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交差する想い

何とか形にはなってると思います…?



諸事情により一部改変

すぐ右隣には、高い城壁がそびえ立つ。

今、隼人たちは、城を取り囲む城壁の内側にいた。


――キン、キンキン――


小刻みに響く金属がぶつかり合う音。

白い礼服をはためかせ両刃剣を振るい目の前の白い甲冑を纏った女騎士クーリヒルト・アスガルンに向かっていく、伊集院いじゅういん 隼人はやと

彼もまた、異世界に呼ばれた『勇者』、だが、彼は焦燥に駆られている。


――護ると決めた彼女を護れなかった事実。

――大騒動に発展するまで気付けなかった自分。

――前、自分が横になっていた部屋で、今、横になっている彼女。

――この世界に来てから自分は何一つやっていない。


そんな自分の無力さを葛藤を噛み締め、一心不乱に剣を振るう。


「ハヤト様。もうやめにしましょう」

「まだ!!まだだ!!!!」

「ハヤト。貴殿が焦るのも判る、が、その衝動に駆られた処で何が変わる訳でもない」

「でもッ!」


隼人の剣を弾いたクーリヒルトが悲痛な顔をする。

片膝を突いている隼人に近づいた黒豹の獣人ヴァルバトス・アッシュヒーは静かに首を振る。

尚も渋る隼人の頭上に黒い球体が現れ・・・・・・・地面に叩き付けられる・・・・・・・・・・

サン、と錫杖を縦に振るった白い三角帽子を被り白い装束に身を包んだ《戦巫女》エリオール・セント・オルトラージュ。


陣魔術闇系統――グランツ。黒い球体の真下に重力場を形成、集中的に重力を加える魔術。


「ご無礼をお許しください、ハヤト様。ですが、少し頭を冷やしてください。

今、ハヤト様は何の為に剣を振るうおつもりですか?

眠っている『魔女』さんの為?

いいえ、本当にそうでしょうか?

私には、今のハヤト様は少なくとも『勇者』とは言い難い者です」

「………判ってる…判ってるけど、俺は……俺は、小夜の傍に居ても何一つして上げられる事がないじゃないか!! だから、だから尚の事、小夜の負担を減らす為に強くならなくちゃいけないんだ!!」


地に倒れ伏せていた隼人はゆっくりと両手を突く。

吐き捨てる様に、思いをぶちまける。


「――貴方の考えは、間違ってはいませんよ。ですが、今の貴方は間違っています」






  †  †  †






私は知りたい。

あかつき 小夜さよとは?

彼女の考えとは?

だけど私には何も判らない。

だから…『勇者』から話を聞こうと思う。

ウィンは何処かへ行ったきり帰って来ないし……ヒュースはヒュースで調べ物をしてくるって出て行ったきりだしね……

フクスに匂いを探ってもらったら城の外にいるらしい。

城の衛兵に道を聞きながら城の外に出る。


「――判ってる…判ってるけど、俺は……俺は、小夜の傍に居ても何一つして上げられる事がないじゃないか!! だから、だから尚の事、小夜の負担を減らす為に強くならなくちゃいけないんだ!!」


瞬間、振り絞るような慟哭が耳に入る。

…誰だろう? 急ぎたいけど…気になるなぁ…よし、先に声がした方へ行ってみよう。

そのまま私は走り出した。


エルフの身体能力は一般人とは比べ物にならないぐらい強靭だ。

100mを測ったらものすごいタイムを叩き出せるんじゃないか?と錯覚・・してしまう程に。

…そう、錯覚してしまう。(閑話休題)


まぁ、そんな訳で適当に走るだけで、目的地まではすぐに辿り着ける。

辿り着いた先で想いもよらない光景を目にした訳なんだけどね…


「――貴方の考えは、間違ってはいませんよ。ですが、今の貴方は間違っています。憤怒に身を任せ、激情の赴くままに刃を振るう。それを間違いと言わずして何と言いましょう?」


……全く、何でこの体エルフはこういう事を口走るんだろうか?

