テスト3
屋上にて
「カレン!」ドアを開けるとそこには巨大スライムがカレンやほかの生徒を飲み込んでいた。意識の無い生徒もちらほらいるが、カレンはまだ目を開けていた。
めちゃくちゃデカい。屋上のほとんどはこのスライムで埋まっている。でも、倒すしかない。
「カレンまってろ!おりゃぁ~!!」俺は剣でスライムに攻撃するが全然効いていない。物理攻撃が効かないのか。俺は連続で剣撃を当てるが全然効いている様子はなく、スライムから触手みたいなものが伸びてくる。俺はそれを切り落とすがどんどん生えてくる。
「くそ!こんなのどうやって倒すんだよ!」俺はアイリスが魔法をメインでテストするって言っていた言葉を思い出していた。
「む、むりだよ。こんなの勝てるわけないよ。」そう言ったのは、さっきクラスで文句を言っていたヴォルグさんだった。ヴォルグさんは丸いバリアみたいなものの中に居てスライムの攻撃を無効化していた。
「ヴォルグさん、なんでこんなところに?」
「私も最初は頑張ろうと思ったんだよ。でも、このスライム。魔法を吸収してどんどん大きくなるし、勝てないよ。他の2人も飲み込まれちゃって、私助けたいけど守備魔法しか得意じゃないから…。音西君でも無理だよ。」
「そんなことない!俺はこいつを倒してカレンを助けるんだ。」
俺はあきらめず、剣で攻撃するが少しスライムがバラけるくらいですぐくっついて戻る。
どうすりゃいい。考えろ。カレンだけでも助けたい。カレンは息が出来ないのだろう?苦しそうにしていた。
「カレン、まってろ、がんばれ!」そう言うが、今の俺に出来ることなんか何もない。
「やっぱり無理だよ、こんな魔物。勝てるわけないよ…。」
カレンももう限界だ。くそ…ヴォルグさんの言う通り勝てないのか。俺には才能もなければ、人を助けること魔法師になる事なんて夢なのか。こんな魔物も倒せないなんて…。
「アツッ!」ポケットがめちゃくちゃ熱かった。中を見るとメルにもらったお守りだった。
そうだ、そうだよな、こんなところで諦めてどうするんだよ!
昨日メルにアイリスになんて言ったよ、言ってもらったよ。
俺は今、大切な人を守りたい。その為の力を俺は持ってる!なあ、そうだろアイリス。ここで使わなくていつ使うんだよ。もったいぶって後悔なんか絶対するもんか。
「ヴォルグさん、負けちゃいけないぜ。俺たちはこの学園に入った時点で優秀なんだ。頼む、少しでいい俺を守ってくれ。」
「でも、」
「いいから、自分の力と俺を信じてみようぜ!」
「…バリエント」
バリアが俺をスライムの触手から守ってくれる。
ヴォルグさんのバリアが消えスライムの捕まってしまった。
1つしか使えないのか。ヴォルグさんの想いしっかり伝わったぜ。
絶対勝つ!
「トキヨトマレ!!」
世界の時は止まる。
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」俺は懸命に剣を振っていた。
残り7秒
10秒の間に出来るだけの剣を今俺に出来る最高の速度で威力で。
残り3秒
もっと早くもっと強く!!
あと1秒
「おるぁああああああ!!!」
世界が動きだず、スライムは一瞬にしてはじけ飛んで消えてしまった。
捕まっていた3人とヴォルグさんも解放される。
ヴォルグさんは気を失っている2人を診ていた。
落ちてくるカレンを受け止める。
「ごほっごほっ。レン君。ありがとう。」
「カレン、無事でよかった。」
「やっぱりレン君は強いね。」
「いや、俺なんか全然だよ。全然スライム切れなかったし。」
「ううん、そんなことないよ。私一人だったら多分すぐ諦めて意識を失ってたと思う。レン君がいるって助けてくれるって思ったから私もここまで頑張れたんだと思う。」
「それを言うなら俺もだよ、カレンが居なかったら無理だった。ありがとな!」
「はい」カレンは笑顔でそう答えてくれた。
「ああああ!早くほかのゴースト倒さないと!俺まだこのスライムしか倒してない。」
キーンコーンカーンコーン。
(実力テスト終了~今から動けるものは教室に戻って来なさい。無理な者はそのまま動かないように、保健室に運ぶので。)アナウンスが聞こえてきた。
「最悪だぁぁぁ」やばい、退学だ…カレンとお別れになってしまう…。
「レン君多分大丈夫じゃないかな?」カレンが慰めてくれる。
「じゃあ、カレンは何体倒した?」
「えっと…。」黙ってしまう。
「大丈夫だから言って。」
「35体くらい?」
「…終わった。」俺は灰になりそうだった。
「で、でも私が倒せたのって弱いゴーストだったし」
そう言って慰めてくれたが、俺はなかなかの絶望的な状況に不安しかなかった。
2人で教室に戻ろうとすると、
「あの、音西君!」ヴォルグさんが声をかけてきた
「あ、ヴォルグさん、さっきはありがとう。助かったよ。」
「あ、ううん全然。あの、その…自信をくれてありがとう!」
そう言って気絶している2人の介護をしに戻っていった。
感謝を言われることはしてないと思うのにな。でも、なんか普通に嬉しかった。