テスト2
周りを見渡すと、そこには誰もいなかった。
ここは、昨日あいつと戦った練習場だった。
ドォーンという音が遠くから聞こえる。もう戦闘が始まっているんだろう?
すると、地面から黒い人型の魔物が15体くらい現れた。これがゴーストか。沢山倒して
点数を稼がないとな。
「ブースト!」ペンを剣に変え、構える。7体くらいに囲まれた。杖を持っている奴や剣や盾を持っている奴もいる。いきなり、火の玉を飛ばしてきた。
呪文の詠唱は聞こえなかった。こいつら詠唱無しで呪文を出せるのか?
俺は火の玉を躱しそいつを斬りに向かう。余裕で斬れる。そう思った瞬間
「ギルフレイム。」そいつは消滅した。声の方を向くとそこにはカナがいた。
「カナ。なんでここに?」
「…。」カナは無視してほかの敵の方を見ている。
そうだった。こいつらを先に倒さなくちゃ。
俺がほかの方の剣を持っているゴーストに向かって走り出すと
「アクアスピア」
その剣を持ったゴーストに細い水の針がたくさん刺さって消えてしまった。。
カナがまた倒したのだ。じゃあ、あのゴーストを!魔法で攻撃してきたゴーストの攻撃を躱しまた距離を詰める。
「ボルテックス」また俺が倒そうとしたゴーストが消えた。これはさすがにおかしい。
「おい、カナ。俺の邪魔をするなよ。」
「なぜ?」やっと口をひらいた。
「なぜって俺の点数が入らないだろ。」
「当たり前。」カナは淡々と答える。
「何が。」
「私は意図をもってあなたの邪魔をしているから。」
後ろから剣を持ったゴーストに攻撃される。剣で受ける。
「なんでだよ!」剣で反撃をしようとする。
「ガルフレイア」ここ一帯にいたゴーストはすべて燃え尽きた。
「私は1番だから。そしてレンにも勝つ。」そう言ってカナはこの部屋を出て行った。
「くそっ!」まだ、俺は1体も倒していなかった。早くしないとマジで退学になっちまう。
俺は練習場をでて校舎を走り回った。
廊下にもちらほらゴーストがいたが、さっきのゴーストたちに比べると断然弱い。
一応斬って倒すが、これじゃあ全然点数は期待できない。
「まったく、どこに行けばいいんだよ!」
「レン君、レン君…」
声が聞こえた?これはカレンの声?
頭の中に直接聞こえる。これはカレンと結んだ誓い魔法だ。
「メイル!聞こえるぞ。カレンどこにいるんだ?」
「私たちの校舎のおくじょ・・だめこないで・・・」
「かれん?カレン!!」カレンの声が聞こえなくなった。
カレンに何かあったのかもしれない。たぶん屋上って言いたかったんだよな?
間違ってたらシャレにならないぞ。俺は急いて屋上へ向かった。
外の広場
私はレンの邪魔をした後、強い魔力のある方へ向かっていた。屋上にも1体強い魔力があるけど、あっちの方が強い魔力がある。そっちの方がまだ面白いかな。そう思い走ってその広場の方へ向かった。
ドォーンドォーンとすごい音が聞こえる。そこには1人の生徒と1体の人型ゴーストが戦っていた。生徒の名前はロメロ・リンセント。私が唯一フルネームで覚えている生徒だ。
そのロメロが苦戦、いや劣勢だった。相手のゴーストは物凄く早くて目で追えないくらい。気配と魔力感知でやっと戦えるくらいの相手。よくテストでここまでのゴーストがつくれたなと関心をする。新しく来た学園長は強い。楽しくなかった学校もレンと学園長のおかげで少しは楽しめるかも。私はそう思いながら少しロメロの戦闘を見学していた。
ロメロは氷魔法でゴーストの動きを封じたいらしいが、早すぎてなかなかとらえられない。
捕まえてもゴーストの持っている剣で一瞬で氷が無くなっている。
「くっ!」ロメロも頑張って氷のつぶてを飛ばすが当たらず距離を詰められる。
ゴーストが剣で攻撃するがロメロの氷の壁はなかなか壊せない。あの壁は私でも壊せない絶対防御の壁だ。そうやすやすと壊れたりはしない。
このままでは勝負がつかなそうに見えるが魔力の消費が多いロメロが不利だろう。私も少しトップになるために動き出すか。
「ウインド!」風の魔法で一気にロメロの後ろに来た!
「!?カナ、なんでここへ?」ロメロが私に気づく。
「珍しく苦戦してるね」
「ふ、ふん。私もいつもの様に余裕で倒すはずが、思ってたより手ごわくてね。このままだと正直奥の手を出して僕も倒れるかなと思っていたのだが、その必要はないのかな?」
ロメロは少し余裕を見せたかったのだろうけど、汗まで流している人に言われてもな。
「私も倒すよ。あの怪物。」
「本当は僕1人で倒したいのだが、今回は特別に共闘を許そう。」
「別に。許してもらわなくても勝手にするけど。ウインドアーマー、ボルタ―ジュ」
風の鎧と全身雷で私の持てる最高のスピードであいつを斬る!
私の持っているレイピアであのゴーストに攻撃をする。
しかしゴーストは軽々と私の剣を受け流した。思っていたより強い。
初めて私の最速の攻撃を受け流された。私は7連続で突くがすべて躱される。
更に反撃をされてしまう。剣をさばくが威力が強い。押し切られてしまう。
「くっ!」斬撃が私の腕や肩にくらう。
そして後ろに回り込まれた。まずい、攻撃される…
ギィィーン。氷が私の背中を守ってくれた。
「まったく、さっきまで私の相手をしていたのに何してるんだい?」
ロメロが守ってくれた。ゴーストも1度距離を取る。私もロメロの方へバックする。
「助かった」
「君が負けるところなんて見たくないのでね。」ロメロは氷で攻撃しながら話す。
「不覚だった。接近戦では私もあいつに勝てそうにない。少し時間を作って。」
「しょうがないね、ただ、私も正直限界が近いんだ。」
「10秒でいい。」
「…まかせたまえ。」ロメロは私を氷の壁で守ってくれた。
「アイスブレイカ!」ロメロは氷を纏いゴーストと戦っていた。もう本当に魔力が無いのだろう。
私もこの1撃で落とす。集中して魔力を集める。
壁の外ではロメロが奮闘している。あと7秒
「がはっ」と声が聞こえる。あと3秒
壁を切る音が聞こえる。あと1秒
氷の壁が崩れる。詠唱が間に合うか?
ゴーストが剣で私を斬ろうと構えている。
無理だ、間に合わない。でも、負けたくない。
私はゴーストから目を離さず相打ち覚悟で手を前に出し、
呪文を唱えようとする。
すると、急にゴーストの動きが止まった。
なんで?どうなっている?私以外止まってる?いや、このチャンスは活かす。
私は集中して貯めた魔力を手に込める。
「テラボルトデイン!」
巨大な電撃がゴーストを吹っ飛ばす、気が付けば周りは普通に動いていた。
さっきの現象は興味があるが私も魔力をだいぶ使ってしまった。しばらくは動けないだろう。一応倒れているロメロの安否を確認し、
「サンダーウォール」電撃の壁を彼と私の周りに作り私も力尽きた。