第十四話 旅立ち
すみませんでしたっ!!
忙しくなる日々と悪化する持病、その他etc...
その上、短いです←
一章のプロローグと思ってください
3000年前に封印された魔神が目覚めた世界――《エレンシア》
その世界の一角に『勇者』を召喚し、エルフが降りたった国――《グランゼン王国》がある
その目印とも成るグランゼン城を取り囲む様に鬱蒼とする木々が生い茂った《ルミセタ樹海》
昼も夜も判断付かないこの樹海を突き進む背中の中間まで伸びた黒髪を靡かせる女が居た。
白い甲冑を着た男の襟を掴み引き摺り歩く。
「…はぁーぁ……全く…ほんとこっちでいいのかしら?」
「ぐほぉ……がは……もう、すぐだ……城が…見えて来ただろ…?」
「ん、ほんとだ。じゃ、アンタは用済みよ。さよなら」
背中に逆さの白い十字架の入ったトレンチコートを一瞬、はためかせた女。
刹那、グランゼン王国の旗印が入った甲冑を着た男の胴体と頸は離れていた。
「さて…お仕事お仕事」
両手で髪の毛をそっと掻き上げた女はグランゼン城を見上げ地を蹴った。
† † †
「……不自然に斬られていた、ね…」
「でもよー、確証はないんじゃね?」
「せめて、目撃証言などがあれば良かったんですけど…」
何時も通りの庭園の一角に集まった小夜達。
シンが徐に口を開き、王国闘技場で目撃した事を伝えた。
「…証拠となるべく鉄柵の一本でも持ってくるべきだったか」
「まぁ、過ぎた事よ。 それにそれだけだと、確証にはならないし」
昨件のヒドラ襲撃時に破壊された入場門は元通りに修復され、破壊された鉄柵は再利用のために溶かされ、もう何処にも存在しない。
「――でも、そうね。 もし本当にあの事件が誰かが意図的に引き起こした物なら、私達か、エルフ達を排除しようと考えてる可能性が高いわ。 各自用心しておくように。 それと……暫く『ラグズ』は使えないから慎重に動くわよ」
「使えない?」
「あの水が、か?」
「そ、無理に力を解放した代償ね」
『ルーン』に宿る意志の力を解放し具現化する。
『ルーン』を扱う者にとって奥義と言える最大の技。
解放の条件、解放後の能力は個々によって変わるが共通する弱点がある。
具現化し終えた後、数時間に渡り『ルーン』は効力を失う。
当然、『ルーン』の力を扱う事及び、常時強化されている様々な効果も失う。
故に、小夜は今までの様な大胆な行動を控える本来のスタイルに戻るという選択肢を選んだ。
「えっと……今後はどうするんですかっ?」
「そうねぇ………はっきり言って…決まってないわ」
「ガクッ……決まってないって…」
「しょうがないじゃない? する事もないんだし……いや、あったわね。『傭兵ギルド』に行くわよ」
「……はぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
「……何故、そうなるんだ?」
「でも、ちょっと楽しそうですっ!」
小夜の放った言葉に三者三様の返答。
立ち上がった4人はそれぞれ動き出した。
† † †
「……は、ははは…まさかとは思ってたけど…またかよ?」
「多分、そうだろうな」
腕に巻いた銀時計で時刻を確認するシン。
現在、シンとヴィンセントは大広間にて再び待ちぼうけを喰らっていた。
「……まぁ、待っておくべきだろうな」
シンはヴィンセントを宥め、壁に寄掛かると胸の前で腕を組み、逡巡する。
事の発端は単純。
庭園にて小夜の放った一言だ。
・『傭兵ギルド』
平人族が栄える グランゼン。
獣人族が栄える シャリオ。
有翼人族が栄える アマセネル。
3国を繋ぐ中立的な立場をとる部族集団の1つだ。
そこには各国の情勢など様々な情報が飛び交っている。
また、オーダーと呼ばれる様々な依頼が張り出され、それに見合う報酬が用意されている。
しかし、シンには一つだけ懸念があった。
元々、シンは傭兵ギルドに居た。
偶々オーダーでグランゼンへ訪れていた時に、しくじってそのまま剣闘士をやっていた境遇に当たる。
そして、傭兵ギルドには最も苦手な者がいる。
「……少し、遅れたわ」
「ごめんなさいっ…」
小夜とラミアの声が聞こえ、「まぁいい」と逡巡をやめ振り返る。
「…遅れた事はいいとして、さ。 なんで『傭兵ギルド』に向かう必要があるのさ?」
「資金稼ぎよ。 それと情報収集ね」
「最初に言っておくが…『傭兵ギルド』の各施設を利用するには『チーム』登録する必要があるぞ?」
「…執事さんから聞いてるわ。 チーム名と3人以上のメンバーが必要なんでしょ?」
・『チーム』
傭兵ギルドに属する証として、情報を登録する必要がある。
それにより、傭兵ギルド内部に点在する様々な施設を使用する事が出来る様になる。
大広間を抜け、正門から城下町へ、城下町から馬車を借り『傭兵ギルド』ヘ向かった。
『うふふ……まだ見ぬ世界への一歩ね。 楽しみだわ。 どんな苦痛が待ってるのかしらぁ?』
「…るさい」
馬車の中に流れる風と共に聞こえてきた亡霊の声に、静かに呟き返す小夜。
その声もまた、風に掻き消された。
詳しい日時は覚えていないのですが、『ぼくがエルフで、私たちが勇者!?』のお気に入り登録数が100を超えました!!
これからまた頑張れそうです!!
ps. 先程確認した所お気に入り登録数は102でした