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異世界で姫騎士に惚れられて、なぜかインフラ整備と内政で生きていくことになった件  作者: 昼寝する亡霊


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第16話 とりあえずデカいのを基準にすれば問題ないと思う 後編

「我が商会へご訪問いただき――」

 うん。幌馬車の幅を調べるのに、なんで応接室に通されてお茶を出されないといけないんだ? 王族めんどくせぇ!

「すまないが、今日は買い物ではない。道を整備するのに、大きい荷馬車か幌馬車の幅を測りに来ただけだ」

「道……ですか?」

 そう説明すると、商人は少しだけ不思議そうな顔で聞き返してきた。


「あぁ、道を整備すれば物流の流れも良くなるし、車輪や車軸の傷みも少なくなる。すれ違うのにも、道が悪いと脱輪する場合もあるだろう? 大きな幌馬車二台分の道を造れば、確実だと思ってな」

「……確かに。すれ違うのにも大変な場所もありますし、くぼんでいて、激しく荷台が揺れる事もあるので、気を使う場所もあります。駆け出しの頃に、山道でその様な経験がありますので」

「自分はその様な事に目を付け、整備すれば国が豊かになると思っている。だから王都でも有名なこの店に伺わせてもらった」

 多少のリップサービスは必要だよね。


「それはそれは。ニワトコ様は大変御聡明であられる。商人は国の財政の要。道が良くなればそれ相応に往来も増えますからな。商人は金を数えるのが好きな卑しい奴とも言われておりますが、我々が買い付けをしなければ、香辛料やこの国で採れない食材や銅はどうなるのだって考えができてないのです」

 商人はそう言って笑い、なんか機嫌が良さそうだ。金を数える卑しい奴ってのは、ただの僻みだと思うけど。


「実際に物流が滞ると、その地域社会(コミュニティー)内で全て賄わないといけないしな」

「そうなのです。ですので私にできる事であれば、できる限りお手伝いさせていただきます」

「助かる。では早速だが、所持している荷馬車か幌馬車で、一番大きな物を見せていただきたい」

「では、こちらへどうぞ。今ご案内いたします」

 俺は少しため息を吐き、残っていたお茶を一気に飲み干し、商人の後を付いて行き、倉庫内にある幌を外してある馬車まで案内してもらった。


「基本的に馬は二頭で縦に延ばす感じか。横幅は……っと」

 俺は早速紐を当てて横幅をメモし、簡単な絵で二車線と歩行者用の図を描く。

「片側二メートル五十センチで、歩行者用が一メートルあればとりあえず十分か? そこまで馬車が行き交う事もないし、音がすれば避けるよな。最悪はみ出てもこれくらいあればすれ違いはできるだろ。ベッドとか積んでる超大型は規格外だけど、かなり少ないだろうし……。店主。この馬車の値段は?」

「はい、金貨七枚程度だったと記憶しております」

「……なら本当に、大店の商人くらいしかもてないな。母数は少な目……っと」


「ニワトコ様。ニワトコ様が道路沿いに牧場や井戸を配置させたと噂ですが、それは本当でしょうか?」

 そしてメモに軽く書き足していると、店主がそんな事を聞いてきた。

「あぁ、最初は塩を奪う盗賊をどうにかしようと思ったのだが、行き着いたのが兵士の警邏区域外を減らす目的で作った。結果的に国民が安全に休憩できる場所にもなるしな。その結果盗賊は減っていると聞いている。牧場で兵士が休んでいるのも関係があるだろうな」

 一応軍事目的の事や、牧場の住人も兵士って伏せておいた方がいいだろうな。

「おかげで我々商人も助かっております。王都周辺で盗賊が出るという噂が減ってますので」

「まだまだ数が足りない。護衛を雇う金は惜しむなよ。離れれば離れるほど危険だ」

「わかっております。盗賊は我々の敵ですから」

「国民の。だと自分は思うぞ。商人が運ぶ物資がなくなれば、最終的に困るのは国民だ。その輸送費や馬車の修繕費が抑えられれば、物が増えて物価も多少下がるし経済も回る。だからその一番下になる基礎に目を付けている。道の整備をするのに、大きな馬車の横幅って訳だ」

 俺はメモを書き終わらせ、軽く馬車の側面を軽く叩いた。


「なるほど……」

 商人は口元を押さえ、何かを考えるように呟いた。なんか思うところでもあるのだろうか?

