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友達が捕まった

自動改札機がいきなり閉まると、ビクッとしませんか?

それを友人に話したら、普通に笑われました。


もしかして、わたしの感覚が変わっているのかも。


ホラーを書くことが難しいと、他の方々の作品を読んで改めて感じました。


怖がってもらえるかは謎ですが、最後までお付き合いいただけたらと思います。

これは高校のときの話。



当時、いつも一緒に帰る友達がいた。


家も近く学校も同じ。


ほとんど毎日、同じ電車で行き帰りしていた。


利用していた駅はお世辞にも立派とは言えないこじんまりとしたものだった。


高校二年の途中、その駅にやっと自動改札が取りつけらた。


最初のころは、みんな騒いでいたが、しばらくしてヘンな噂を耳にした。



『自動改札機に三回捕まるとその日に何か不幸が起こる』



友達にそのことを話すと、



「田舎ってなんか新しいものができるとすぐ変な噂が流れるよねー。


マジでウザい。ほんとなら一回、体験してみたいわ」


笑いながらあっさりと流されてしまった。




そんな、ある日の帰りの出来事。


わたしが改札を出て、続いてその友達が出ようとすると、ガシャッ。


それが1回目だった。


振り返ると、改札が閉じている。


彼女はカードを何度か置き直すが閉じたまま。


自動改札機の前に立ち尽くす彼女の姿。


それがわたしには何かに捕まったように見えた。


彼女の後ろには列が並んでいく。


それを察したのか彼女は一旦、改札から離れる。



「大丈夫?」


先に改札を出たわたしが声をかける。



「んー、意味わかんないんだけど」


と少し腹立たし気に言ったあと、彼女は駅員に声をかけた。



「ねー、この改札こわれてない?」



駅員が駆けより、改札を確認する。


しばらくして彼女の方を向いて、



「そのカード、見せてもらえますか?」


事務的に淡々と話す。



「なに? こっちのせいって言いたいわけ?」



わたしは改札を出た端の方で、ずっとふたりの様子を見ていた。


次の電車が到着して、乗客は次々と改札を通っていく。


3台ある自動改札はどれも閉まらない。



ふたりはまだ話しているようだが、声が人混みにかき消されて届かない。



「はいはいー、わたしがわるかったんだねー」


近くで、彼女の声がした。


そして、改札から出てきた。



「えっと、どうなった?」



彼女は駅中に響くほどの大声で、


「人間より改札機が賢いんだってー」



「んーと、それってどういう意味?」


一緒に帰りながら聞いた話をまとめると、彼女はちゃんとカードにチャージをしていた。


もちろん、その金額も確認していた。


でも、実際にはカードにチャージがされてなかった。



「機械だから読み取りミスとかないの」と駅員に聞いたら、



「機械だから間違えないですよ。人間の方がミスってあるでしょう?」


と言われたらしい。


そこで彼女は言い返せなくなって財布からお金を出して改札に置いて出てきた、とのこと。



わたしは「そっか」としか言えなかった。


普通に考えたら、確かに駅員の言うことが正しい。


そのときは駅員の意見に賛成だったが、、、




その3日後、わたしはまた同じ光景を見てしまう。


ガシャッ、彼女がまた改札に捕まった。


2回目。



彼女はすぐに駅員のところに行って、


「また、あんたか。ねー、カードのチャージ調べてみてよ」



駅員はカードを受け取り、確認する。


「たしかにチャージはちゃんとできてますね」



「だよね? 機械は間違いないんじゃなかったっけ?」



駅員は冷静に対応していく。


「申し訳ありません。カードの磁気の影響かもしれません。


もう一度、カードを発行しますので、この紙に住所と名前を書いて頂けますか」



彼女は、はぁーっ、とため息をつく。


でも、謝ってもらって納得した様子で、紙を受け取った。



