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時の女神と社畜な俺~女神に騙され扱き使われる…~  作者: 村山真悟
第一章 社畜は上司に恵まれない
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プロローグ・いきなり殺される!?

この作品は見切り発車です


今後どのようになるのか判りませんが


よろしければ読んでいって下さい


では、お楽しみ下さい


 風が吹いた、静かなときの中で…。


 僕らは忘れない。


 あの時の想いを、彼女との日々を。


 これは時の物語。


 僕と彼女の暇つぶし。


           *


 俺は目覚めると奇妙な違和感を感じた。


 というより唖然としながら呟いた。


「…ここ、どこだ?」


 明らかに見たことのない場所だった。


 周囲を見渡す。


 絢爛豪華とはこういうことを言うのかと思えるほど室内は煌びやかに満ちていた。


 内壁に施された赤を基調とした幾何学的な紋様には金の刺繍が施されている。天井を見上げれば巨大なシャンデリアが頭上を覆っていた。


 意味が判らない。


 あやふやな記憶を思い出す。


 そう、俺は……。


「たしか、ファミレスで…」


 記憶の糸をたぐり寄せる。


 憶えているのは深夜残業を終えて二十四時間営業のファミレスで注文をした……までの記憶しか無い。


 あり得ない書類の束と明日までの期限に頭痛を憶えながら何とか終わらせた俺は帰る気力を完全に失っていた。


 まるで、夜光灯に群がる蛾のようにフラフラとファミレスに入り四人がけの窓際のソファにぐったりと座るとテーブルに備え付けられたメニューをボンヤリと眺める。


 頭が働かない。


 当然だろう。


 睡眠時間が僅かに四時間で一週間……社畜、そんな言葉が過ぎる一週間の最終日の金曜日、生きてるのが不思議なくらいだ。


 コンッ。


 ぼんやりとメニューを見ていた俺に店員が水の入ったコップをテーブルに置きながら満面の笑顔を向けてくる。


 金髪の長い髪を後ろで無造作に束ねた、う~ん、多分十代?な女性の店員が目の前に立っていた。


「いらっしゃいませぇ~?」


 何故か疑問系の店員さんに少し頭を抱える。


 語尾が違うだろ…。


 ツッコミたい欲求も疲労が制止する。


 先ずは栄養だ。


「えっと、じゃあコレとコレを」


 メニューの写真を指差し、注文すると店員がメモを取りながらファーストフード店並の接客を笑顔で行ってきた。


「ご一緒に時の旅はいかがですかぁ~」


 どこのお店ですか?


 思わずツッコみそうになる。


 この店員、なかなかやるな。


 なんて思いながらも店員のオススメに疑問が浮かぶ。なに?時の旅って?


 満面の笑顔に思わず聞き返す。


「はぁ?」


 何を言ってんだ?この店員は?


 それとも、俺の耳がおかしいのか?


 頭に疑問符が乱立する。


 けれど、仕方ない。


 俺の働かない思考が何故か彼女を同士(社畜)と認めてしまう。うん、きっとそうだ。


 思考が何故か正当性を持って訴えかけてくる。


 ちなみに今は深夜三時……。


 仕方ないことだろう?


 きっとこの娘も働き過ぎで何を口走っているのか判らないんだ……うん、きっとそうだ。仲間(社畜)の筈だ。彼女をチラ見して思わず頷く。


「じゃあ、それも」


 思わず頼んでしまった。


「あっりがとうございますぅ~。注文を繰り返します。時の旅極上コース承りましたぁ~」


 満面の笑顔で注文を繰り返す店員。


 ちょっと待て……。それだけじゃないだろ?


 メニューから選んだ料理はすっ飛ばされている。


 どちらかというとそっちがメインだろ?


 なんで、スマイルゼロ円がメインになってんの?しかも、特上コースって……恐いわぁ、同志(社畜)って。


 何気に思考は常に店員に対してツッコミまくりなのだが…現実の俺は疲れ切っている。


 あくまで疲れているだけだからな。


「…それで」


 その一言で済ませてしまった。


 今でもツッコんで完全否定してれば……と後悔しているのは今の俺にとって人生最大の失敗だと思っているからだ。


 だって、そうだろ?


 メニューから選んだ料理だけを頼んでおけば、こんな後悔だらけの人生なんて歩むことはなかったんだから。


 パタパタと厨房に消えていく店員の後ろ姿を見送りながら俺は持ってきた水を勢いよく飲み込む。


「オーダーです。時の旅極上コース入りましたぁ~」


 店員の声が厨房に響くと騒がしかった厨房が一瞬で静まり返り、直後には歓声が上がった。 


「マジかぁ~!よくやったぁ~!」


 厨房で喜びの声が微かに聞こえる。


 俺は少し冷静になる。


 疲れていたとはいえ俺は何を頼んだ?


