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エピローグ:不正アクセスで逮捕されて警察の頑丈な取調室にぶち込まれていたから、大地震でも俺は生き残った件。でも、気付いたら、チートなしで異世界に飛ばされていた

1ドル=175円の攻防が幕を閉じ、東京市場には一時の静寂が戻っていた。

アメリカの協調介入という巨大な政治的質量によって、為替チャートの狂乱は抑え込まれ、現役世代のNISAパニックも、ハゲタカたちの空売り攻勢も、ひとまずの終着駅に辿り着いたかのように見えた。


ネットの海では、国家の嘘を見抜いた若者たちが、手に入れた外貨資産の数字を眺めながら、これからの過酷な時代を生き抜くための冷徹な算数を語り合っている。

年金は世代間の支え合いという、お花畑は消し飛んでいた。


最初の預言者となった佐藤は、警察の狭い一室で取り調べを受けていた。


不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反(不正アクセス禁止法違反)

電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法第234条の2)

電磁的記録不正作出及び供用罪(刑法第161条の2)

それが彼の罪名だった。


だが、彼はこうも思った。

国が私を罰するのではない。罰したのは私だと。


自分が解き放った試算が、この国の経済のハリボテを引っぺがした。その結果刻まれた「175円」という傷跡は、このような偽りのシステムを温存するために情報を隠蔽し、少子高齢化を先送りし続けた国家への天罰だ。


そして、彼の算数の計算は、すべて終わった。


だが、佐藤ですら大切な事を忘れていた。

算数の計算が終わったからといって、確率のダイスが振られるのを待ってくれるわけではないということを。


人間がどれだけ賢しくマネーゲームの帳簿を書き換えたところで、地下深く、数万年の周期でこの島国を削り続けてきた地殻変動には、なんの関係もないのだ。


カウントダウンは、とっくにゼロになっていた。


──激しい揺れが、始まった。



国の最新の想定(2025年3月31日公表)では、内閣府の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」が、南海トラフ巨大地震の経済被害額を最大約292兆円と試算。


内訳としては、


建物・インフラなどの直接被害:約225兆円

生産やサービス低下など:約45兆円

交通寸断など:約22兆円


を合計した数字です。


これは日本の名目GDPの半分近い規模とされ、2013年の前回想定(約220兆円前後)より大きく増えました。背景には、建設費や資材価格の上昇などがあります。


東日本大震災における社会資本や住宅、民間企業設備などの直接的な被害額は、内閣府の推計で約16兆9,000億円となっており、南海トラフ大地震はその17倍以上の被害となっています。


東日本大震災クラスの地震が、17年、毎年発生するほどの大被害。それが南海トラフ大地震の一撃で起こる時、年金や健康保険といった社会保障システムが一体どうなるのか? 誰も知らされていません。



佐藤は後に知る。

脆弱な地盤に旧耐震基準で作られていた彼の古いマンションは倒壊。

しかし、警察署などの公共の建物は耐震性が高く、留置されていた彼は震災を生き延びた。

何故、それなりに高い地震発生確率を事前確率とした、社会保障のリターンや事業継続性に関する試算や研究などがあまり存在しないのか。その疑問からこの物語を構成しました。

それと、最近の円安を参考にして混ぜ合わせたものです。


この小説には、善人は全く出てきませんのであしからず。佐藤に反省の様子はなく、エランは金儲けて勝ち逃げです。

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