「ごめん、少し待ってて。すぐ終わるからさー」


そう話す彼女の顔には、今度は勝ったよ、といった笑顔に満ちていた。



「あ、こっちは大丈夫」


わたしに笑みはなかった。


ガシャッと閉まったあの姿が、また何かに捕まったようにしか見えなかった。


彼女は改札から出てはダメ。


自動改札機がそれを伝えている。


そんな空想じみた思いが頭を過ぎっていた。



そして、一週間後に3回目は起こった。


ただ、これまでとは違う点がひとつあった。


彼女が先に改札に向かい、わたしはその直後だった。


例のごとく、ガシャッと鈍い音を立てて改札が閉まる。


わたしは歩いていた勢いで、彼女の背中に軽く当たった。


「ご、ごめん」



彼女はわたしの言葉には反応しなかった。


代わりにわたしの隙間をダッシュして、駅員のところに直行した。


「これないわー。ねぇ、新しいカードだし大丈夫だよね? そー言ったよね、あんた」



「えっと、言ったって? どちら様ですか?」



「はぁ、覚えてないわけ。つか、知らないふりか?」



「申し訳ありませんが、毎日、たくさんの方々が乗り降りしています。


なので、皆様のことを覚えるのは難しいですね。カードのトラブルですか?」



「は、こんなちっぽけな駅、せいぜい100人くらいの利用でしょー、嘘っぽいわ」



わたしが口をはさむ。


「でも、100人って覚えるの大変だよ? たぶん、この駅員さん最近来た人だと思うし」



わたしには改札機が変わったくらいに来た記憶があった。


だから、自動改札の点検の人かと最初は思っていた。



「え、わたしのこと覚えてるんですか?」


駅員の顔が少し緩む。



「あ、ここって他の駅員さんってみんなおじさんだったので」



私たちがそんなやり取りをしてるうちに、彼女の怒りが収まったのか表情は柔らかになっていた。



「よく覚えてたねー、もしかしてあーいったのがタイプ?」


彼女が興味深そうに質問してくる。



「ちがう、ちがう。ほんとに若い駅員って初めて見たから、覚えてただけだよ」


慌てて言い返した。



「あやしー、ま、わたしは興味ゼロだから安心して」



「だーかーら」


などと話しながら家路に向かった。




翌日、友達は学校に来なかった。


先生に理由を聞いたが知らないと言われたので、学校が終わってすぐに携帯に連絡をした。


何度かけても、でなかった。


ふと、自動改札機に捕まっていた彼女の姿が頭を過ぎった。


嫌な予感がした。



彼女の家を訪ねると、おばあちゃんがでてきて、病院にいると教えてくれた。



(病院って、やっぱり何かあったんだ)


わたしはダッシュで、教えられた病院に向かった。



病室に入るとベッドに横になっている彼女がいた。


その横にはお母さんが付き添っていた。



「あの、何があったんですか?」



お母さんは首を振りながら、


「詳しくはわからないの。昨日の夜、警察から娘さんが家の近くで倒れてるって連絡があったの。


倒れたときに頭を打っている可能性があったから、そのまま病院に入院して検査をしてね。


でも、異常はなかったわ」



わたしは、それを聞いて少しほっとしたが、すぐにお母さんから、


「ただ携帯がなくなっていたから、事件かもしれないって警察に言われて。


実はこの子、いま話せなくなってるの」



わたしの身体が固まる。


「事件? あと話せないって?」



「ずっと、駅、駅、ってうめいてるだけなのよ。駅で何かあったか知らない?」



彼女に近寄って耳を傾けてみる。



「えきぃ、、、えきぃ、、、」


小さな声で、たしかにそう呟いていた。



改札機が3度、目の前で閉まった映像がまた頭を過ぎって離れない。




もし、あのとき彼女が駅からでなかったら、こんなことにならなかった? 


でも、駅に泊まることはできないしどうすればよかったんだろう。


わたしは帰りながらずっとそのことを考えていた。



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