表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

鉄道員


 僕の母方のおじいちゃんは、生前に国鉄、(今でいうJR)に勤めていた車掌さんです。

 詳しい業務などは、よくわからないのですが。


 鹿児島の田舎の方で、仕事をしていたそうです。

 ある時、人がひとりも通らないような山近くに配属されたそうで。

 トンネル近くの小さな建物に、一日立っていたそうです。

 ひょっとしたら、駅なのかもしれません。

 詳しく知らないので、申し訳ないですが……。


 とりあえず、じいちゃんとしては、トンネルの出口から出てきた列車の運転手と、電話か無線で連絡を取るのが仕事だったらしいです。


 ただ、待つだけの仕事だったようで、真夏で扇風機もなく、周りは田んぼだけ。

 暇だし、暑いし。

 その施設は、窓があるだけ。


 ベルが鳴ると、じいちゃんは電話に出ます。

「もしもし、おつかれさまです」

 そう言って、敬礼をします。

 相手がクスクス笑いながら、答えます。

「おつかれさま。ふふっ、今日もやってんの?」

「うん、やってるやってる」

「はははっは!」


 何が起きて、何が可笑しいのか。


 運転手の人からすると、じいちゃんは真面目な国鉄の制服を着た車掌にしか見えません。

 問題は、下半身です。

 窓から下が壁なのをいいことに……。

 じいちゃんは、ズボンを床に下ろしていたそうです。

 本人はふんどしとか言ってた気がしますが、多分、何も履いてない状態だと思います。


 

 すれ違う瞬間、お互いに敬礼こそしているものの、笑いを堪えるのに、必死だったそうで。

「はははっは、今、どうなってんの?」

「うん、脱いでる」

「本当に?」

「脱いでるよ。見えてるでしょ?」

「見えるけど、制服しか見えない」

「でしょ、完璧。涼しいよ」

「ははは! 今度、僕もするわ」

「うん、おつかれさま」


 このお仕事は、当時の車掌さんの間でかなり人気だったらしく、みんなでやりあって、真夏の業務を楽しめたそうです。


 じいちゃんが流行らせた行為のせいで、国鉄は後に民営化したのかもしれませんね……。


   了

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