File・17 誤魔化そうとすれば必ずバレます……
「……っで、どうするんですか?」
幼女先輩が意識を失い倒れている変態もとい俺から距離を取り、つま先で不安げに突っつきながら彼女に尋ねていた。
「そうねぇ……どう思う?スクルドちゃん?」
彼女が微かに微笑を浮かべて俺を見下ろしながら幼女先輩に逆に聞き返す姿に一瞬、ビクリと身体が震えた。
うん、バレてるな……。
その姿をチラ見して直ぐに目を閉じたけど俺の顔から冷や汗がダラダラ流れてますが彼女は敢えて気付かないふりをしてくれているようです…。
俺は勿論、起きてますよ。二人にバレないように無心で平常心を保ちながら気絶しているフリを演じてます。けど、彼女にはバレている模様です……ってか、やっぱり神様じゃねぇか。
幼女先輩の名前は俺でも知ってる女神の名前だ。
幼女先輩の名前を知って思わず心の中でツッコミを入れてしまった俺はチラリと幼女先輩もといスクルド先輩を盗み見る…うん、大丈夫そうだ。
俺が気絶していないことに気付いていない。
どうやらある程度の距離を開けると、この空間内でも人の心を読むことが出来ないらしい。
ホッと胸を撫で下ろした俺はうっすらと目を開け……ふっふふ、転んでもただで起きてなるものか。そう、俺は寝そべっている。
つまりは彼女達を下から見上げる形になるわけだ。つまり、それがどういう意味を持つのか?
答えは簡単だ。
彼女のスカートの中身が見えると言うことだ。
そう!男なら一度は夢見る三角地帯をみすみす逃す俺では断じてない!
そんな無駄な気合いと共に脳内メモリーに残すべく俺はうっすらと開いた眼で彼女のあの場所をのぞき込もうとした瞬間……。
ガンッ!
彼女の履いたヒールが俺の脳天を直撃した。
………っ!?
嗚咽を吐こうにも声を出せばスクルド先輩に気を失ってる演技が気付かれる。
必死に声を押し殺し痛みに耐える。
「どうしたんですかぁ?」
彼女の行動に首を傾げながら問うスクルド先輩に彼女は満面の笑みを浮かべながらチラリと俺に視線を向けた後、口角を最大限まで引き上げ微笑を浮かべた。
「何でも無いわよぉ?少し気になったから一応、確認のためにねぇ。ほら、万が一もあるからぁ」
俺の脳天をグリグリと踏み付けながら彼女は慈愛に満ちた微笑を浮かべている。
この状況で俺に勝ち目など無い。
……わざとだろ?俺が気が付いてることを知ってて、わざとやっているだろ?
痛みに堪えながらうっすらと開いた瞳で彼女を睨みつけるが、彼女は微かに頬を緩ませながら気付かないふりをしている。
……最悪だ。
彼女の行動を不思議そうに見つめながら首を傾げていたスクルド先輩は何かを思い出したかのようにハッとした表情を浮かべた。
「…ちょうど良かったです。これを見てもらえますか…い、いつもの……です」
少しばつの悪そうな表情でスクルド先輩はまな板から…もとい控え目な胸元からキューブを取り出して彼女におずおずと差し出した。
「…またなの?」
スクルド先輩から差し出されたキューブを心底イヤそうな瞳で一瞥した彼女は眉間に皺を寄せて不機嫌さが増していくのが手に取るように判った。
……えっ?なんで分かるかって?
そりゃあねぇ…俺の脳天をグリグリしている彼女のおみ足の力が更に籠められたからだよ…痛ぇよ。
まぁ、ただね俺もバカじゃない。
痛みに耐えきれず声でも上げようもんなら更に痛い目に遭わされるのは火を見るより明らかだ。
社畜の俺は空気を読めます。
だから耐えます……理不尽な痛みに涙しながら。
「っで?今回は何をやらかしたの…あの娘は」
受け取ったキューブを展開しながら彼女は事の顛末を責任者であるスクルド先輩に問い質す。
その口調には諦め半分、苛立ち半分の非常に際どいものに感じられた。
「…今回はマジでヤバいです」
彼女に視線を向けることの出来ないスクルド先輩は瞳を泳がせながら冷や汗をダラダラ垂れ流す。
「…ホントに酷いわね。この世界、完全に無限回廊に入ってるじゃない」
真っ赤に表示された映像を見つめながら呆れた表情で彼女は額に手を添える。
「この件で報告に上がろうと思ってまして…」
彼女の気配にしどろもどろに説明するスクルド先輩の視線がなんか怪しく感じるのは気のせいか?
