第7話 昔の囚人ってこんなもんなのか? 前編
「ねぇ、ちょっと真面目な話があるの」
荒れ地にゴミを捨てて一週間、こっちじゃそういう概念はないから七日だけど。いきなりロディアから、真面目な顔と声で、お茶を飲んでいる時にそんな事を言われた。
「俺の経験上、改まって話があると言われると、大抵ろくな話じゃない事が多いんだけれど……。まぁ言うだけならタダだし、もしかしたら真面目に聞くかもしれない。最悪いつものノリで切り出してくれた方が、まだ良かったかも。このお茶を噴き出すだけだし」
軽く牽制しつつ、ティーカップを置いてから深呼吸をして姿勢を正す。
「単刀直入と、回りくどいの。どっちがいい?」
「単刀直入に言ってから、回りくどく」
俺は一応先にどういう事なのかを聞き、詳しい説明を求める事にした。
「囚人になって欲しいの。理由は、囚人労働者の扱いの調査。この間の騎士団の会議で出た議案なんだけれど、奴隷や囚人の扱いにもそれなりの基準があるのよ。きちんと三食与えるとか、休憩や睡眠時間、労働時間外の環境。色々あるけれど、そういうのはお偉いさんが見れない場所にあるし、話しかけられないのよ。しかも視察となると数日前から情報が行くから、疲労もあまりないし血色も良い」
「抜き打ちって事か。差し詰め、俺が一般人からの婿入りで、まだ正式に結婚してないから。そして戻ってきてからの発言力もあり、改正案や書類も詳細に書ける。そして体も強いし、砦の防壁から飛び降りても平気な運動能力もある」
「最悪一人で脱出できるくらい、身体能力は高いと思ってるわ。監禁中の城から抜け出そうとしてたし」
そう言うとロディアは申し訳なさそうに本音も言ってくれた。
まぁ、できなくはないけどさ……。止めただけで。
「ごめんなさい。他の貴族やお偉いさんを、そういう風にはできないの。ニワトコなら顔もあまり割れてないし、まだ正式な王族じゃない……。帰ってきたら私の体を好きにして良いから!」
一息入れようと、お茶を口に含んだ瞬間に言われたので噴き出した。そしてアニタさんがタオルを持ってテーブルを拭き、ティカさんがロディアにハンカチを渡した。ってかいきなりは反則だろ? そりゃ噴き出すわ。
因みに二人は、お互いの後ろに控えている。コレが専属のメイドっぽいの? よくわかりません。
「理由を聞いても?」
「ほら……。ああいう場所だと鬱憤も溜まるし、女性囚人とは場所自体が別れてるから男性だけだし、色々モンモンとするでしょ? 相手が高圧的だとストレスも溜まる。ソレを発散する為の私よ。少しくらい激しくてもいいから」
俺は頭を押さえ、ため息を吐きながら首を振る。
「そういうのをぶつける手段は、いくらでもある。例え理不尽な扱いを受けても、俺はそんな事をロディアや他の女性にすると思ってるの?」
「こんなお願いをするんだから、私の初めてくらいしか、対価にならないと思って」
「それはもう予約済み。何か別な物を用意して」
「ならアルテミシアや、見習いメイド達でどう?本人も了承済み。メイドは……第二婦人になれるって事で志願者を募る」
ロディアがそう言ったら、ティカさんが倒れてアニタさんが急いで駆け寄っている。ソレを見て深いため息しか出なかった。
