君のことを嫌う世界で7月を繰り返す
7月20日午前11:30 天気 快晴
7月に入って20日が経った頃、もう夏の暑さを感じるようになっていた。風鈴の音や、暑い日差しが僕の皮膚をジリジリと焼いていた。
僕、夜乃奏太は友達が待つ公園へと向かっていた。
「あ〜〜暑い……まだ7月なのになんでこんなに暑いんだ……」
僕はそう言いながら家を出る時に持ってきたスポーツドリンクを飲み干した。夏の理不尽な暑さに耐えながら僕は公園に着いた。
「おっ来た来た…おーい奏太〜!今日は何で遊ぶ?ブランコ?滑り台?」
僕が思いを寄せている如月永遠は中学2年生になった今でも小学生のようにはしゃぎながら僕がいる方へ走ってきた。
僕たちがこの公園で遊ぶようになったのは7月に入った頃、永遠が捨てられていた猫を見つけ毎日のように猫の世話をし猫と遊ぶためにこの公園へ来ていた。
「今日は暑いね……まだ7月なのに気温が30度を超えるなんて……8月はどうなるんだろ……」
「永遠は夏が好きじゃなかったっけ?前は夏だ〜!って叫んでたし」
僕は永遠が7月に入った頃に叫んでいたことを思い出した。けれど今はぐったりして気力も全て削られているようだった。
「夏は夏休みとか色々嬉しいものがあったから好きだったの。でもまぁ今年の夏は嫌いかなぁ……外は暑いし、それが長い間続くから。けれど猫と遊べるだけで幸せだけどね」
君はそう呟いた。僕たちは12時くらいまで雑談をしていた。けれど永遠の膝の上にいた猫が話に飽きてしまったのか逃げ出してしまった。永遠は猫の後を追いながら街の方へ向かっていった。僕はそれを追いかけた。
10分ぐらい走っただろうか。僕と永遠はずっと逃げ回る猫をやっと捕まえた。けれど捕まえた瞬間周りの人は上を見上げて悲鳴を上げていた。その1秒後永遠の頭の上に花瓶が一つ降ってきた。ガシャンという音とグシャという音が聞こえてきた。
「え……?なんで血を流してるんだよ……永遠」
降ってきた花瓶は君の後頭部に直撃し、永遠の頭から血が吹き出た。僕はその時時が止まった気がした。君の血の匂いと目の前の光景が信じられず、吐き気が込み上げてきた。
あたりからは救急車を呼ぶ声や警察を呼ぶ声が飛び交っていた。けれど僕はその人混みの中に1人だけ僕の方を見ながら嫌な笑みを浮かべている人を見つけた。俺はその人をの方へ立とうとすると急に視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることはできない』
7月20日午前11:30 天気 晴れ
時計の針が11:30分を指していた。家の外から風鈴の音が聞こえてきた。
「はッッ……」
僕は勢いよくベッドの上で体を起こした。バクバクと鳴る心臓……僕はさっきの記憶を鮮明に覚えていた。けれどあの光景はなんだったのだろうか僕が見た夢だったのだろうか。
何にせよ起きて汗を拭き、シャワーを浴びてスマホを見てみると永遠からのラインが大量に溜まっていた。記憶はないがどうやら今日は永遠と遊ぶ約束があったらしい。永遠が生きていることを確認するために僕は永遠が待つ公園へ向かった。
「お、そ、い、もう今日は1時間の遅刻だよ……さっきまで何してたの?」
「君と一緒に公園で遊ぶ夢を見ていたんだよ。だから現実と区別がつかなくて。」
僕は永遠が夢の中で死んだことを隠しながら今日会ったことを伝えた。
「ふーん。まぁ奏太が夢の中で私と遊んでくれたのならいいけど……」
「何して遊ぶ……?今日は猫以外は誰もいないけど」
「んーブランコにでも座って雑談しようよ。夢の中の話だって聞きたいこといっぱいあるし。」
永遠はそう言ってブランコを漕ぎ始めた。僕たちは何気ない話をしていた。
「じゃあさ……どっちが靴を遠くに飛ばせるか勝負しようよ……!」
永遠は子供の頃に流行った靴飛ばしをしたいようだった。僕は今日1時間の遅刻をかましているため、何も断らずに永遠に言われるがまま靴を向こうへ飛ばした。靴は公園の外には行かず10mくらい飛んだところで転がるのをやめた。
「じゃあ次は私の番だね……勢いをつけて……飛ばすよ〜」
永遠がそう言ってブランコを漕ぎブランコを一番上まで漕いだときに永遠の頭が下を向いた瞬間に『ガチャン』と嫌な音がした。永遠は空に放り出されていた。
永遠はブランコのチェーンが2本とも切れ、頭をブランコの下のコンクリートに頭を打ちつけてしまった。夢だと思っていた記憶が蘇る。
「え……永遠……?」
僕は夢の中と同じような反応をしてしまった。けれど血の匂いや血飛沫の色などをみると体から吐き気がしてきた。周りに人がいなかったため声を出して知らせるべきだろうが僕は声が出なかった。1分も経つと視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
***
7月20日午前11:30 天気 快晴
僕はベッドの上で起きた。1度目の夢より汗がすごくシーツもぐっしょりと湿っていた。
「何が……起きた……?今回は夢じゃなかったはず……俺は夢から起きて、永遠と遊んでそして———永遠が死んだ」
それだけは覚えている。けれどなぜ僕は2回とも時間を繰り返している……?
