険者ギルドの斜め向かいにある、喫茶店「水彩邸」で良い?

 僕も10分もあれば行けるから、先に入って好きなもの頼んでて。僕の分はラミカティーを注文して置いてほしい』

『分かった。じゃあ、先に入って待ってるね。相談事ならテラスより店内の方が良いよね♪』

『うん、それでお願い。じゃあまた後で』


ホノカとは何度かメッセージのやり取りをしてるけど、その度に頭良いなって思う。

普通に会って話をするときは取り止めのない話で終始することもあるんだけど、こうして用事があるときは的確に情報の交換をしてくれる。特定のお題がある会話の場合は、さらに要点が明確で分かりやすい。

さて、そんなことを考えるよりも、待たせる訳にも行かないから急いで合流しよう。


急いだお陰で5分程で到着。えっと、ホノカは……いた。店の一番奥の席を確保してくれてる。


「おまたせ、ホノカ。急な呼び出しだったのに来てくれてありがとう」

「あ、テンドウくん。早かったね」


僕に気付いたホノカが満面の笑顔を向けてくれる。


「ホノカの所ってメインストリート沿いの良い所を確保してたし、街作りの方も忙しいよね」

「ううん、気にしないで。そっちは予定よりも進んでるから。何かあったらいつでも呼んでねって言ったのは私だし。それに私の方が良く相談に乗ってもらってるしね。それで、相談事っていうのは?」

「うん、実は……」


僕はさっき知った、ゴブリンが大量発生して森から溢れている事、上位化していること。またそれを捕食する蜘蛛の魔物が無害であることと、あと詳しくは聞けなかったけど、ゴブリンが森に捨てられたゴミを媒介に増えている事を伝えた。


「それで、それらを解決するために、冒険者ギルドに依頼を出そうかと思ってるんだけど、クエスト発行の相場とか実際に森に入った訳じゃないから危険度の推定とかが出来なくてね。ホノカならかなり難しいクエストも受けたことあるだろうし、森の情報とかもある程度分かるよね」


それを黙って聞いてくれたホノカは、少し考えてから答えてくれた。


「そうね。私はあまり森の方には行かないのだけれど、メンバーから聞いた話では魔物の強さCランク程度まで上がっているそうよ。あ、普段の東の森なら余裕のEランクよ。ゴブリンの上位化もそうだけど、最近黒い蜘蛛が現れてプレイヤーを攻撃しているらしいの。それもDランクの冒険者では勝てない強さだって」

「黒い蜘蛛?」

「えぇ。テンドウくんが言ってる巨大アシダカグモの進化形だと思う。仲間内では通常の蜘蛛を殺し過ぎて怒りを買ったんじゃないか、って言われているわ」

「あ、それはありそう。彼らからしたら、僕ら外来人はゴブリンと大して変わらないGだって言ってたし」

「Gってあれのこと?」

「そう、黒くてカサカサ飛び回るあれ」

「うわ、向こうの気持ちを考えると分からなくはないけど、ちょっといやね。

って、あれ?テンドウくん、言ってたってどういうこと?魔物と話したの?」


あっと。言っても大丈夫かな。まぁ大丈夫だよね。別に秘密にしないといけないことでもないし。

ただ、ホノカのきょとんとした姿から察するに、普通はありえないんだろうね。


「うん。街の南側に出て来たアシダカグモの魔物がいてね。どうしようって思いながら視線を合わせてたら、念話で話しかけて来たんだ」

「えぇーー!魔物と会話って、しかも蜘蛛なのにそんなに頭が良いの!?というか、なんでフレンドリーに魔物と会話してるの??」


あ、ホノカの許容値を超えちゃったみたいだ。

最近分かった事だけど、ある一定のボーダーを超えた出来事が起きると、超が付くほどハイテンションになるみたい。まぁそれはそれで面白いからいいんだけど。


「いや、うん。なりゆき?僕も隣に居た農家のおっちゃんが人は襲わない魔物だって言ってなかったら攻撃してただろうし。

話してみたら良い人、というか魔物、だったし。案外人間寄りの魔物っていうのも多いのかもしれないね」

「なりゆきって、もう。 まぁテンドウくんらしいって言えばそれまでよね。最近テンドウくんが普通の物差しじゃ図れないんだって気付いてきたわ」


ふしゅーって気が抜けた感じになっちゃった。うん、褒められたような、そうでもないような。


「なんというか、ごめんね」

「いいのよ。……だし。

それよりも話を戻して、相場とか具体的な所って、冒険者ギルドの職員に相談した方が良いんじゃないかしら。私も受付のお姉さんくらいしか面識ないけど、それで良かったら相談に乗ってもらえるようにお願いしてあげるわよ」

「冒険者ギルドの職員って、あ!その手があったね。どうして気付かなかったんだろう」


うん、確かに専門家に聞いた方が確実だよね。


「ありがとう。冒険者ギルドなら相談できる相手が居たよ。忙しいかもしれないけど、そっちにも相談してみるね」

「へぇ、テンドウくんって冒険者ギルドに知り合いなんていたんだ」

「うん。ギルドマスターとね。何度も話してるし、一緒にご飯食べたことも数回あるよ」

「ギルドマスターって……はぁ。今更ね」


あれ、また呆れられちゃった。でもうん、これで何とかなりそうだ。


「今日はありがとう。さっそく冒険者ギルドに行ってくるよ」

「えぇ力になれたなら良かったわ。もしクエストが発行されたら私たちのクランも協力するね」

「うん、ありがとう。それじゃあね」


お礼を言って、さっと伝票をもってレジカウンターで支払いを済ませる。

店を出る時にホノカの方を振り返ったら、あってなってた所からむすっとしてそれでも手を振ってくれた。

前に一緒に喫茶店に行った時に僕が全額支払おうとしたら、きっちり割勘でって言ってたからそういう主義なんだと思う。

今回は僕がお願いして誘ったんだから、僕が支払うのが筋だよね、って事で手を振ってそのまま店を出る。

さ、早速ギークさん(ギルドマスター)に相談だね。



【クエスト「上位ゴブリン討伐」が発行されました】

【クエスト「森の清掃作業」が発行されました】

【クエスト「森の巡回警護」が発行されました】

【領主より「街の外でのごみのポイ捨て禁止について」が告知されました】

実は裏で関係が前進するように頑張ってるホノカさん。

クエスト発行はその道のプロにお任せしました。無事にギルマスに会えたようです。


次回はそんなホノカさん視点を差し込む予定。閑話にしようかとも思ったけど、流れ的にそっちの方がスマートになりそうなので。

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