8話
トウヤは食堂に生のジャガイモが売られていたのを思い返し、早足で食堂に戻り3Dプリンターの前でスマートウォッチでメニューを開いた。
ジャガイモ10個入りを買えるだけ購入しようと連打すると2回タップした時点でジャガイモが選択から消え、とうもろこしが加えられた。
なるほど…商品は無限ではなく、売り切れると別の商品が入る仕組みになっているのか…
ジャガイモの購入を通じて売っている商品に限りがある事を学んだトウヤは屋上へ上がる為、校舎に入った。
屋上には鍵が掛かっているだろうと考えたトウヤは階段を上がり2階の職員室へと向かった。
職員室へ着くと壁に取り付けられた鍵庫より屋上の鍵を探すもちょうど屋上の鍵だけが無かった。
「チッ…」
トウヤは舌打ちをして屋上へ向かいながらドアを破壊する事を考えた。
鍵が掛かっていれば…最悪、蹴り壊すか。
その途中で廊下を歩いていて教室の中にエコバッグの様な古いカバンが落ちているのが目に入った。
小汚いカバンだが荷物を運ぶのにちょうどいい…
トウヤはカバンを拾い埃を叩いてから中にカンパンを入れて肩に掛けた。
更に歩を進めると屋上へ向かう階段の前に図書室を見つけ足を止めた。
図書室か…ネットサーフィンが出来ないここ『サコク』では本の情報は貴重だ…早速寄って行くか。
ガリリ…
トウヤが図書室のスライドドアを開けようとすると建て付けの悪さか、はたまた砂利が入り込んでいるのかドアは引っかかってなかなか開かなかった。
苛ついたトウヤが力任せに開けて中に入ると、近くに受付カウンターの様な机が有った。
トウヤは机の引き出しを開き中を覗くと利用者名簿とボールペンが2本あった。
トウヤはボールペンで名簿に線を引いた。
…まだ使えるな。
トウヤは鞄にボールペンを入れた。
次に、図書室を見渡すと古い物ではあるがまだまだ読める本がぎっしりと有り、その中で使えそうな本(農業と化学、家庭)を手に取るとその本をカバンへと入れ屋上を見に行った。
するとそこには既に先約が居た。