「だからそういうのはいいと……。アルテミシアさんにだって、婚約者とかいるだろ? 男に女をあてがうのは人と性格を見てから言ってくれ。それに人権っぽい事を話しているのに、本人がいない場所で売る様な発言はしないで。ソレこそ怒るよ?」
「ニワトコは無欲だし、我が儘も言わないし豪遊とかもしない。なら何を報酬にすればいいのかわからないのよ。あとアルは破局したわ。相手側の女癖の悪さで」
んー段々ロディアが感情的になってきたな。どうやってこの話を収めよう……。
「追々で良いさ。あー……ロディアの手作り料理。これで手を打とう。俺が潜入している間、一生懸命料理を覚えてくれ。花嫁修業ってな感じで。王族は絶対に料理なんかやらないだろう? ハンバーグと付け合わせ、そしてプリン。パンは買いに行く事も多いらしいから、キッチンの人に焼かせてもいいや」
メインにデザートだ。見た事もあるし名称も同じ。ないって事はないはず……。
そう言ったらロディアの口がどんどんヘの字になっていき、明らかに不満だとわかる。貴族女性は家事をしない事がステータスっぽかったし、王族が料理なんてもってのほかだと思う。まぁ、趣味が料理なら王族でもやるかもしれないけど。
「いいわ。ニワトコの為に、帰ってきたら暖かい手料理を振る舞って上げようじゃない!」
ロディアはやってやらぁ! 的な啖呵を切ったので、具体的に次に進めようと思う。
「よし、労働の対価は決まった。具体案はあるの?」
これで何も決まってなかったら、笑ってやる。
「とりあえず罪は強姦殺人って事で、収容所経由で鉱山行きで。そして十五日から三十日以内に強制的に視察に行き救出。ニワトコの名前は偽名で」
「待ってくれ。元の世界じゃ強姦はどこでも嫌われていて、囚人同士で殺されるか、性欲処理をさせられるまである。別の国だけど、木で作った腕くらいの張形を、尻の穴に無理矢理突っ込まれる事もある。強姦された方の苦しみを知れってね。もちろん裂けるし最悪死ぬし、突っ込まれるのはごめんだ。んー、貴族の家に盗み……は、鍵開けとかさせられそうだから、ただの殺人だけで」
「そ、そう。わかった。殺人ね」
元の世界の張形の事を言ったら、気絶から目覚めたティカさんが二回目の気絶状態になったけど、現実は非情である。
◇
さっそく翌日には、砦防衛時代に着ていたような、麻のシャツやズボンを穿き、ロディアとアルテミシアさんに見送られながら兵士に連れられて、詰め所に向かった。もちろん木製の手錠で拘束されて。
「殺人だ。理由も聞いてるし処理も済んでいる。皆と一緒に鉱山に送れ」
「了解しました!」
多分末端の兵士だし、この連れて来てくれた人が喋らなければ、問題はないな。
そして引き渡され、牢屋に入れられる時に尻に前蹴りを食らい、転がった状態で振り向くと、俺を連れてきた兵士が青い顔をしていた。
大丈夫ですよ、貴方は頼まれた仕事をしただけです。お咎めはないと思います。とりあえず通じるかわからないが、アルカイックスマイルをしておいた。
「おい、殺人だって? 殺るならもっと上手くやれよな優男」
牢屋にいた、少しだけ甘い顔をした先輩がそんな事を言ってきた。挨拶をした方がいいんだろうか?
「次があったら上手くやらせてもらいますよ。俺は棗。よろしく」
名字が植物の名前だから、偽名も似た感じで攻めてみた。
「珍しい名前だな。ジョナサンだ、よろしく」
父親はジョンなんだろうか?
