合宿終了!
目が覚めると、合宿所のベッドの上だった。外はもう夕暮れだった。
いつまで寝てたんだ?
「起きた?」
カナが傍で本を読んで座っていた。
夕日に照らされているカナは綺麗だった…。
じゃない!
「みんなは??」
「みんな大丈夫。カレンはまだケガしてるけど。」
「えっ!?カレンが!!」
「だから、怪我してるけど心配ない。」
カナは少し拗ねているように言った。
「そっか…。」安心した。みんな無事だったのか。
「レン。」
「ん?」
俺が反応すると、カナは俺の頬にキスをしていた。
「えっ。」
「その…助けてくれたお礼。あと、時間出来た時にまた日本の事教えてあげる。」
そう言ったカナは顔を隠しながら部屋を出て行った。
えっ?カナにキスされた…。えぇぇぇぇ!?!
俺が驚いていると、
「お、レン起きたかカンザキが顔を赤くしながら部屋を出て行ったがお前、何かしたんじゃないだろうなぁ~?」
アイリスが部屋の前で立っていた。
「な、なんもねぇよ!!」
否定した俺の顔も多分少し赤くなっていただろう。
そのままアイリスに呼ばれ合宿所の1階に降りるとみんな集まっていた。
「カレン!大丈夫か?」
「はい。大丈夫ですよ。」いつも通りの可愛い笑顔でそう言うカレンだったが、見るからに右腕に巻かれている包帯が痛々しかった。
「カレンちゃん大活躍だったんですよ。」と会長が誇らしげにそう言っていた。
「おっ!レン、お前たちも相当やばかったらしいな!俺達も死にかけたぜ!でも熱い漢パワーでぶっ飛ばしてよ~、ね先輩!」
「まあな。」
ケンジもゴリラ先輩も元気そうだった。
「レン、俺はこの訓練で更に強くなったぞ。お前とは違い余裕でエルさんを倒したんだ!俺の方が優秀だな。」ロメロも相変わらずの様だった。
「何言ってるんですかロメロ先輩。泣きそうになっていたじゃないですか~僕に助けてくださーいって。」
「キラ、捏造するな!お前こそ俺に頼りっぱなしだっただろうが!」
キラリンとロメロはいつも通り言い合いをしていた。
「あれ?」
「レンも分かったか?」ケンジが耳元でそう言う。
「ああ。」
なんとなくロメロとキラリンが本気の喧嘩じゃなくてじゃれ合っているようなそんな感覚に見えたのだ。
「犬猿の仲だったのにな~」ケンジはシシシっと笑っていた。
「皆、話を聞いてくれ。」
そう言ったのはエルさんだった!
「エルさん大丈夫だったんですね。」
「ああ、お前たちのおかげだ。感謝する。」
エルさんはそう答えた。
「そしてすまなかった。」エルさんは頭を下げたのだ。
俺達はびっくりしてエルさんを止めるが、
「俺の力が足りなかった。闇の力、心の闇に勝てなった」とすごく悔いていた。
俺達がどういえばいいか言いあぐねていると、
「そんな事いつまでも気にするんじゃない。」
バッサリとアイリスがエルさんお背中を叩いていた。
「だが、」
「感情があるんだから当たり前なんだ。みんな無事だったんだ、それでいいんだよ。」
アイリスは笑顔でそう言い切った。そう言うところは凄いよなと俺は思った。
「で、どうしてこうなったかだが。お前達には少しショックだろうが、生徒会顧問のジルが闇の魔法使いだった。私も見破れなかった。相当の魔法使いだ。今までどうして学院の教員をやっていたかは不明だが、とりあえず国中に指名手配をするようにしてある。私も行方を掴めるようにはするから安心しろ。」
みんなそれぞれ思うところがありそうだったけど、静かに聞いていた。
「あと、生徒会長。」
「はい」アイリスに呼ばれて会長が席を立つ。
「お前がアスト書記を寄こさなければ生徒会は全滅していただろう。本当に良くやってくれた。」
「いえ、少しジル先、ジルさんの様子がおかしかったので、伝えとこうと思っただけです。ですが、レンさんとカナちゃんが黒い靄が視えるって言った時から、クレアさんを学園長の所に行かせて良かったなって。」
クレア先輩が居なくなったのはそういう事だったのか。と言うか会長の観察力がすごすぎる。ジル先生の違和感とか全く気付かなかった。まあ嫌いだったから近づかなかっただけだけど。
「なので生徒会に褒美をやろう。エル。」
アイリスはエルを呼ぶとエルが俺たちの制服の色違いをを持ってきた。
「これって?」会長が聞くと、
「私とエルの特注で作った生徒会用の制服だ。デザインもカッコいいが性能もいい。魔法耐性が少しだがある。魔法で燃えたりすることもない。」
得意げにアイリスが言うが、
「ほとんどは僕が作った。皆に着てほしい。」
「「「「ありがとうございます!」」」」」生徒会全員でお礼を言った。
「いーなー」ケンジがそう言うと、
「シルベールと、ハルバートにも用意してあるさ。」とアイリスは笑いながら言った。
「「ありがとうございます!!」」カレンもケンジも嬉しそうにお礼を言っていた。
俺達はさっそく新しい制服に着替えてみた。
「カッコいい。」
「レン、似合ってる。」カナが隣でそう言った。
「よし、いい感じだな。」アイリスも満足そうにそう言った。
「お前達は本当に良く頑張った。それぞれ苦手の克服や成長できたと思っている。今日をもって、合宿終了だ!!」
「「「やった~!」」」
「よし、お前ら今日は宴だぞ!!」
アイリスが既にコップにお酒を入れて飲んでいた。
「ケンジ、焚火の薪を取りに行くぞ。」
「わっかりました!!」ケンジとゴリラ先輩は森の中に入って行った。
「私は料理作りますね。」
「あ、カレンちゃん私も行きますわ。」
「会長、カレンさんの邪魔したらダメですよ~」
カレン、会長、クレア先輩はキッチンに行った。
「先輩には耀きが足りないんです。今から星が輝きだします。行きましょう。」
「なぜ、俺がそんな事。」
「オトニシ先輩に負けますよ~。」
「行くっ!」
ロメロとキラリンも森の中に入って行った。
俺は既に酔っぱらているアイリスに捕まり、アイリスのおもちゃにされていた。
カナが俺のコップを持ってきてくれた。
「楽しくない?」
「楽しいよ。でも、少し考え事してて。」
「どんな?」
「いや、何でもない!カナ、フォークダンスでもするか?」
「レンとしたい。」
俺はケンジとゴリラ先輩が作ったキャンプファイヤーの周りをカナとダンスをした。
「あ、カナちゃんだけずるいです!」
カレンが乱入をしてくる。
「カレンはケガが治ってないからダメ。」
「ダンスくらいできますー。」
「今は私が踊ってる。」
何故か言い合いをしている2人をみて俺は幸せだなって心から思った。
闇の魔法具やジル先生の事をさっきは考えていたけど、それはまた先に考えればいい。
俺は今を心の底から楽しんで笑った。