第6章 亀の葛藤とねずみの誤解
しばらくしてからねずみはレースの日を振り返っていた。うさぎが倒れていると思い込んだ自分の誤解に胸が痛んでいた。
「あの時、まさか寝ていただけだなんて…」ねずみは誤解した中で亀に色々言ってしまったことを、心の中で反省していた。
うさぎがレースの途中で寝ていた時、ねずみはすぐに駆け寄って、亀に助けを求めた。だが亀はそのまま足を止めずに走り続けた。「どうして、足を止めてくれなかったんだ…」ねずみは、亀が勝利に夢中になっているように思え、思わず心の中で怒りがこみ上げた。「勝ちが大事だったんだろう!友達を助けるよりも、レースが大切だなんて、亀でなし!」
しかし、後になってから、ねずみは自分の言葉を後悔していた。うさぎが倒れていたわけではなく、ただ寝ていただけだと気づき、あの時の自分が誤解していたことに気づく。そして、心から亀に謝らなければならないと思うようになった。
「亀、あの時は本当にごめん。」ねずみは亀に向かって静かに言った。「うさぎが倒れていると思って、勝ちを優先する君を非難してしまった。本当に申し訳ない。」
亀は少し驚いたような顔をして、しばらく黙っていた。しかし、やがてその瞳に少しの哀しみが浮かぶ。「私も、あの時言い返せなかったんだ。」亀はゆっくりと語り始めた。「どうしても声をかけることができなかった。勝つことに集中してしまっていた。」
亀は少し俯きながら、続けた。「その時、勝利に執着しすぎていた私の愚かさを感じていたけれど、どうしても自分を止めることができなかったんだ。」
「わかる、わかるよ。」ねずみは悔しそうに言った。「あの時は本当に自分のことばかりで、君の気持ちに気づかなかった。」亀は静かに言った。
二人はしばらく無言で立っていたが、やがて静かな気持ちが二人の間に流れ始めた。お互いに誤解し、傷つけ合っていたことに気づき、少しずつその傷が癒されていくのを感じた。
二人の間にあった誤解は、少しずつ解けていき、やがて本当の意味でお互いに向き合えるようになった。