『プロローグ』
プロローグ
——『天災』
——それは、星の表面を構成する地盤がずれ動くことによって起こる巨大な振動。
——それは、水温の上昇により生まれた水蒸気が大きく発達したもの。
——それは、天より降り注ぐ星々。
斯くの如き。
これら『天災』は環境までもを破壊し尽くす程の強大な力を持つ。
——然れど。
これらは、いずれも意志を持たぬ
『自然現象』である。
——太古の昔より生命達は『天災』を経験し。
数多の命がこの『理不尽』に奪われてきた……
しかし——これらはあくまでも意志を持たない自然現象である。
よって、この『理不尽』は『仕方のない』自然の摂理だとも言える。
そうして、古来より生物……人々は過去——現在——未来を哀しみと……時と共に昇華してきた……
——だが。
——もし。
——もしも。
そんな『天災』が意志を持つ一つの生命体だったら?
その『理不尽』に対し我らは、どう思うのだろう。
たとえそれが天災の喜びだとしたら……
たとえそれが天災の怒りだとしたら……
たとえそれが天災の哀しみだとしたら……
たとえそれが天災の楽しみだとしたら……
たとえそれが天災の『喜怒哀楽』だとしても……
——人々は個々の想いを昇華することができるだろうか?
そんな理不尽に死者は降心してくれるだろうか?
自分の運命を恨み、悲しみ、後悔する。
——死者はこの『理不尽』に大きな遺恨を抱えて命を散らして逝くだろう。
——そして死者に残された人々は更なる苦しみを味わうだろう。
悔しさで血を滲ませる者、死者を想い涙を枯らす者。
または死を目の当たりにし生を諦める者……
——やがて其れらの想いは一つの考えへと昇華されていく。
「「「——復讐してやる——」」」
そう。
それは、時が経つごとに。
何者にも止められぬ『復讐心』へと変わっていくのだった。
意志を持つ『天災』——それは。
やがて人々にこう呼ばれるようになった……
——『魔王』——と。
■■■
「な、なぜ貴様の様な子どもがっ!?」
とある国のとある城。
その城は業火に包まれ崩落を始めている。
そして、火の手はこの王の間にも。
「我々は同じ人間では無いかっ!?」
一国の王としての威厳は見る影もなく。
惨めに地を這い、恐怖に表情を染める。
のうのうと暮らす日々……
お前の日々はさぞ豊かだったろう。
王族であるお前は生涯が満ち足りているだろう。
「一体誰の命令だっ!?なにが目的であるか!?食い物か!?金か!?領土か!?何でもやるぞっ!?」
でも
「我を殺せばッ!!」
そんな
「死罪ぞ!?」
日々は
「今ならば!?」
『一部だ——』
「許しッ——」
愚鈍な王よ、その耳障りな怨嗟は俺の耳には届かない……
——そして。
俺を処刑する兵も——俺を許さない群衆も——
「もう、この国には無い……」
憂いに満ちた表情を浮かべる"ルス"は崩壊していく国を後にする——
まず、ここまで拝読くださりありがとうございます。
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