「まさか……僕は……世界を繰り返している……?」
僕はそう思ってスマホを見てみると永遠からのメールが来ていることに気づき、公園へ行くと永遠が待っていた。いつも通り遊んでいると次は転んだ拍子に頭の位置に釘が落ちていて、その釘に頭が突き刺さって永遠が死んでしまった。
『お前は逃げることができない』
7月20日午前11:50 天気 晴れ
僕は勢いよく飛び起きた。やっぱり思った通りだった。この世界は永遠の死を起点として世界が繰り返されている。僕は気づいた。永遠を救うためにこの世界は繰り返されていることを。
それに気づいた僕は何度も世界を繰り返した。
4回目
永遠を公園から連れ出そうとしたが、工事現場の空から鉄柱がふり永遠の体を突き刺し死んでしまった。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
10回目
永遠といる猫が原因なのではないかと思い猫と関わらないようにした。けれど構ってほしい猫が毒キノコを持ってきてそれを勝手に永遠に食べさして永遠は死んでしまった。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
26回目
永遠と公園で遊ぶこと自体がダメだと思いうちの家に来てと誘ってみた。永遠は僕のために料理を作ってくれいたが、落とした野菜を拾う際に体をかがめると上から包丁が降ってきて、首に刺さって失血死してしまった。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
100回目
永遠と会わないという選択肢をとってみた。そうすると速報で銀行強盗がこの町で起き、永遠が犠牲になったとニュースで伝えられた。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
1000回目
永遠と一緒に隣町にこうと提案して電車に乗ったけれど、電車には爆弾が仕掛けられていて、警察がテロリストを刺激してしまい爆弾を起爆させてしまい、永遠が巻き込まれてしまった。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
1000000回目
永遠と結ばれたら終わると思い思い切って告白してみた。返事はOKだったが、2人で手を繋いで帰っていると、上から自殺のために人が飛び降りてきた。永遠はその下敷きなり死んでしまった。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
100000000回目
本当にこれは夢ではないかと思い眠りについた。けれど寝ていると消防車の音が聞こえてきた。外へ出てみると永遠がいる家から大きな炎が上がっていて、空を染め上げていた。視界がブラックアウトした。
『お前は逃げることができない』
****
「いつになったら……永遠を助けることができるんだ……わかってる。方法はわかってる。どうせこの世界では結末はきっと僕が思っているものだけ。けど……実行する勇気が僕には出ない……」
僕はいつも通り永遠に会いにいった。永遠とあった方が生きている時間が長いからだ。何回目か忘れてしまったが、一度見たことある光景だった。永遠は自分の猫を膝の上に乗せ猫のことを撫でていた。
「おはよう今日はだいぶ遅刻したね。許してあげるけど、次はないから気をつけてね」
永遠はいつも通り元気な声でそう言ってくれた。僕は真剣な顔をしながら呟いた。
「永遠……もしもの話なんだけど僕が事故とかで死にそうになっていたらどうする……?」
僕は永遠に聴いてみた永遠は僕に向かってこう言ってくれた。
「んー私は奏太の代わりになるかもしれないな〜。私にとって奏太が生きていることが大切だし。」
永遠は僕の代わりに死ぬと言ってくれた。そう言われた瞬間僕の覚悟は決まった。
「何を言い出してるのよ……あっ猫ちゃん……」
永遠は逃げ出した猫を追いかけて行った。永遠はそのまま進んで下を見ていて気づかなかったのか赤になった信号機に突っ込んだ。
「ふー捕まえた……!もう勝手にどこかへ行かないでよね。」
永遠がそう言っていると、トラックが永遠のほうへ突っ込んできた。永遠はそれにいち速く気づき、トラックを避けた。
僕が安心していると、トラックの後ろから車を積んだレッカー車がやってきて、僕らの目に前のカーブを曲がった。その瞬間に永遠を目掛けて車が飛んできた。僕が永遠の腕を掴み永遠と場所を入れ替えた。
瞬間———僕は車に踏み潰された。けれど……これでよかった。これで永遠が救われる。
『お前は死ぬことで俺から逃げた』
どこからかそう聞こえた。7月20日のループがここで終わった。
NOCHESです。
短編小説を書いてみました。ちょくちょく書きたいことを投稿していきますのでよろしければブックマーク登録、感想、評価をお願いします。連載している小説もあると思いますのでまだ読みたいという人は別jの作品へ言ってみてください!




