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お爺さんっぽい美少女?

登場人物

 鈴樹エリカ:転校生の少女。なんだかお年寄りっぽい。

 鈴木大輔:エリカのパートナー。エリカの秘密を知っている。

 昼休みも終わり、午後の体育の授業が始まった。

 そこでのエリカの落ち着きすぎた態度は、改めてクラスメイトたちに彼女が「年寄りっぽい」という印象を与えることになった。

 まず、今日の女子の体育浮かべることができたはバレーボールだった。女子生徒たちが体育館に入ると、窓から差し込む日の光が床に柔らかな影を落としていた。生徒たちの運動靴が木の床を踏み鳴らし、複数のバレーボールが軽快な音を立てて飛び交う。女子生徒たちが「ナイス!」や「こっち!」と声を掛け合い、試合が進む中、エリカは慎重にプレイを続けた。

(エリカ……無理してるな)


 体育館の片隅から、大輔はエリカの様子をバレないように気をつけつつ見つめていた。周囲の生徒たちにはバレバレだったが、エリカ自身はそんな彼の視線には気づかず、ただ目の前の課題に集中していた。エリカは決意を固め、ナグラードに立ち向かうための準備を始めた。

 すると、案の定というか……ふたり一組で対面してパスを返し合う練習では、動きがワンテンポ遅れるエリカは頻繁にボールを逸らしてしまう。

 そのうちの一球が彼の足下まで転がってきたので、大輔はボールを拾い上げて走って近づいてきたエリカに手渡した。


「ありがとう、大輔くん。でも、激しい運動は苦手ね。後で体に響くから。……無理せずやるから」


 その言葉に、周囲の生徒たちはまたも笑顔になった。彼女のまるで年配者のような言い回しが、彼らの萌えポイントを突いたのだろう。

 中には「お婆ちゃん……というよりお爺さんみたい」と囁く者までいた。

 エリカはその後も慎重に慎重を重ねてバレーボールを続け、他の生徒たちのように激しく走り回ることはなかった。彼女の動きは常に穏やかで、無理をしない。

 だが、試合が始まるとゆっくりとした動きにもかかわらず、すっとボールに追いつき高いパスを上げた。恐らく、先読み能力が高いのだろう。きょろきょろと周囲を見渡し、気がつくと適切な位置でボールを受けていた。

 大輔には、彼女の動きが熟練のスポーツ選手のように思えた。


最後までお読みいただきありがとうございました。

次話もよろしくお願いします。

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