 店員の言葉を思い返す。


 時の旅極上コース…なんじゃそら?


 ポケットから財布を取り出し中身を確認する。


 福沢さんが二枚……いけるか?


 極上コース、いっちゃう?


 財布の中身を確認しながら思考が可笑しなテンションになっている自分に気付く。


 うん、やっぱり疲れてるな俺…。


 最悪、カードでいいか。


 開き直ることにした。


 まぁ、ファミレスでぼったくられることはないだろう。そんな安直な考えを自分に言い聞かせる。


 水を飲むことで若干、眠気が覚めた俺は何気に外の景色を眺める。街明かりが未だに爛々と輝いており、雑居ビルの一室にはまだ明かりが灯されている場所がある。


 頑張れ、仲間達(社畜)……。


 少し涙目になりながら心の中で呟く。


 あの世界から抜け出せてホッとしている。


 漸く休みだ。


 明日……いやもう、今日か。


 帰ってぐっすり眠ろう。


 携帯もオフにしてやる。


 鼻息荒く意気込んでみても所詮は社畜を自認する彼にはそんなことは出来るはずもない。


 携帯が鳴れば躊躇しつつも対応してしまう。


 哀しき社畜の性である。


 それにしても、客が少ないな。


 なにげ店内を見渡す。


 普段ならこの時間でも若い子達がたむろしている光景をたまに見かけるのだが今日は俺を入れても数えるほどしかいない。


 まぁ、金曜日だしな……。


 哀しくなってきた。


 何で、俺はこんな時間に一人で飯を食おうとしているのだろうかと、考えてはならない思いが脳裏を過ぎる。


 先日、彼女から別れを告げられた。


 学生時代から付き合ってきた彼女だったが、社会人になってから社畜人生まっしぐらの俺について行けなかったらしい。


 まぁ、しょうがない。


 仕事中の使用電話は無視、メールの返信もたまにしか返さない、デートしてても電話が鳴れば即出社……非道いな。


 良く三年も我慢してくれたと逆に感謝しなければならないだろうな……ごめんな、鳴海。


 心の中で彼女()に謝罪する。


 それにしても……飯はまだか?


 疲れすぎてて時間の感覚がおかしいが明らかに遅い気がする。基本、ファミレスって出来合をチンする(個人的偏見)だけだろ?にしては遅すぎる気がする。


 時計をチラリと見る。


 うん、三十分は経過してる。


 俺はため息をつきながらテーブルに備え付けの呼び出しベルを鳴らす。


「はぁ~い、ただいまお伺い致しまぁす」


 さっきの店員が元気よく答える。


 笑顔を浮かべながらパタパタと駆け寄ってくる店員、その手には何やら奇妙なモノを握りしめている。


 なんだろうか?


 妙な違和感がある。


「お待たせしましたぁ、ご注文の品の準備が出来ましたので立ち上がって頂けますかぁ~?」


 笑顔で断つように促す店員、その手にはなぜだろう?フォークが握られている。


 あぁ、きっと慌ててきたんだ…そうに違いない。


 やはり疲れで思考が鈍っていたようだ。


 何の疑いもせず自分を納得させて俺は店員さんの前に立った瞬間。


 グサッ。


 イヤな音が聞こえた。


「…えっ?」


 俺は現実が理解できず音のした場所へと視線を向ける。そこには、店員さんの持っていたフォークが深々と俺の心臓に突き刺さっていたんだ。


「では、時の旅極上コースをお楽しみ下さい。あっ、あと言い忘れていましたがこちらの世界には二度と戻れませんのでご了承下さぁ~い。では、良い旅を」


 俺から吹き上がった血飛沫を浴びながら満面の笑顔で説明を行い最後には深々とお辞儀をする店員さんの姿……それが俺の憶えてる最後の記憶だった。


 そう、俺は死んだのだ。


 俺こと板崎渉(いたさきわたる)は、26歳という若さで何故かファミレスの店員に笑顔で刺され、その生涯を終えることとなったのだ。


 そして、気が付くと俺はあの場所に居た。


 

読んでいただきありがとう御座います

(o_ _)o

どうでしたでしょうか?


よければブクマ、評価してもらえるとモチベーションが上がります


(´V`)♪


かなりの不定期となりますが長い目で付き合って頂けたら幸いです(o_ _)o

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