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魔石を求めて



「お主がさんざっぱら杖を叩きつけるからこうなるんじゃと責めたいところではあったが……どうやら原因は別のようじゃ」



 購入したばかりの魔石が見るも無残にひび割れてしまった件について、僕は自分の所為だと大いに反省しかけていたのだけれど、ベス曰くそうではないらしい。



「だったらどうして壊れちまったんだ? 僕の給料一ヶ月は」



「嫌な言い方するのぉ……なに、単純な話じゃ。儂は今回、魔石の魔力を利用して魔法を発動したんじゃが、その負荷に耐えられなかったのじゃ」



「……一発魔法を撃つだけで壊れちゃったら、実戦で使えないじゃん」



「そう結論を急ぐな。今は何も考えず魔法を発動したが、威力を抑え出力を減少させれば、十発くらいはもつじゃろ」



「それでも十発か……下手したら一回の戦闘で使い切っちまいそうだな」



「そこはお主とニニに上手いこと立ち回ってもらうしかないが……儂が満足に戦えぬ間は、この方法を使うのが得策じゃろう」



 確かに、ベスの言う通りではある。今の彼女はまともに魔法が使えない状態なので、例え魔石を消費してでも、杖を介して魔法を使える方がいいか。


 ……でもなあ。十発で一魔石か。



「なんじゃその顔は。お主、大金を手に入れたばかりではないか。それで魔石を買えばよかろう」



「いやまあ元々そのつもりだったけど……でも、今までみたいにお前自身に魔力を貯めるための魔石も必要だろ? それにプラスで、魔法を使うための魔石……どう考えても百万Gじゃ足りないよ」



「ふむ。またお主のメシが雑草になるのか」



「肉が食べたいぜ……」



 僕がひもじい思いをするだけなら問題ないが、しかしこの方法をダンジョン内で実践するには、僕が臓器を売っても足りないレベルのお金が必要になる。



「まあお主にばかり苦労を掛けるわけにもいかぬし、儂も金を手に入れる算段を立てるとするかの」



「何か当てがあるのか?」



「まあ、()()()()()。昔からよく使っていた手じゃがら、そのうちどこかで使えるじゃろ」



「ふーん……」



 謎に自信たっぷりだが、お金のことでベスを頼りにすることはできない。そういうやりくりとは無縁の冒険を送ってきた奴だからな。


 仕方ない、ニニの猫耳でも売るか……。



「邪な目でこっちを見ないでください、クロスさん。お金なら貸しますが、金利はトイチでお願いします」



「悪徳過ぎるだろ」



「魔石なら、ダンジョンを攻略しながらコツコツ集めればいいんじゃないですか?」



「そうだな……ここみたいに完全攻略済みのダンジョンなら、僕一人でも魔石を集められるか」



 ただ問題があるとすれば、安全なダンジョンには冒険者が群がるということだ。誰だって死ぬ危険は冒したくないが、金は欲しい……完全攻略されたダンジョンがあると噂になれば、嵐が過ぎるが如く資源を搔っ攫っていくのだ。



「ダンジョンの攻略情報に張り付いたとしても、僕は日中仕事で出られないし……ニニにやってもらうしかないんだけど」



「それくらい喜んでやりますよ。パーティーのためです」



「それは普通にありがとうなんだが……僕、昔完全攻略ダンジョン専門の冒険者をやっててさ」



「専門って、カッコつけないでくださいよ。要は危険なところに行きたくないだけでしょう?」



「勝手に要するな……で、その時の経験から言っても、上質な魔石を回収できるのって、精々三カ月に一回くらいなんだよな」



 売って生活する分にはそれでも困らないが、僕たちの場合それでは困る。



「でしたらやっぱり、攻略されてないダンジョンに潜るしかないですけど……それは二人だと危険過ぎますもんね」



「ああ。僕たちの実力なら、最低四人はメンバーがほしい……でも人を雇ったら、それだけ分け前も減っちまうし……」



「……あっ、クロスさん。私、今すごいことを思い出しました」



 言って、ニニは得意気に胸を張る。ボロボロになっている衣服の所為で胸部が見えてしまいそうだが、黙っておこう。



「なんだよ、すごいことって」



「実はですね、近々、『魅惑の香(スイートパルム)』主催の魔導大会が行われるらしいんです」



「『魅惑の香』って、あの超有名ギルドだよな? 魔導大会ってのは何なんだ?」



「あなた、ギルドの冒険者をやってたのに知らないんですか? 簡単に説明すると、魔導大会とはギルド主催の腕試し大会みたいなものです。各地の腕利き冒険者が集まり、己の力を競い合う……そして、力のあるギルドが主催する大会は、必然的に賞品も豪華になるのですよ 」



 説明を受けてみると、確かに名前くらいは聞いたことがある気がしてきた……ただ、僕はこの通り争いを好まないジェントルマンなので、そういう野蛮な大会には興味がないのだ。



「で、その魔導大会の何がすごいんだよ」



「『魅惑の香』が主催する今回の大会、優勝者は副賞として、大量の魔石をゲットできるそうなんです」



「なんだその絵に描いたようなご都合展開は。すごすぎるぜ」



「ええ、私も自分の記憶を疑いましたが……しかし事実です。この大会で優勝することができれば、魔石問題は解決します」



 こうして僕たちは、魔石を求めて魔導大会の参加を決めたのだった。



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