File・2 就職先?勿論、ブラックです…
文章が今回も短めです
まだ手探り状態で書いておりますので
かなりの不定期になると思います
ご了承下さい(o_ _)o
「…最初の質問がそれですか?」
うん、彼女が呆れているのが分かる。
けれど、俺にとってはかなり重要だ。
なにせ、意味が判らないのだ。
「俺は気が付いたらここに居ました。最初はえらく豪華な部屋でしたが靴音が聞こえたらこの部屋になってました」
知る限りの情報を伝える。
「…ふむ、では貴方は自ら希望して面接を受けに来たわけではないんですね?」
「はい」
コレには俺は即答した。
少し考え込むような仕草で彼女が考え込んでいる。あれっ?そう言えばこの人の名前を知らないな。まぁ、いいか。
「貴方はファミレスで何を注文されました?」
やっぱり、そうだよな…それが原因だよな。
「店員から勧められた時の旅極上コース…です」
何故か彼女は額に手を当て大きなため息をつきながら憐れんだ瞳を俺に向けてきた。
「…疑問に思われなかったんですか?」
いや、思ったよ!なんだそれ?ってガッツリと疑問に思いましたとも……だけど仕方ないだろ、疲れてたんだから。
「…思いました」
その言葉に彼女は顔を横に振った。
「どうやら貴方をここに導いた方の説明不足のようですね。先ず、ここは次元の裂け目です。次元管理局が管理する時の中枢となります」
うん……意味が判らない。
どういう意味なのだろうか?
首を傾げるしか出来ない俺を見て何故か彼女の瞳が冷たい視線へと変わる……こぇ~な、おい。
「何故、このような輩を採用しなくてはいけないのかしら。人手不足で猫の手も借りたいけど、求人出しても直ぐ辞めちゃうし……まぁ、世間的にブラッ……」
ため息をつきながら呟く彼女は最後まで呟かなかったけど、俺は気付いたよ!言い淀んでハッと俺を見たよね?
世間的にブラッ……社畜の俺を見くびるな。
いつも、言われてたから知ってんだよ。
「ブラック企業なんですか?その次元管理局って…」
俺は彼女が言い淀んだ言葉の続きを言ってみた。
彼女の挙動が一気におかしくなった。
「な、な、な、な、何を根拠に!?」
口調がおかしいですよ?
先程までのキャリアウーマンばりの仕草が今では見る影もなく狼狽えている。
しかも…うわぁ~、眼が泳いでる。めっちゃ、俺と視線を逸らしてるし、変な汗も流してるし……確定だな。
次元管理局=ブラック企業、図式が完成した。
「…では、採用の話は無かったと言う事で…」
殺された挙げ句にまた社畜とか冗談じゃない。
俺は立ち上がり、その場を去ろうとした。
けど、ふと脳裏に疑問が浮かんだ。
俺、どこに行けばいいんだ?
その事に彼女も気付いたのか狼狽えていた仕草が成りを潜め、背もたれに身を投げ出しながら見下ろすように俺を見つめた。
「行く所なんて無いわよ?死んだんですもの。言われなかったかしら?」
彼女の言葉に店員の一言を思い出す。
『こちらの世界には二度と戻ることは出来ません』
店員のあの笑顔を思い出し歯軋りする。
さっきまでの狼狽えぶりが嘘のように彼女は余裕の表情で俺を見つめてやがる。
「…くっ」
言葉が出てこない。
俺に最初から選択肢なんて無かった。
そして、俺は半ば強制的にブラック企業と判っている次元管理局に就職することになった……。
読んでいただきありがとう御座います
(*´ω`*)
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