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ウルド前線

ルークは部下たち音楽隊に向け語りかける。


「音楽隊の60名全員が今日まで必死でやってきたことが、目に見える形で評価されるんだよ。」


音楽隊の面々は静かに指揮者ルークの話を聞く。


「今までは帝国軍の中で音楽隊は肩身が狭かった。ただ、それも今日までだ。」


ルークの言葉で音楽隊の面々は今までの辛い過去を思い出す。


「君たちは今日から帝国軍で英雄になる!!」


今まではマーラ王国に戦争を仕掛けられ、国としても音楽隊としても終わりを迎えるかと思われていた。

圧倒的に兵士が足りないのだから音楽隊なんて必要ないと言われていた矢先にデハード様からの先の呼び出しであった。

自分たちの音楽で人を救えると分かったのだ。

そこには今までの暗い顔をした音楽隊はいない。これで帝国のお荷物とは呼ばせないと顔に現れていた。


「一週間程で全部の曲を覚えたんだ。皆よくついてきてくれた、ありがとう!」

「ルーク殿やってやりましょう!帝国の為に!」

「そうですよ!私たちは戦争を終わらせる為に帝国を救えますよ!」


部下達が笑顔で言ってくれる。ルークは部下に命令を出した。


「これから出立するけど一言だけ言わせてほしい。皆生きて帰ってこよう!出発!」


音楽隊は出陣とか軍の言葉は使わない。

楽器を軍用車に積込み、各車動き出す。

かなりの死傷者が出ているであろうウルド前線に向けて突き進む。





一週間後。


ウルド前線防衛基地に到着した音楽隊。


医療テントの場所まで赴き、初めての治療音楽を奏でる。


ウルド前線では説明してる暇はないだろうから行動で示せとデハード様からの命令を遂行するべくルークは早々に指揮者として音楽隊を導く。


「第五交癒曲!」


♫ ♩ ♫~


美しいメロディーを奏でていると曲を聴いている負傷兵達に温かな光が包み込んでいく。やがて光が収まると一人、また一人と痛かったはずの箇所が和らいで動けるようになっていく。


「嘘だろ!?脇腹が痛くねーぞ!」

「右目が、右目が見える!」

「もう、痛くない。ここは天国か。」


負傷兵達は傷が無くなりまた動けるようになった身体を喜ぶ。

そんな兵士達にルークが告げる。


「帝国軍音楽隊です!傷を負っても我々が治します!この戦い、勝ちましょう!」

「「「「うおー!」」」


兵士達はこの帝国を守るため、前線へ走っていく。

これは神様が自分たちを見放さなかったのだと、まだ勝利の女神はみてくれているのだと。


「攻撃が届かない場所でも周りながら演奏していきましょうか!皆さん!」

「はい、ルーク殿!」

「まだまだいけますよ、ルーク様!」




一方敵方マーラ王国の前線。



「どういうことだ、増援など帝国にはもう無いと思っていたんだがな。」

「ゼラット将軍、我々が押されております。前線を下げる必要があるかと。」


マーラ王国ゼラット将軍はこのタイミングで何故と考えたが、まだ帝国の予備戦力が残っていただけと思い、深く考えるのをやめたのだった。


「仕方がない、前線を下げ、兵を再編するぞ!」

「はっ!通信兵に通達、一次退却。一次退却。」



マーラ王国は今まで幾つも国を落としてきた。それが帝国であろうと時間の問題だと考えるのはこれまでの戦争の勝利で気が大きくなっていたからであろう。



「国王様の為にここの前線はこのままの勢いで攻略したかったのだがな。」




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