帝国の未来
音楽隊が初めて第五狂争曲を演奏した日、マーラ王国の国王は世代交代がなされた。
ゼラルド前国王の意思をつぎ、新たな王となったセルーア国王は約束した。
「私はこの日よりマーラ王国王となった!そしてヴァイラス帝国と和平同盟を結び戦争が起きることがない大陸とするのだ!」
その言葉を聞いたマーラ王国の市民からは大歓声が響いた。
まだまだ、戦争後の処理や復興に追われているヴァイラス帝国にもすぐに電報にて伝えられた。
帝国新聞記者であったアリーナも号外として大きく取り上げ帝国市民に知らせた。
戦争が終わったのだと。
帝国宰相ラキュールや帝国軍音楽隊の活躍を市民に知らせた為、和平同盟交渉をした使節団の帰りを今か今かとたくさんの人が待っていた。
音楽隊の活躍なしでは戦争を防ぎ、終わらせることが出来なかっただろうとデハード大将軍は思っていた。
出来ることなら変わってやりたいと何度も音楽隊に対して思っていた。
デハードは一人一人と音楽隊の顔ぶれを思い出す。
「また、部下に先を越されてしまったな…。」
デハードはこれまでも部下を見送る立場となることが度々あったが、ここまで自分の感情を押し殺して部下に命令したのは今回が初めてであった。
狂想曲ならば第三まででも良かったはずであった。
そのほうが音楽隊も助かったのだから。
しかし、ゼラルド国王が何かのきっかけで復活してしまったらまた戦争時代に逆戻りになるだろう。
それを避けるために何がなんでもマーラ王国戦争主導派を永遠に止める必要があった。
そしてそれを可能にしたのが帝国軍音楽隊であっただけだ。
「ルークよ、君たちにあんな忌まわしき譜面を渡してしまったワシの…オラの責任だ。もう少しでオラも逝くから待っといてくれ…。」
デハードは決意と共に黙祷を捧げる。
大まかなストーリーを書いてきましたので、一旦これにて完結とさせていただきます。
ただ、改稿などは適度にやっていきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。