「母親が遠い異国の人間でね。珍しい髪色だろ? あとそっちだけ罪状を知ってるのも不公平だ。俺にも教えてくれよ」
とりあえず仲良くはしなくても、険悪な雰囲気にならないように話は広げておく。
「泥棒みたいなもんだよ。この顔で女を騙し、寝てる間にちょこっと家の物をな。朝には俺と金目の物がなくなってるってやつだ」
「確かに泥棒だな。ヘマでもしたのか?」
「遠征中だったはずの旦那が、家の中を漁ってる時に戻って来て、俺と寝た嫁さんは泥棒って叫ぶ。そして殴られてそのままさ。そっちは?」
ジョナサンが笑顔になったら、抜けた歯があるのに笑顔で言っている。なんか締まらないな。
「仕事中体調不良で家に帰ったら、嫁が他の男と裸で寝てた。だからそのまま短刀で……だ。どうも衝動的に人を殺せる人間だったらしい。だからお前みたいなのはあまり好きじゃない。けど、あんたを恨むのは筋違いなのはわかっている。鉱山の良い噂はあまり聞かないが、がんばろうぜ」
そう言って壁際に座り、しばらくは雑談をして過ごした。
「飯だ」
詰め所の兵士が、深皿に入れた、なんか薄い泥みたいなのを床に置いた。多分脱穀してないオートミールだと思う。
「スプーンがないんだが?」
「なら食うな」
そう言って兵士は深皿を蹴り、戻っていった。ふむ。確かにこりゃ問題ありだな。ってかスプーンくらいあるだろうに。
俺は石畳の上にこぼれた、オートミールを上の方だけ啜る。うむ。煮ただけで塩味すらないな。
「おい、豚みてぇなまねはするなよ。見てるこっちが気分が悪くなる」
「すまんな。コレでも籠城戦で生き延びた経験がある。隣にいた仲間を食う前に援軍が来て、助かったからこんな事もできる。次があるから上澄みだけだが、食える時に食っとけ精神が身に付いてるんだよ」
「……すまん」
「気にすんな」
まぁ、即興で作った嘘だけど、篭城戦は本当だし。あの時に砦内菜園で芋とか作ってて良かったわ。
けど、その時の飯より酷いな。死なないようにする餌に近い。
◇
二日後。深皿から啜る食事を続け、木製の手枷にも馴れた頃。
「出ろ」
そう言われ、手枷に紐を付けられて外に出ると、なんか大きな箱馬車が止めてあった。護送車かな?
「乗れ」
ってかこの兵士は必要最低限しか喋れないのか、極力囚人と喋るなって言われてるかだな。一応情報を引き出そうと喋りかけたけど、無視されてたし。
「失礼」
んー。赤髪で人相最悪だなこりゃ。悪役○会の若手かな?
一応座る時に一声かけたけど、なるべく平穏に行きたい。俺は調査で潜り込むんだし。
「おい、お前は何をしたんだ?」
意外に口は悪くないな。
「二人殺した。詳しくは兵士が睨んでるから後にしてくれ」
馬車が動き出してから話しかけられるが、一人の兵士が御者台の方からこっちを監視してるし。
そして体感で四時間ほど走ったと思うが、執務室で見た地図に確かあったと思われる、囚人用鉱山に着いた。
丸太を組んで作られた壁に、よく見る尖った返しみたいな奴。そして雑な作りの小屋と槍を持った兵士が大量……。
映画で見た捕虜収容所っぽい。もう脳内じゃ脱走する時の音楽が流れている。
「入り口で道具を受け取って、さっさと働けクズ共!」
そう言って兵士は、馬車から降りた俺達に、いきなり鞭を振ってきた。
「おいおい、こっちは初めてなんだ。少し立ってるだけなのにひでぇな。詳しい指示くらいしてく――」
そう言った瞬間顔面に鞭を食らったので、とりあえず吹っ飛んでおく。そしたら二人に脇腹を蹴られ、もう一人が槍の石突きで頭を突いてきた。最悪死ぬなコレ。
「口答えするな!」
「クズが!」
「ここにきた時点で死んだと思え!」
「殺さない程度にしておけよ。そして飯は三日抜きだ。けど普通に働かせろ」
鞭を持った奴がそう言い、俺はしばらく蹴られ続け、無抵抗のふりをしておく。悪いが後日権力でねじ伏せさせてもらうからな。水戸の御隠居とか、徳田新○助とかみたいに!
