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VR世界は問題だらけ  作者: たてみん
第1章:始まりの街の人口問題
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第十二問「同士を見つけるとテンションが上がる」

無事に書き続けられているのはひとえに読んで下さる方がいらっしゃるお陰です。

そして、そろそろ問題と書きつつ、問題じゃないことも表題になりますが、ご容赦ください。

午前8:20

いつもの日課を終えて登校して自分の席に着く。体を動かしたお陰で眠気は飛んだけど、やっぱり寝足りない。授業開始まで少し寝ておくかな。


「おはようございます。橋渡君。疲れてるみたいだけど、大丈夫?」


クラスメイトの織田(おだ) ほのかさんが、挨拶して来てくれた。

織田さんはお淑やか系の女の子だけど、しっかりした物の考え方をしているお陰で男女問わず友達は多いみたいだ。

去年、塾の帰りに酔っ払いに絡まれていた彼女を助けて以来、こうして僕にも声を掛けてきてくれる。


「おはよう、織田さん。昨日寝るのが遅くなってね。ちょっと寝不足ぎみなんだ」と言いつつあくびをしてしまった。

「ふふっ。珍しいね。いつもはキリっとしてるか、携帯PCで何かしてるのに」

「うん、この前デパートの福引でVRマシンが当たってさ。それが一昨日届いたから、遊んでたんだけど、色々と大変でさ」


「え!?それってもしかしてAOF?」


あれ、なんかすごい食いついてきた。これってつまり、


「そうだけど、織田さんもやってるの? もうだいぶ先まで進んでる?」

「やっぱりそうなんだ! 私は半年くらい前からやってるの。今は……」


キーン コーン カーン コーン♪


「あっと。もう朝礼始まっちゃうね。続きはお昼休みでも良いかな?」

「うん、じゃあまたお昼休みに」

「ええ」


そう言って織田さんは席に戻って行ったけど、続きが気になるのか、昼休みになるまで、時々僕の方に視線を送ってきていた。



そして昼休みになると速攻で僕の所に来る織田さん。

お淑やかさを残しながらも興奮気味に迫ってくるのがすごい。


「さぁ、橋渡君、行きましょう。橋渡君はお弁当じゃないわよね」

「うん。購買でパンでも買ってくるよ。話をするなら食堂よりも中庭に行こうか」

「じゃあ私、先に行って場所取っておくわ」


言うが早いか、織田さんはお弁当を持って行ってしまった。相当楽しみにしてたんだな。

待たせても悪いので急ぎ目で購買でパンを幾つか見繕って中庭に移動すると、ちょうど日陰になってるベンチを確保した織田さんと合流した。


「それにしても、橋渡君がAOFをしてるって聞いて驚いたわ。あれって最新のフルダイブVRマシンが必要でしょ。そのせいもあって、今までAOFでリアルの友達って居なかったから、共通の話題で話せる人ってあまり居なかったの。

橋渡君は一昨日始めたばかりって事は、まだ最初の街かしら。2つ目の街くらいまではあのゲーム、何かと大変だから良かったら私のクランに入らない?その方が色々とお手伝い出来るし、一緒に活動出来たら楽しいと思うの」


おっと、また凄い勢いだ。織田さんて好きなものにはのめり込むタイプみたいだね。


「織田さんってAOFが大好きなんだね」

「えぇ。今まで幾つかVRゲームはしてきたけど、あそこまで体感がリアルなのも初めてだし、私魔導士で活動してるんだけど、魔法を使った時の感じとかも凄いの。多幸感って言うのかしら。体の中から魔力が溢れてくる感じが気持ちいいの」

「確かに五感が凄くリアルだよね。体中を血液とか気、というか魔力?が流れてるのも手に取るように感じられるしね」

「そうなのよ。もう現実以上にリアルな感じだし、現実でもあれくらい動けたり魔法が使えたりしないかなって思っちゃうくらいで。流石にそれは無理って分かってはいるんだけどね。でもそれくらい凄いし、それを共感してくれる友達をずっと探してたの」


「うんうん、分かる分かる。……ただ、さ。クランに入ったり一緒に活動したりってのは、ちょっと待ってもらっても良いかな」

「え……。嫌、だった、かな。もしかして引いちゃった??」


あ、ちょっとしゅんとしちゃった。うん、確かに凄い勢いだったけど。

えっと、そうじゃなくて。


「嫌じゃないし、共感できる部分はあるんだけど。……えっと、今さ。最初の街でイベントが発生してるのは知ってるよね。それ関連で何かと忙しいから、それが落ち着くまで待ってもらっても良いかな」

「もちろん知ってるわ。そのイベントだったら私のクランも参加する予定よ。って、あれ?あのイベントってクラン単位での参加って話だったよね。もしかして橋渡君。もうどこかのクランに入っちゃったの!?」

「いや、どこのクランにも加入してないよ。ただ、それとは別口で、裏方というかサポーターというか、お手伝いをしててね。それに内情なんかも知ってるから、今僕がクランに入ったらインサイダー取引だって怒られると思う」


「あ。朝色々大変だって言ってたのは、その事だったのね。 良かった~。てっきり引かれちゃったのかと思って焦っちゃった」


そう言ってほっと一息入れた織田さんはさっきより大分落ち着いたみたいだ。良かった。


「全然大丈夫だよ。確かに織田さんの意外な一面が見れたなとは思うけど」

「あぅ。いつもは大丈夫なのよ。今日は突然だったからつい興奮してしまっただけで!!」


と思ったら、またちょっと興奮しだしたのか、耳元が赤くなってる。感情の波が激しいな。


「あ、えっと。クランは無理でも、フレンド登録はさせて貰っても良いかな!!?」

「もちろん。僕はゲーム内ではカタカナで『テンドウ』って名前だから」

「あ、うん!私は『ホノカ』で登録してるから、今日ログインしたらフレンド申請送るね♪」


ふぅーー、とやり切った感を醸し出して、今度こそ落ち着いたみたいだ。まぁなんだろう。最後のは「私たちって友達だよね!?」って改めて聞く時のドキドキ感だったのかな。


その後はお互いお弁当と購買のパンを食べつつ、いつもよりちょっとだけテンション高い状態でおしゃべりをして教室に戻った。



放課後、特に部活などには入っていないので、帰りがけにスーパーに寄ってから帰宅して、VRマシンを起動する。


【「ホノカ」様からフレンド申請が届いています。承認しますか[はい/いいえ]】

織田さんやること早いな~と思いつつ、はいを選択した。


自分がオタクだってばれると軽蔑されるんじゃないかと心配になる年頃。

ちなみに外国でオタクっていうと、その道を極めた達人ととらえられる場合があります。

そして彼女が正ヒロインになれるかは神のみぞ知る(作者も知らない)

次回は掲示板という名のその他プレーヤー視点。


最後のシーンでの織田ほのかの心の声

「やった!これでお互い名前呼び♪」

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