メルとクラウドのお節介2
クラウドがアイリス様の部屋に行かれたので、私はレン様の様子を見にレン様のお部屋の前まで来てしまった。
私はコンコンとノックをする。
「…」返事がない。
「レン様。入ってもよろしいでしょうか?」ドアの外から声をかける。「
「…」返事がない。これは入っても良いということですよね?私が勝手にそう解釈をし部屋に入った。
「失礼します。」
レン様はベッドにうつむせで寝転がっていました。
「レン様。」
「…。」
私はレン様の隣で添い寝をしようと隣に寝ころびました。
「なんで!そこでそういう事するかな!!」レン様に怒られてしましました。
私はレン様に椅子に座らされ、レン様もベッドに座ってくれました。
「で、メルは何か用?」やっぱりさっきのアイリス様の言葉でへこんでいる様子です。
「今日は私がレン様と一緒に寝ようと思いまして。」
「そんなことしなくて」
「という冗談を言ってみたり。」
「…。」レン様は何故か少し冷たい目で私を見ているような。
そんなに私と添い寝したかったのでしょうか。
「添い寝はまた次の機会に」
「しなくていいから!ああ、もう用がないなら1人にしてほしいんだけど。」
レン様を怒らせてしまいました。
「その、レン様が心配で様子を見に来ました。」素直にそう言いました。
「…。」レン様は顔を少し曇らせながら黙っています。
「…。」私も黙って様子を見ます。
「…俺は魔法師になりたい。…アイリスみたいに。」
「なぜですか?」
「え?」なぜかレン様は不思議な顔をしておりました。
「なぜ?アイリス様のようになりたいのですか?」
「だって、アイリスに認めてもらいたいんだ。」
「それだけですか?」多分次は私が不思議そうな顔をしていたと思います。
「え?そりゃあ、もっと魔法を使いたいとか、俺を殺そうとした、じゃなくて人を危険に合わせる魔物がいなくなるようにとか、楽に生きたいとか色々あるけど…。」
「なんですか?」
レン様は何故か顔を赤くし照れたようにぼそっと言いました。
「でも、やっぱりあのばばあ、あの人に認めてもらいたいんだ。」
私は何故かレン様を抱きしめておりました。
「えっ?ちょ、メル?!」レン様は少し慌てているようです。
私はレン様を放し
「じゃあ、どうするんですか?」
「えぇ?」
「アイリス様に近づきたいのにくよくよしている時間はあるのですか?」
「…いや、無い!」
「そうですよね。でも、今は私がレン様の1分をもらいます。」
またレン様を抱きしめていました。
レン様はまた慌てておりましたが、ぼそっと
「ありがとう」と言ってくださいました。
1分くらいたった後、私はレン様を放します。
「レン様、少し匂うのでお風呂に入ってきたらどうですか。」
「えっ!?うそ…」レン様は自分の匂いを嗅いでおります。
もちろん嘘です。
「多分、ちょうどお風呂も沸いているころだと思いますので、早く入ってきてください。本当は一緒に入りたいのですが、ちょっと今日は…」そう言ってわざと鼻をふさぐ動作をしてみます。
レン様からガーンという言葉が聞こえてきそうな顔をされた後、とぼとぼとお風呂場へ向かっていきました。
これでよし。では、今からアイリス様のところへ参りましょう。
メイドも楽な仕事ではございませんね。
私はいつもより笑顔でアイリス様のところへ向かうのでした。
風呂場にて、俺はメルに臭いと言われ、ショックを受けながら体を洗っていた。
さっきのアイリスの言われたことも気にはなるがもうやるしかないんだ。あいつに認めてもらう。口に言った事で何故かすっきりした。メルのおかげだな。感謝だ。そう冷静になると、メルに抱きしめられた時をふと思い出す。俺とは違ってシャンプーの良い匂いをしてたな…。って、何考えてるんだ俺は!明日の試験に集中しなければならないのに。俺は懸命に体中泡だらけにして洗った。
するとガラガラッとドアが開く音が聞こえる。デジャヴ!?メルがやっぱり入ってきたのか!それとも今回はクラウド!
「あー、いるか?」声の主は予想をしていなかった人だった。
「アイリス!?なんで!」
「い、いや。私も疲れてな風呂にでも浸かろうかと。」
湯気の中から出てきたアイリスはバスタオルを体に巻いて入ってきた。
「そ、そうか。じゃあ俺はでる!」
「な、なぜだ?」珍しくアイリスは少し戸惑っているようだった。
「あ、当たり前だろ。女性と一緒に入れるか!」まあ、俺の方が戸惑っていたけど。
「ほう、私の年齢を聞いていてまだ女性というのかお前は。」少しいつものアイリスに戻った感じだった。
「そんなの今はどうでもいいから出るからな。」
「いや、許さん。師匠命令だ。」
「なんだよそれ!!」
「お前は師匠の命令が聞けないというのか?」
「ああ、そうだよ。当たり前だろ。」
「じゃあ、仕方ない。」
諦めてくれたか、良かったぁ~
「今日お前と一緒に居たカレンと言った女に風呂場に連れ込まれてあんなことやこんなことをされたと言おう!」
このばばあ、メルと同じことを言いやがる。やはり主人とメイドかぁぁ!!!
俺はなすすべなく、今アイリスと並んで風呂に浸かっている。
「…。」
「…。」
さっきまではハプニングもあって普通に話していたが、こう改まると気まずい。さっきの怒られたことを思い出す。メルには助けられたが、まだアイリスと話す勇気は持ち合わせていない。既に浸かってから20分くらいだっただろうか…すると
「あー、レン。」アイリスから話しかけてきたのだ。
「ん、な、なんだ?」
「あのだな、さっきは…」
「さっき?」まさか怒りたりない事でもあったのだろうか。
「さっきは…け、剣の稽古をクラウドとしたそうじゃないか。」
「あ、ああ。したよ。めちゃくちゃ強いんだなクラウドって。」
「当たり前だ私が見つけたのだ。体術に関してはスペシャリストだ。」
「すげぇな。人を探す能力もあるのか?」
「…いや、普通に…。」なぜか少し気まずそうにつぶやいていた。
「そ、そうか。でも、本当にクラウドはすごいよな。それにメルもめちゃくちゃいいやつだし、あとは」
「ええい!そんな下らん事はいいんだ!」
アイリスは急に立ち上がりキレだした!更年期に入っているのか?それにクラウドとメルが可哀そうな事を言われている気が…。アイリスが俺を睨んでる…ように見えるが
アイリスは俺の方を見ず前を向いたまま
「…すまなかった。」
俺に謝ったのだ…。俺は驚いて何も言えなかった。
「さっきはその、言い過ぎた。私はお前に期待している。だから弟子にした。それに。」
「アイリス!」
俺も立ち上がり、アイリスの名を呼んでいた。
「俺こそごめん!うぬぼれてた!自分はできると思い込んでた。でも決めたんだ。魔法師になるって。アイリスが無理って言ってもなってやる。学園でもいつかはトップになる。だから、だから!」あれ?なぜか視界が揺れているような。魔法は使っていないはずなのに、なんで…。
「れ、れん!?」アイリスの声が聞こえるが、どんどん聞こえなくなって俺は意識がもうろうとしていた。