「おいおい、最初から目を付けられて平気かよ」
心配そうにしてくれたのは、先に馬車に乗っていた赤髪の人相最悪の男だった。あの後気絶したフリをしていたら、兵士に水をぶっかけられ、頭を軽く蹴られて起こされた。
「さぁな。徹底的に反抗する気力をなくす為に、激しくしつつ、獲物を決めて見せしめにしてるんだろう。見た感じ細くて、真っ先に死にそうだからじゃないか?」
俺はモッコを担ぎ、掘り出された大きめの石を本道に運び出す作業をしている。何かの鉱石なんだろう。でもここで採れる物は頭に入っていないし、囚人って事で無意味に掘らせている訳でもないだろう。
「なら一緒に乗ってた、綺麗な顔の男はどうなんだ?」
「さぁな。夜の方で囚人に使わせるんだろ。旦那が兵士の女を狙って盗みに入る奴だ。考え方によっちゃ不倫や浮気しつつの盗みだし、その辺で強姦して金品を持って行くのと変わんねぇ。そういうのは、こういう場所じゃ嫌われてるんだろ?」
「あぁ。ここに来る前は大きい牢屋にいたが……強姦は確かに使われてたぜ」
設定を強姦にしないで良かったわ……。
◇
飯を抜かれて三日。わかった事が多くある。
まず食事は朝夕の二回。コレは鉱山に入れた囚人を昼に戻すのが面倒だからだ。なので作業が始まったら終わるまで出てこれないし、休息時間もないので水もろくに飲めない。ついでに青空食堂で木製の深皿で牢屋と同じ食事だ。
雨が降ったら食事はなし。理由は配食する兵士が濡れるからだ。まぁ、まだ雨降ってないから聞いた話だけど。その時に囚人は体を洗うらしいが、服は濡れたままだ。
病人や怪我人は放って置かれ、働かないって事で食事抜き。自力で治すか、気合いで動かないと悪循環。ここでは怪我イコール死だ。
死体は、空腹に我慢できない奴に肉として食われる。好んで食う奴もいれば、生きる為に仕方なしに食う奴もいて、便の入っている胃から大腸、足の裏くらいしか残らない。ちなみに肝臓が真っ先に消える。ってか脳はヤバイ気がする。骨は割って骨髄を吸うらしい。
食材が兵士で止まるので、囚人全員に行き渡らず、食えない奴もいる。噂だが、兵士の詰め所では毎日、食料の廃棄品が出てるらしい。
喧嘩は止めず、死人を出して口減らしもあり。なのに食事の量は同じ。
俺をボコボコにした奴は、常習的に意味もなく囚人を殴っている。
人相最悪な男は実は情に厚く、貴族で継承者争いで嘘を捏造されてここに来た。と、自称している。名前はサイモンというらしいが、自称なので俺と同じで偽名だろう。
ジョナサンは噂が広まっていたのか、兵士が流したのか知らないが、囚人用の小屋で初日の夕食後に数十人に食われて、三日目の朝には精神が崩壊していた。本当に設定が殺人で良かったわ。
まぁ、まだまだあるけど、これくらいにしておく。
「俺の飯がねぇんだが?」
「目が気にくわないって事で二日延ばす。文句はな――」
俺は気がついたら兵士を殴り飛ばしていた。
そして映画なんかで良く見るこういう時の暴動が一切なく、俺は兵士に囲まれるが、空腹でイラついてるので馬乗りになってかなり殴らせてもらった。
アジア系は飢餓に強いけど、流石に無理だわ。
袖を少し破って拳に巻き、兜を奪い取ると左手で顎紐をもって盾代わりに構え、襲いかかってくる兵士の革鎧部分を殴って痛みで悶絶させる。囚人に武器を奪われるのが不安なのか、木製の、ショートソードくらいの長さの警棒しか持っていないので、特に脅威は感じない。
どこでもいいので近い壁に向かって走り、壁を背にして二十人を痛みで動けなくしたら、とうとう槍を持った奴が現れた。
「大人しくするなら独房で勘弁してやるぞ!」
「逆に問うが、俺に槍を奪われて大勢殺されるのと、飯を食わせて大人しくなってもらうの。どっちがマシだ? ここまで来たら、もう殺さない努力とか関係ねぇぞ?」