私の意志とはかけ離れた言葉をね。


「…エルフ…?」

「ええ、フォル・モーントと申します。以後お見知りおきを…」

「貴婦人が、かの……これは失礼致した。拙僧はヴァルバトス・アッシュヒーと申す」

「初めまして。《戦巫女》エリオール・セント・オルトラージュです」

「クーリヒルト・アスガルン…宜しく頼みます」

「貴方方の噂も予予かねがね窺っていますよ」

「……伊集院 隼人です。何の用で此処へ?」

「ああっ…そうでした…『魔女』さんについてお聞きしたいと思いまして…少々お時間を頂けるでしょうか? 人前では話し辛そうですね? では、場所を変えて二人で話しませんか?」


こういう会話は一方的に突っ切るのが有利。

人の表情から感情を読み取る事は得意だしね。

『勇者』伊集院 隼人君が、僕が『魔女』の事を口にした瞬間、辛辣な表情をしたのを僕は見逃さない。

だから、提案する。

少しでも知らなきゃいけない。

この世界を生きて、魔神を倒して、|詩織里(しお

り)に会うためには、無知じゃ駄目なんだ。

理解しないと、互いを支え合わないと駄目だと思うから。

私は、知りたい。

暁 小夜の事を――――――






  †  †  †






何処までも広がる悠久の白い空間。

その空間にぽつりと佇む一つの黒、否、漆黒のゴシック&ロリータ服を纏った少女――あかつき 常夜とこよ

何もない空間に腰掛け細い両腕で膝を抱えむ様に身を縮め、上を見上げる。


『――ここに来るのは久しぶりね……小夜』

「…来たくて来てる訳じゃないわ。 姉さん」


ジッと上を見上げていた常夜が不意に声を上げる。

その声にうんざりした不機嫌そうな声が反応する。

何時の間にか、黒は二つに増えていた。

――あかつき 小夜さよ

常夜と同じ仕立てのゴシック&ロリータ調の服を纏う少女。


2人の差異はそう多くはない。

小夜は白いブラウスを着ているのに対し、常夜は黒のブラウス。

小夜は黒レースのリボンで髪をポニーテール風に束ねているのに対し、常夜は長い髪を下し、黒レースのリボンを首輪の様に結んでいる。

服装の違いはそれだけだ。

その美貌は生き写しのように似ている。

だが、表情が違う。

小夜は常に不機嫌そうにしているが、常夜は小夜が浮かべる事がないだろう嗤いを浮かべている。

純粋な悪意に満ちた満面の嗤いを。


『うふふ……もうすぐよ…目が覚めるわ』

「…それだけの為に私を呼んだの?」

『いいえ、違うわ。愚かで愛おしい妹の為に1つだけ忠告しておこうと思ってね。

禍いは、すぐそこまで来てるわ。

それも極上の悪意に満ちた晩食ディナーよ。

それだけじゃないわ、小夜?

辛いでしょう?何処とも知らない場所に投げ出され、挙げ句の果てに向けられるのは悪意ばかり。

だから、私に言ってくれれば何時でも殺すわ?

国民も、王様も、騎士も、私達を侮蔑する者たち、み~んな、殺しましょう?

そして、教えるの、自分達が荒れ狂う河川の堤防を怖そうとしている愚民だと言う事を』


常夜はスッと小夜と同じ高さに降り立ち、愛おしげに頬を撫でる。


「…るさい………忠告だけは素直に受け取っておくわ。しばらくは『ラグズ』の直感に頼れないんだし」


ハイライトの消えかけた小夜の双瞼と、淀んだ光が煌めく常世の双瞼が互いを移し、見つめ合う。

頬に当てられた手を払いのけ、小夜は断言した。


『ええ、その通りよ……そろそろ、ね。 うふふ…またここで逢いましょう。小夜』

「ふん、二度と御免よ」


その言葉と共に小夜の姿は何処からともなく吹いた横凪の風に揺らぎ、砂塵のように消えた。


『うふふ…はやく目を覚まさしましょう? 王サマ』


常夜は再び何もない空間の空を仰いだ。





―――――――――






目が覚めた。

左手を握り、感覚がある事に安堵する。

小夜は寝起きのぼんやりとした感覚のまま上半身を起こした。

窓の外から聞こえる小鳥の囀りを聞きながら。

夢うつつの状態から抜け出す。


「……少し休み過ぎたかしら?」


誰も居ないこの部屋でぽつりと呟いた小夜はベッドから降り、扉を開け、外へと踏み出した。

1章の大体の感覚は出来ていますが……その形に出来るかどうか不安です

出来るだけ速めに投稿したいですね!!


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