第1章 〜冒険者ギルド〜
第1章 〜冒険者ギルド〜
女神(創造神)は世界を創造して遊んでいた。
女神(創造神)は、世界を創りそして消すことができる能力を持っている。
今回は『宇宙』という概念を作ってみることにした。
そこには生命体がいて、歴史を築いていくのだ。
そしてその創った宇宙での小さな惑星 地球というもので遊び尽くしていた。
転生とは、他の生物に生まれ変わることである。
例えば、人間が鳥に転生することもある。
だが、普通は人間が人間に転生するものだ。
「今回はどんな人生にしようかな…」
女神は悩んでいた。
さっき「地球」という星で遊び尽くしたのである。
もう鳥にも生まれ変わったし、王子に生まれて王様にもなったし、世界統一もしたし、キリストに信仰もされたし、人種差別されながらも、世界を大きく変える論文「相対性理論」を編み出したし、格闘家の家系に生まれて格闘で世界1になったし、微妙にハッキングしてプロゲーマーとして世界1位にもなったし、火星に移住したり、恒星から直接エネルギーを抽出する計画を立てたり、プログラムで宇宙を作る技術を人間どもに教えたりした。
とても楽しい人生、いや、「神生」を満喫してきたが、プログラムで宇宙を作り出せるようになってからというもの、自分の欲を満たすためだけの世界を作り、そこで自分の理想のやりたい事、殺人鬼なら大量虐殺やらデスゲームやらをするのがニュースになって倫理的に世界中で揉めることとなった。
そして人々の不満からプログラム宇宙の制作を禁止する派と、「プログラム宇宙を禁止されたら生きていけない」などとほざく連中いわゆるプログラマーや研究者との戦争となり、女神に見放され、「地球」という星のある宇宙を消された。
消されたというより、自分が消した、と言う方が正しいだろう。
人間たちのなんちゃって宇宙もろとも。
つまらなくなったので。
そして次の宇宙の、知的生命体の住む星、「ラプラー1649c」と言う惑星を創り、転生を図ろうとした
女神は迷ったのである。
それはそれは迷ったのである。
なにせ、「地球」と言う星でやりたいことはあらかたやったのである。
何に転生したら面白い生活ができるのか考えた。
結果思い至ったのは、地球と言う惑星にあった娯楽作品の、異世界転生と言う物語の出てくる世界を創ろう!と言うものである。
そして、「ラプラー1649c」をモンスターや魔王、勇者がいて、冒険者という存在がある、いわゆる「異世界」を自分で創り、そこに、前世の憧れであった冒険者になろう!と決めたのであった。
今回は地球の頃とは違い、転生ではなく転移をすることにした。
転移とは、転生とは違い生まれ変わるのではなく、自分の身体がそのまま別の世界に行くことだ。
* *
かくして「ラプラー」に舞い降りた女神なのだが、流石に、「女神だ!」と言って冒険者登録をするわけには行かないであろう。
今回は、地球にいた頃とは違い素性は隠し、一般人として冒険者になろうと思った女神なのであった。
人通りのない裏路地から大通りに出た。
「うわぁ!大きくて綺麗な街だ!」
リンとした鈴のような綺麗な声が街に響いた。
そう、ここはマルラント王国でる。
流石に、小さな村からスタートするのは気が引けたので、最初から王都でランクを上げてがっぽり稼ごうと思ったのだ。
まず目指すべき場所は冒険者ギルド!ギルドに行って冒険者登録をするのだ!