「…本当に?」
案の定、彼女は疑わしげに瞳を細めながらスクルド先輩をジィーッと見つめて聞き返している。
ほれ、やっぱり……。
俺の記憶が確かならスクルド先輩は余所の部署に頼もうとしていたはずだ……間違っても彼女に報告をしようとしていたはずがない。
……勝機!このチャンスを逃すのはあまりに惜しい。俺の社畜魂がそう告げている。
「……うぅーん」
わざとらしくうめき声を上げ瞳を開く。
「気づいたの?変態君……イヤなタイミングね」
スクルド先輩が露骨にイヤそうな表情を浮かべるのを横目に俺は彼女に視線を向ける。
「…あのぅ、足を退けてもらえませんか?」
未だに俺の脳天をグリグリしている彼女に声をかけながらも俺の瞳は勿論、その先を見ている。
……結果として、はい予想通り……いや、予想を大幅に超える仕打ちを受けました。
ドカッ!バキャッ!
おれの脳天をグリグリしていた御み足がふいに離れたかと思った瞬間、そのつま先が綺麗に俺の顎を捕らえて気が付くと………俺は為す術も無く宙を舞っていた。
「……ほへぇ?…………えっ?」
思わず奇妙な声を上げてしまった。
いや、なんて表現すれば良いんだろう?
確かに彼女は俺の顎を捕らえて心地よい音と共に蹴り上げたんだけど……。
不思議と痛くなかったんだ…。
いや、おかしいでしょうよ?
だって、どう考えても俺の身体の何かが砕けた音がしたんですよ?
しかも、耳元で!
でも……どこも痛くないんだ。
敢えて表現するならつま先で優しく持ち上げられて宙を舞った……みたいな?
ただ蹴り上げられる一瞬、妙な違和感を俺は感じた。それは何だか時間が止まったような、それらが巻き戻されたような奇妙な違和感だったんだ。
だけど……そんなことはどうでもいい。
なぜなら、俺はこの真っ白な空間をどこまでも駆け上がっていってるのだから…。
そう文字通りの意味で……俺は飛んでいる。
この空間に奥行きなんてモノは存在しないらしい。もっと言うなら俺は際限なく虚空の彼方までひたすら飛ばされているのだ。
「…あ~ぁ、見えなくなりましたねぇ」
流石のスクルド先輩も、ただ遠ざかっていく俺を見送ることしか出来ないらしく表情を引き攣らせながら呟いていた。次は我が身と思いつつ…。
「まぁ、死にはしないから…それより」
何でも無いように彼女は呟くと、改めてスクルド先輩へと視線を向けた。
「…うっ」
その視線に声を詰まらすスクルド先輩は諦めたかのように項垂れた。
「…っで?」
短めの言葉で先を促してくる。
「…誤魔化そうとしてました」
膝から崩れ落ちるように座り込むスクルド先輩を彼女は冷たい視線で何も言わずに見下ろす。
「そう、誤魔化そうとしたの?この私を…」
ビクッとスクルド先輩の身体が震える。
顔を上げることが出来ない。
「見くびられたものね…」
その声がスクルド先輩の身体に突き刺さる。
「…い、いえそんなことは」
震える声で否定しようとするスクルド先輩に。
「黙りなさい」
一言で制してしまう。
「はいっ…」
何も言えずただ項垂れることしか出来ないスクルド先輩であった。
呼んでいただき有り難う御座います
(o_ _)o
ブクマ、評価増えてました(≧∇≦)b
有り難う御座います<(_ _)>
今後とも、どうか宜しくお願いいたします
(o_ _)o
では、失礼いたします




