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果て無き少女等に大いなる洗礼を  作者: 名仮
第一章 人界編
1/2

始まりはいつも唐突に




…灰色の夢を見た。

大地が割れ…

灰が降り続け…

天が大粒の赤涙を流している。

元の地面の色も分からぬ程に灰が降り積もったその大地の上に…

私は1人で立っていた。


自分の意志と関係なく身体が動きだす。


足は止まることを知らぬかのように自身を前へと進ませる。


どうやらその歩みを止めることは出来ないようで、

身体はまるでほかの誰かの意思のもと操られているかのような…

そんな形容しがたい感覚に、

私は不思議と居心地の良さを感じていた。






…どれくらい歩いただろうか…



30分は歩いたように感じるが、

1日歩いたと言われても納得するような…

いつまでも変わらぬ風景に飽きを感じ始め、

明瞭な意識に囚われ始めた時…



一人の"少女"の前でその足は止まった。



いつの間にか目の前に現れたその"少女"の顔は靄がかかった様に見えない。…が、その立ち振る舞いと…

なんというか"格"のようなものから、

ただものではないことが分かる。


…ん?なんで私…少女って思ったんだろう?



そう思ったとほぼ同時に、

頭の中に声が響く。


───今はまだ…そのときじゃない───


不明瞭な視界と意識が…

その時だけ透き通ったように…

言葉が私の脳を通り過ぎていった。










──────────────────



……私はいつもの部屋にて目覚めた。


「……知ってる天井」


時刻は…昼頃か。

なんの変哲もない普通の部屋…

とは言えないくらいには汚い汚部屋。

別に何も無い普通の朝…いや昼時。

そんな締りのない目覚めの中、

二度寝の悪魔に誘われそうになりながらも、

身体にムチを打ちベットに腰掛ける。


「…起きるか」


そうポツリと落とした一言が…

静寂の空間に沈んでいった。




───────




狭い家故、

自身の部屋の扉を一つ開けるだけでリビングへと繋がった。


あまり綺麗とは言えない乱雑した床とテーブルの中、置き手紙が1枚視界にはいる。



──今日夜遅いからバイト終わりに飯買っといて。お釣り出たらもらっていいよ。母──



紙の上には3000円が置いてあった。

母、私、妹、妹。

女4人という面白い家族構成である我が家ならば、

3000円もあれば充分なお釣りが出るだろう。



(バイトは…13時からで、

今は12時前か…準備しよ。)



顔を洗い、軽くメイクして、朝食兼昼食を取り、着替えて外へ出る。


平日の昼間、

東北の田舎の住宅街…と、

ここまで重なると人通りは絶望的なものとなる。


見慣れた街並みと道程。

いまさら何か思うようなこともないため、

脳みその中めんどくさい一色のままバ先へと向かう。


「…お疲れ様です」


「あぁ、おつかれ」


数少ない人とのコミュニケーションを何とか乗り越え、

スタッフルームにて着替えを済ませ、

労働を開始する。


2人体制での勤務だが会話はない。

さすがのおしゃべりなおばちゃんでも、

度重なる私のコミュ弱&クソ陰キャムーブには参ってしまったらしく、

入って2ヶ月の現時点で既に見限られてしまったらしい。


(…別に…会話したくないわけじゃないんだけど…自分からは声かけるの怖い…)


そんな身勝手な思考に自己嫌悪しながら業務に入る。






───────





時刻は夕方。

下校帰りの学生が多くやってくる時間帯。


(…この時間が一番鬱だな)


私も一応年齢としては高校に通っているべき年齢なのだが、

平日の昼間からコンビニバイトに従事している時点でお察しだろう。


部活終わりの集団やカップルらしき者達、

友達と楽しそうに会話している高校生達を見ると、

自身の惨めさと愚かさを直接ぶつけられるかのようなその光景に、

自己嫌悪がさらに加速する。



(青春という二文字はここまで遠く、

そしてここまで輝かしいものなのか……

何やってんだろ私…)





──────────






時刻は21時58分。

未成年ということもあり強制的に22時終わりの為、

もう少しで上がれる事に安堵感と倦怠感を強く感じながら残りの時間を適当に潰す。





そんな時…一人の少女が入店してきた。


…そして…私はその少女に目を奪われた。




白に赤のインナーカラーの入った綺麗な長髪。

身長はあまり高くないが、

どこか気品のある立ち振る舞いと風格。

正直田舎ということもあり、それだけでかなり目につく存在ではあるのだが、

それ以上に私の意識を持っていったのは…


(顔に靄がかかってる?…なんかデジャブ……?)


その少女は何を買うわけでもなく、

店内を適当に散策し、

たまに立ち止まっては、

またなにかを探すかのように動き出す。

その繰り返し。


それだけのはずなのだが、

しかし私は未だその少女から目を離せずにいた。


(なんなんだこの気持ち…なんでこんなに強く…執着するみたいに……)


気づいた時には私はレジから出て、

彼女の元へと向かおうとしていた。


(…はッ!?なんでレジから出てんの私!?)


気づいた時にはすでに遅く、

身体は勝手に彼女へと歩み始めた。


…まるで誰かの意思のもと操られているかのように。


(ちょッ!!まじで止まらないんだけど何これ意味わからん!! 

まるで誰かに操られてるみたいに……ん?)


意味なく思考を動かす〇〇。


(なんかこの感じどっかで…)


そんな事をしても無駄だろうに。


(やばい目の前まで来ちゃった…まだ前向いてるから気づかれてないだろうけど……ちょっ!?手が勝手に!!)


〇〇の手が俺…いや私に触れる。


それと同時に……

〇〇の眼はその"少女"に奪われた。


「……ッ!!?あ゛ぁ゛――ッ……!!

ぐッ、あ゛、あ゛ぁ゛ぁ゛……っ!!

ぎ、ぁ……ッ、あ、あ、あ゛あ゛あ あ!!」


視界がなくなった。

と気づくよりも先に、強烈な痛みが私を襲った。

これまでの全てが嘘偽りだったかのように思える程、自身を、現実を、命を、生きているということを実感させる程の痛み。



「ご、ごめ……ッ、ぁ゛……ごめ゛ぇ゛……!!

ち、ちゃ……ッ、ぁ゛ぁ゛……する゛、か、か……ら゛……ッ!!」



「あーあかわいそ。痛いだろうねそりゃ…

でもごめんな、今のお前は俺でも直せないっぽいんだ」


透き通るような声。


「お、おかぁ……ッ、ぁ゛ぁ゛……さ゛……ッ!!

ごめ゛、ごめ゛ぇ゛ぇ゛……ッッ!!」



「だからちゃんと注意してあげたのに…

今はまだ…そのときじゃないって…」



透き通るような存在。


「おと……ッ、ぁ……さ゛……ッ!!

た、たす……ッ、ぁ゛ぁ゛ぁ゛……け゛……ッ!!」



「ごめんな、

今の俺じゃこれくらいしかしてやれない…」



透き通るような──


「また会える時を楽しみにしてるよ…"綾愛"」



「た、たす……ッ゛……け゛…ッ!!

――――ッ!!!」


痛みと恐怖。











─────────────────


名前・〇〇綾愛

性別・女

年齢・17

身長・162cm

種族・不明

所属・コンビニアルバイト

能力・不明


備考

ピンク色の長髪にポニテ。赤色の瞳。

基本的にジャージかパーカー。

巨乳。

女4人家族の長女。

学校は行っておらずバイト生活。

本作の主人公の一人。




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