「ということでやってきました冒険者ギルドです!」
やけに説明口調だが、気にしないでおこう。
石でできた壁に木造の扉、2階建てだ。やけに古い感じがして味のあるギルドだ。
早速入ってみることにした。
「ちりりん♩」
「ようこそ、冒険者ギルドへ! 冒険者登録でしょうか? でしたらここの受付でお願いします!」
赤髪で、可愛らしい顔の受付嬢にそう言われて受付へ向かっていくと、何やら侮辱されたような声が聞こえた。
「あの女この歳で冒険者になるってのか?無理に決まってるじゃねーか馬鹿なのか?」
「どうせ検定試験で落ちて泣いて帰ってママに抱きつくのがオチだぜ」
そんな言葉を聞いて少しイラッとしたが、優しい受付嬢の声を聞いて我に帰った。
「お名前はなんというのでしょうか」
名前?それは盲点だった。
地球で最後に使った名前はこの世界では違和感があるので、どうしようかと考えていた。
そしてようやく思いついた。
ようやくといっても人間にとっては瞬きする間より短いのであろうが。
「エリナ」昔好きだった小説に出てくる主人公の名前だ。
「私の名前はエリナです!」
「エリナ、と言う名前なんですね!素敵な名前ですね!冒険者登録は初めてですよね。 レベルや、ランクといったものはご存知でしょうか?」
「レベル?ランク?そんなものがあるのですか?」
そんなことを聞かれ、戸惑っている女神。
なにせこの世界にレベルやランクがあるなんて初耳なのであった。
ある程度自由に世界が独立して歴史を築いていってくれないと楽しめないので、多少女神でも知らない事はあるのだ。
我ながらすごく「異世界」って感じに世界を作ってしまったものだ。
そう思いながら返事をしていた。
「ぷっぶははあいつそんなことも知らずに冒険者なろうとしてたのかよ」
「あいつ世間知らずすぎじゃねーか、さっさと帰れよ」
何やらまた侮辱されたような声が響いた。
「えっ?レベルも知らないんですか? ってあ、 失礼致しました。」
そういってあわてる受付嬢
「ではご説明いたしますね、レベルというのは皆誰しもが生まれ持って存在しているもので、皆1からのスタートになります。
なんらかの知識や、戦闘経験を積み重ねていくことによりレベルが上がっていきます。
お客様のレベルを確認いたしますので、ステータスオープン といってください!」
「ステータスオープン」
そして一瞬で書き換えた、目にも止まらぬ速さで別の数字に。
そこには、ステータス、レベル♾️、攻撃力♾️、魔力♾️、知能♾️と書かれていた。
こんなものを見られてしまったらたまらない
慌てて(0.00001秒程度で)全ての数字を反射的に1にした。
「え?レベル1?しかも全部のステータスが1じゃない。こんな人初めて見たわ」
この世界では10歳にもなればレベル5ぐらいにはなるそうなのであった。
「流石にこのレベルで冒険者になるのは無理だと思いますよ、といっても正式な理由がないのに検定試験を受けさせないのは違反になってしまうのですが…」
「ぶははははあいつレベル1だってよ」
「あの歳になって全ステータス1とか、がはははは」
かなりイラついたがそんなことは無視して受付嬢に聞いた。
「どうやって検定試験を受けるのですか?」
「検定試験場に行って戦闘力を測ってもらいます。
測り方は、剣士なら剣でどれぐらいの厚さの木の板を切れるか。
魔術師なら、魔術でどれぐらいの木の板を折れるか。
で判断されます。
もしEランク以上の力があれば、ランクスキップと言ってもっと上のランクからスタートすることができます。
ってランクの説明がまだでしたね。
ランクというのはまず、G,F,E,D,C,B,A,S,SSランクの9種類があります。
10歳未満の子供が登録した場合はGからのスタートになりますが、15歳以上の方であればEからのスタートになります。
エリナさんは12、3歳だとお見受けしますのでGランクからのスタートになります。
Cランクは、平均の戦闘力という意味です。
Bはベテラン、Aはトップクラス、Sは国に数人程度の超人、SSは世界に数人程度の勇者レベル。
ということになります。
ゴブリンや、コボルトなどの魔物を討伐できるのはDランクからです。」
ステータスが全て♾️の女神からしたら当然SSランクになるのは間違い無いのであるが、この世界のルールに則ってランク測定をしなければならない。
受付嬢に案内され、試験場についた。
「よぅ、可愛い嬢ちゃん、お嬢ちゃんが検定試験を受けるのか?」
受付嬢の話によると、ここではギルドマスターが直々に試験をしてくれるそうだ。
