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干支達の夢

干支達の夢 その一a【ねずみ】

掲載日:2014/11/07

干支に関するショートショートです。今回はねずみ編です。長さはほぼ葉書一枚分。一分間だけ時間を下さいませ。

「あなたってまるでねずみのようね」


 タクシーのドアが閉まる瞬間、女がそう言った。知り合って

からまだひと月。初めてのデートの後、での事だ。


「えっ?」

 

 振り返った時にはタクシーは走り去った後で、そこには微か

に甘い排気ガスの匂いだけが残っていた。


 ねずみみたい? このオレが? 道路に突っ立ったままで男

は自問自答した。この言葉は褒め言葉なのか? そう、今日の

オレは充分紳士だったはずだ…

 アパートに帰ってからも男は考え続けていた。まるでねずみ

のよう…

 これはいったいどんな意味なのだろう?


 男はネズミと聴いてのイメージを改めて並べてみた。おそら

く世界で一番有名なねずみ、ミッ●ーマウス。それに続くト●

とジェ●ーのジェ●ー。大人も子供も大好きな可愛いヒーロー

だ。

 他には、と。日本で考えれば庶民の味方の義賊ねずみ小僧。

これも華やかで陽のあたるメジャー級か。


 ここまで考えて男は反省した。今オレはいい気になっている

ようだ。オレは自分の分というモノを知っているはずではなか

ったか。

 それでは、あ、ゲゲゲの鬼●郎のねずみ男! 途端に暗い気

持ちになった。ああ、干支!

 だが、一番最初なのは、お人好しの牛を利用した小狡い作戦

のお蔭だ。

 いやいや、お話の世界だけじゃなく、実物のイメージは、と。

 やっぱり男は眉をひそめた。何だよ、薄汚く、暗い下水を逃

げ回る卑怯者じゃないか。


 でも、待てよ? 男はふと思う。実験動物のモルモット。あ

れもねずみだ。奴らのお蔭でどれだけの科学的医学的な進歩が

あったことだろう。それにオレが一番好きなバンド、ブ●ーハ

ーツ。彼らも唄っていたではないか。ドブねずみみたいにキレ

ーになりたい、写真では表現できない美しさがあるから、と。


 男の脳裏に様々な考えが浮かんでは消え、また浮かぶ。喜怒

哀楽の繰り返し。このままじゃとても安心して寝られない。

 

 男は携帯電話に手を伸ばし、女にメールを打った。【最後に

言った言葉、あれ、どういう意味? そりゃ、オレは大した男

じゃない。でもあれは酷い】

 すぐに返事が返ってきた。【酷いって? あれは褒めたのよ。

泉のように次から次へと話題が尽きないって♪】


 いずみ? ねずみじゃねえのかよ! ホッとしたのと同時に

少し淋しく思えたのは、男の中に潜んでいるねずみ達のせいば

かりじゃあるまい。

固有名詞のミッ●ーマウスやト●とジェ●ー、ねずみ男、そしてブ●ーハーツのドブネズミみたいに~などは著作権違反になるのでしょうか?もしそうなら一部を伏字にしますけれども、どうなんでしょうね?

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