「まぁ、助かった。今後何かあれば贔屓にさせてもらう。忙しいところ無理に訪問してすまなかった」

「すまないだなんてとんでもございません! 私の馬車が役に立ったのであれば幸いです」

 商人はペコペコとしながら頭を下げて見送ってくれたが、店の棚でも覗けば良かった気がする。




「はぁ……色々と面倒くさい」

 執務室に帰り、道路の横幅やら歩道やらを決めつつ、道具の予算とかも済ませる。

「ニワトコって自分で面倒そうな仕事作ってるわよねぇ」

 そして特に違和感なくいるロディー。自分の仕事は終わったんですか?

「いい加減な事はできないからね。あ、国民っていうか、王都の失業率ってわかる?」

「率ってのがわからないんだけど? けど、二十人に一人くらいは仕事がないかも」

「ふーん。ならもう百人くらい簡単に集まるか? 案としてとりあえず書いておくか」

 そう言って、失業者や下級区、スラムに住んでいる人の雇用も検討中っと。

「部隊の質とか落ちない? 士気も落ちそう」

「こっちは王立の会社の方。単純な肉体労働だから、働きたいけど働く場所がないって奴はどんどん来い。って方針? そうすると数日は戻ってこられないから、露店とか娼婦も必要な気がするなぁ。税金かけないとかすれば、勝手に集まってくるか?」

 少し考えながら娼婦とか言ったら、タオルが飛んできた。何でだろうか?


「ちょっと。兵士が影響受けちゃったらどうするのよ! 休暇中じゃない限り、結構規律を厳しくしてるのよ!」

 あぁ。そういう意味で……。

「兵士じゃないし、規律なんて物はほぼないだろ? 荒くれ者も来るだろうし、鬱憤は何かではらさせる必要がある。そうなるとそういうのも必要だろ? この辺は国営と民間の違いだな。野営用のテントとかもいるな。休暇のために幌馬車も必要か?」

「戻す必要あるの?」

「家に帰りたいとか色々あるだろ? 何もない場所でテント生活続けて見ろ。普段しない様なことしたいだろ? 買い物とか、甘い物とか。男だったら女とか」

 最後に女と言ったら、今度はティースプーンが飛んできたので、ペン軸で軽く弾いておく。


「別に俺が買う訳じゃないから。一般人男性的な思考で言ってるから。ってか俺がそう言う所に行った事ないの知ってるだろ」

「女の子の前でそう言う事は言わない!」

「その辺の男より強いのに良く言うなぁ……」

「心は乙女よ!」

「あー。はいはい。確かにめちゃくちゃ乙女だったね。初めての夜なんかや――」

 そう言ったら顔を真っ赤にして、ソーサーを投擲(・・)してきたので、割れない様に優しくキャッチしておく。

 狙いは正確だな。もうからかうのは止めておこう。


「あの事は、二人っきりの時でも言うなって約束したでしょ!」

「あーごめんごめん。可愛かったからちょっと調子に乗った。もう言わないよ」

「ふん、どうだか……」

「さて、和解交渉と行こう。こういうダラダラしてる時のイチャイチャ三回」

「足りないわね。夜中の主導権を握らせなさい」

 ……ふむ。それもまた一興だろうな。ってか顔を真っ赤にしながら指さしてるけど、絶対に恥ずかしがってるよね?


「いいよ。今日は全部ロディーに任せるし、俺はお姫様の言いなりだ」

「ふん。今に見てなさい。許してって言っても止めて上げないんだから!」

 そんな事を言っていたら、ティカさんがノックをして、返事も待たずに執務室に入ってきた。

「申し訳ありませんが、痴話喧嘩は寝室でお願いします。廊下まで丸聞こえでした。執事やメイドが、顔を真っ赤にしておりましたよ」

 ティカさんがそう言うと、ロディーがさらに顔を真っ赤にして口をパクパクし始めた。恥ずかしさの限界値を越えたらしい。可愛いな。


「ニワトコ様。あまりロディア様をからかわれぬ様お願いいたします」

 ティカさんの目が怖いから、もうからかうのは止めておこう

「えぇ、すみませんでした。可愛かったのでついやりすぎてしまいました」

「お気持ちはわかりますが、まだ夕食前で明るいので、お控えください」

「はい。次から気をつけます」

 そうしてティカさんは執務室から出て行ったが、ロディーは顔を真っ赤にしながら固まったままだったので、ロディーの隣に座って髪をワサワサして遊んでいたら、しばらくしてから再起動した。

 そしてグーで二の腕をドスドス叩かれたので、とりあえず笑って好きにさせておいた。

 夜? うん、色々な意味で楽しかったよ。

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