「嬢ちゃんレベルが1なんだってなぁ、でも、努力すればステータスがぐんと成長するかもしれねぇ希望も持ってるんだ。」
「けけけ無理っすよマスターあいつ攻撃力も1なんですぜ絶対伸びやせんよ」
何やら、からかいに来たのか多くの冒険者がついてきていた。
「これより、冒険者登録検定試験を始める」
ギルドマスターの声により、検定試験が開始された。
「嬢ちゃんは剣もスタッフ(杖)も持っていないけど剣と魔術どっちが使えるんだ?」
「一応どっちも使えますけど」
「何?魔術も使えるのか?」
当然であった。
女神なのである。
剣も拳も魔法も超能力もなんでも使える。
だがこの世界の魔法と女神がいつも使う魔法は少し異なっているようであった。
バレないように皆に合わせなくては。
「じゃあまずは剣からだな、この剣を使ってこの板を切ってみてくれ」
そういって剣を渡された。
どうやらこの剣で目の前の細い木の板を切れたらGランク剣士として冒険者活動を開始することができるらしい。
だが女神にそんなことは容易い。
なんならこの星を真っ二つに割って見せることすらできるであろう。
そんなことを考えながら女神は剣で棒切れのような板を切断した。
「やるじゃねぇか、見た目に似合わず綺麗な剣筋してんじゃん、もしかしたらランクスキップもあり得るかもしれねぇ」
「絶対たまたまでやんすよマスター」
からかいに来た冒険者がそんなことを言っていた
「次は魔術だな、魔法を使ってこの板を折ってみてくれ全力でやれよ!」
そう言われて、置かれた薄い板
魔法を使って折れ、と言われてもどんな魔法を使えばいいのかわからない。
とりあえず前世で読んだ記憶のある漫画の魔法、アイシクルランスを撃ってみることにした。
1番被害が少なそうなので。
「アイシクルランス!」
どごぉおおおん
「「「「「「ぎゃああああああああ」」」」」」
ギルドマスターや冒険者の皆が叫んだ。
そして壊れた。
板が、と言うより壁が。
「なんだこれはぁああああ」
「どうして詠唱省略魔法がこの歳で、普通は凍てつきし水よ、からだろってそんなことよりなんだこの威力は!」
「レベル1であり得ない、ヒィ、なんだよこの小娘」
かなり手加減したつもりだったが、アイシクルランスの威力を知らなかったため、調整をミスってしまったらしい。
「おいこれ、Aランク、いや、Sランクも夢じゃねぇぞ!」
「馬鹿な、こんな小娘があり得ない」
からかいに来た冒険者が何やら言っているが、ギルドマスターいわくSランクも夢じゃ無いらしい。
尤も手加減しなければSランクどころかSSランクも余裕でいけるであろうが、(街が吹き飛ぶ代わりに)
もし手加減をしなければ、冒険どころではなく大量殺戮の犯罪者になってしまう。
この程度の被害で済んでまだ良かったと思おう。
「壁壊れちゃいましたけど、わざとじゃ無いし、魔法を全力で使えっていったのはギルドマスターの方ですよね」
「あぁほんとは弁償してもらいたいところだけど、お嬢ちゃんが名をあげてこのギルドが有名になってくれたら、その方が儲かるから今回の弁償は勘弁してやろう」
危なかった。危うく弁償させられるところだった。一文無しなのに。
だが、ここまで馬鹿にされてきた女神の意見は変わっていた。
今後も見た目のことで突っかかってくる冒険者がいるとなると、もうやる気が湧いてこない。
ここで1番スッキリする女神の選んだ言葉は1つだった。
「辞退します!」
「え?」
「冒険者登録を辞退します!」
「えぇええええええええっ!」
冒険者にならないのだったら、このギルドがエリナのおかげで有名になる事はないだろう。
なので弁償代は返ってこない。
詐欺?いやいや「今回の弁償は勘弁してやろう」とギルドマスターに言われたのでセーフである。
そしてエリナがこう言った。
「だってステータス全部1で冒険なんて無理ですよね、さっきから私のことを馬鹿にした声がたくさん聞こえますし、こんな思いをしながら冒険するのは嫌なのでやっぱり辞めます!」
「そ、そんな…」
ギルドマスターがただただ可哀想な気もするが、女神はすごくスッキリしたような顔をしていた。
「そう言うことなのでありがとうございました」
「そんなぁ…」
悲痛な叫びを上げるギルドマスターだが、そんなことは気にしないエリナだった。
ギルドマスターはこのあと彼女のこと(エリナ)を侮辱した奴らを絞めに周った。
「チリリン♩」
このことは街中で噂になるのであった。
女神は思ってもいなかった。
ここから彼女の神話が始まるとは。