威圧のためか兵士が大声で叫んだが、なんか負ける気がしない。全員動きが遅いし力も弱い。
そして向かいの建物の屋根に弓矢を持っている奴が現れたので、兜を捨てて足下で唸っている奴を持ち上げて盾にする。
「俺を射殺すなら覚悟しろよ? こいつはまだ息があるんだからな?」
そう言った瞬間に、矢が飛んできたので遠慮なく盾にさせてもらい、盾にしていた人間は本物の盾に格下げになった。
「おいおい仲間殺しかよ。お前等本当のクズだな! とりあえず偉い奴連れてこい!」
そう言ったにも拘らず、遠慮なく矢が飛んできたのでため息を吐く。どうしようもねぇ場所だな……。
「何を騒いでやがる!」
盾がハリネズミになった頃、俺を鞭で打った男が現れ、兵士の動きが止まった。そして今までの経緯を説明している。
「中々やるじゃねぇか。どうだ? 俺の護衛になんねぇか? 俺の権限で減刑してやるぞ」
「そう言う取引には興味がない。飯さえ食わせてくれれば、殺しや暴力の罰は受けるつもりだし、仲間に暴力を振るうつもりもない。欲を言えばこっち側でいたい」
俺は囚人側と明確にしておき、一応印象付けておく。
「残念だ……。独房に連れて行け。飯はいつも通りだ、暴れられたらかなわんからな」
「ってかお前が一番偉いのか? 勝手に減刑とか言ってるけどよ」
「あぁ、俺様がここの責任者だ。文句あるのか?」
むしろ世紀末の獄長っぽいんだよなぁ……。鞭だし。
「そうか。入所時に自己紹介されてないからわからなかったわ。んじゃ飯と手枷もってこい。食ったら独房に入る」
俺がそう言うと、責任者が近くの兵士に顎で指示すると、素早く俺に手枷を付け、冷め切った食事が運ばれてきたので、噛む必要もないので飲むように食べ、木皿を投げ捨てて、大人しく独房に連れて行かれる事にした。
「入れ」
兵士に言われ入ろうとしている所は、洞窟を掘っただけの部屋で脛まで水が溜まっていた。ドアは分厚い木材で、鍵は閂、コレもまた太いから多分普通の筋力では折れないだろう。食事を入れる小窓の場所だけ開く様になっているが、肩まで出しても閂に届かないし、そもそも手枷があるので通らない。
一応通路の明かりを取り込む穴は、数ヶ所存在している。もちろん頭は入らない。
「最悪塹壕足になって水虫とか組織傷害が出るな。それに寝れないし垂れ流し、おまけに水が冷たい。不衛生で病死だ。誰も暴動に参加しないはずだぜ」
ああ言った手前大人しく入ったが、迎えが来るまでどう過ごすか……。
とりあえず壁の角のつかめそうな岩(※1)を、力業で引っ張って崩してそこに足をかけ、壁に背中を押しつけて踏ん張る事にした。
「どこかのテレビCMで見たなコレ」
目からビームみたいなの出して、監視してる感じだしてたけど。立派な警備とか防犯の会社だし。
「頼む出してくれ! 謝る、何でもする、飯抜きでもいい! だから出してくれ!」
なんか懇願しているな。発狂気味だし、かなりきついんだろうなー。問題はどうやって寝るかだけど、壁にもたれ掛かって寝た事があるし、寝る時だけ足でもつけるか。
「うるせぇぞ! てめぇはまだ五日目だろうが!」
「うるさいぞお前等!」
別な人と兵士か。まだ五日って事は、発狂寸前の人よりは先輩って事ね。
「頼む、ここから出してくれ! ここにいるくらいなら、炭坑で飯抜き労働の方がまだマシだ!」
「貴様は後十日だ! 期限を延ばされたくないなら黙れ!」
んー。なんか本当にやばそうだ。多分出ても感染症で死ぬけどな。囚人が暴動を起こさない理由は、確実にコレで決定だな。
俺がマンガで読んだ独房より酷いし。
※1
山に付いている原石ならどんなに小さくても岩っぽい?