File・15 幼女先輩はサイコパス?
カレンダーの赤い日付を見て思うこと…
実際、働いてる人の方が多くねぇか?
(;・д・)
出勤時にいつもより車の量が少ないことに気付き、あぁ今日は祝日かとしみじみ思った社畜です
(T^T)(T^T)
ではお楽しみください
(o_ _)o
「…っで、どこに行くんですか?」
一抹の不安を感じながらリル先輩を部屋に残し、俺は幼女先輩の後をついて行く。
「う~ん、別の部署?まっ、行けば分かるわよ。これも、研修の一つと思えば良いわよ」
後ろからでも幼女先輩の口角が吊り上がったのが分かり俺の一不安が一気に上昇していく。
何も知らされずに連れて行かれることほど不安になることはない。知っていれば対策も立てられるからね。
ってか、研修の一つって貴女は部署に着くなり説明もなく直ぐに爆睡しましたよね?うんっ?まさか、あれも研修!?……いやいや、騙されんぞ。
俺は深読みする思考を否定する。
大概、深く考えすぎて大したことのないことに頭を悩ませてしまう、俺の悪い癖だな。
とりあえず、幼女先輩の後ろを歩きながら周囲をキョロキョロと見渡してみる。
床や壁や天井の境のない真っ白な空間、そんな表現が正しいんじゃないかと思う。
部屋の扉を開けたら、そんな風になってた。
確か最初に案内されたときは普通の通路だった気がするんだが……うん、意味が分からない。
とりあえず、どこまでも続く真っ白な空間に遠近感が狂ってしまう。幼女先輩の後ろを歩いているが先輩と俺の距離感すら把握できない。
「なんか……スゴいですね。ここは何なんです?」
周囲を見渡しながら尋ねる俺に幼女先輩は軽く後ろを振り返りながら人差し指を立て左右に動かす。
「ちっちっち、甘いよ新人君。この程度で驚いていてどうするの?先は長いよぉ」
えっと、説明は無しですか?普通、こういった展開って、この空間?通路?の詳しい説明してくれるのが普通じゃないですかね?俺って新人ですよね?
幾つもの疑問が脳裏を過ぎるが考えるだけ無駄だと何故か達観してしまう。
まぁ、なるようにしかならないんでね。
それよりも一つ気になる事がある。
幼女先輩の名前だ。
どうしても、気になってしまう。
ただ…聞かない方が良いんじゃないかと意識の片隅で考えてしまう。だってさ、もし俺でも知ってる神様の名前とかだったら……ねぇ?
幼女先輩の後ろ姿を見つめながら考える。
「…私の名前を知りたいの?」
ふいに立ち止まり、徐に幼女先輩が振り返る。
その表情は大きな瞳を見開き、口角を最大に上げながら不気味な笑みを浮かべている……こぇーよ。
うんっ?俺、口に出してたか?
口元に手を当て不安げな表情を浮かべる俺に瞬き一つしない幼女先輩の瞳が見つめてくる。
「……っ!?」
言葉に出来ない重圧を感じた。
気が付けば幼女先輩は俺の目と鼻の先で見上げるように大きな瞳を真っ直ぐと俺に向けている。
「本当に知りたい?幼女先輩の名前」
背筋にゾクリと寒気が走った。
一度たりとも口にしたことのない目の前の先輩のあだ名……これは、ヤバいやつだ。
「心が読めるんですか?」
俺の問いに不気味な笑みを浮かべる幼女先輩、いや心が読めるなら名称を改めよう……うん、そうしよう。
「ゴクリッ…」
俺は緊張のあまり乾ききった喉を潤すように無意識の内に唾を飲み込んだ。
笑顔が素敵で知的な美少女先輩!!
俺は目を閉じて心の内で無心にそう叫んだ。
瞳を閉じてはいるが気配はハッキリと感じる。
更に近付いてくる幼女先輩の気配にビクリと身体が震え嫌な汗が頬を伝う。
「…新人君」
かなり低い声が耳を打つ。
「はい…」
俺は瞳を閉じたまま直立不動で微かに震えている声で小さく返事をする。
瞳を開く勇気なんてあるわけないだろ。
だって……恐いんだもの。
暫しの沈黙に俺は生きた心地がしない。
こんな状況はかなり久し振りだ。新人の頃、右も左も分からない状況で取り返しの付かない失敗をしたとき以来だ……あれは酷かったな。
「…ゴクリッ」
再度、唾を飲み込む。
どれくらいの時間が過ぎたのか分からない。数秒のような気がするし数分のような気もする。
これ以上はとてもじゃないが耐えられない。
勇気を出して……勇気、勇気…どうとでもなれ!
俺はうっすらと瞳を開く。
この時点でビビってるのは明らかだけれど、これでも勇気を振り絞ってます……勘弁してください。
けど、やっぱりこの世界の人?はどこか斜め上をいってるって事に気付かされたよ……。
だってね、俺の視界に飛び込んできた景色ってね…幼女先輩が頬を赤らめながら両手は後ろ手に組んで……精一杯に背伸びして近付いているんだよ。…幼女のキス顔が。
はい…俺は心底、驚きます。
そして……。
「うわぁ!?」
思わず素っ頓狂な声を上げながら仰け反る俺に幼女先輩は前のめりに倒れ込んだ。
ゴンッ。
うん、良い音したね…。
もちろん両手は後ろ手に組んでるから顔面から倒れ込んでましたよ…あれは痛いな。
ピクリとも動かない幼女先輩の姿に俺は思わず視線を逸らすと彼女は無言でむくりと起き上がり俺の方へ振り返る。
視界の隅に幼女先輩の姿が見えた。
おでこが真っ赤に腫れ上がってるよ……。
「痛いわ…何で避けるのよ?」
涙目でおでこを撫でながら恨めしそうに幼女先輩は俺を見つめてくる。
いや、避けるだろ?
意味も分からず幼女がキス顔で迫ってくるんだよ?しかも、さっきまで恐怖を煽るような笑みを浮かべて近付いてきたにも関わらずだよ?
俺の判断は正しい…はず。
何だか自信が持てない。
目の前で涙目の幼女が見つめている光景…うん、あっちの世界なら通報もんだな。
野次馬に警察を呼ばれて意味も分からず幼児虐待で逮捕され世間から抹殺される。
多分だけど、この幼女先輩なら俺の後ろ姿を見つめながらニヤリと嗤うんだろうな……。
こっちで良かった……って、そんな訳ない。
ホッと胸を撫で下ろした自分の考えを大きく首を振って否定する。なんで……こうなった?
チラリと幼女先輩に視線を向けると何故か目が合いポッと顔を赤らめ視線を逸らしモジモジとし始める姿に俺は唖然とした表情を浮かべてしまう。
その行動の意味が分からず、俺は首を傾げながら幼女先輩を見つめることしか出来なかったんだ。
呼んでいただき有り難う御座います
<(_ _)>
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