表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/59

第7話 昔の囚人ってこんなもんなのか? 前編

「ねぇ、ちょっと真面目な話があるの」

 荒れ地にゴミを捨てて一週間、こっちじゃそういう概念はないから七日だけど。いきなりロディアから、真面目な顔と声で、お茶を飲んでいる時にそんな事を言われた。

「俺の経験上、改まって話があると言われると、大抵ろくな話じゃない事が多いんだけれど……。まぁ言うだけならタダだし、もしかしたら真面目に聞くかもしれない。最悪いつものノリで切り出してくれた方が、まだ良かったかも。このお茶を噴き出すだけだし」

 軽く牽制しつつ、ティーカップを置いてから深呼吸をして姿勢を正す。


「単刀直入と、回りくどいの。どっちがいい?」

「単刀直入に言ってから、回りくどく」

 俺は一応先にどういう事なのかを聞き、詳しい説明を求める事にした。

「囚人になって欲しいの。理由は、囚人労働者の扱いの調査。この間の騎士団の会議で出た議案なんだけれど、奴隷や囚人の扱いにもそれなりの基準があるのよ。きちんと三食与えるとか、休憩や睡眠時間、労働時間外の環境。色々あるけれど、そういうのはお偉いさんが見れない場所にあるし、話しかけられないのよ。しかも視察となると数日前から情報が行くから、疲労もあまりないし血色も良い」

「抜き打ちって事か。差し詰め、俺が一般人からの婿入りで、まだ正式に結婚してないから。そして戻ってきてからの発言力もあり、改正案や書類も詳細に書ける。そして体も強いし、砦の防壁から飛び降りても平気な運動能力もある」

「最悪一人で脱出できるくらい、身体能力は高いと思ってるわ。監禁中の城から抜け出そうとしてたし」

 そう言うとロディアは申し訳なさそうに本音も言ってくれた。

 まぁ、できなくはないけどさ……。止めただけで。


「ごめんなさい。他の貴族やお偉いさんを、そういう風にはできないの。ニワトコなら顔もあまり割れてないし、まだ正式な王族じゃない……。帰ってきたら私の体を好きにして良いから!」

 一息入れようと、お茶を口に含んだ瞬間に言われたので噴き出した。そしてアニタさんがタオルを持ってテーブルを拭き、ティカさんがロディアにハンカチを渡した。ってかいきなりは反則だろ? そりゃ噴き出すわ。

 因みに二人は、お互いの後ろに控えている。コレが専属のメイドっぽいの? よくわかりません。


「理由を聞いても?」

「ほら……。ああいう場所だと鬱憤も溜まるし、女性囚人とは場所自体が別れてるから男性だけだし、色々モンモンとするでしょ? 相手が高圧的だとストレスも溜まる。ソレを発散する為の私よ。少しくらい激しくてもいいから」

 俺は頭を押さえ、ため息を吐きながら首を振る。


「そういうのをぶつける手段は、いくらでもある。例え理不尽な扱いを受けても、俺はそんな事をロディアや他の女性にすると思ってるの?」

「こんなお願いをするんだから、私の初めてくらいしか、対価にならないと思って」

「それはもう予約済み。何か別な物を用意して」

「ならアルテミシアや、見習いメイド達でどう?本人も了承済み。メイドは……第二婦人になれるって事で志願者を募る」

 ロディアがそう言ったら、ティカさんが倒れてアニタさんが急いで駆け寄っている。ソレを見て深いため息しか出なかった。


「だからそういうのはいいと……。アルテミシアさんにだって、婚約者とかいるだろ? 男に女をあてがうのは人と性格を見てから言ってくれ。それに人権っぽい事を話しているのに、本人がいない場所で売る様な発言はしないで。ソレこそ怒るよ?」

「ニワトコは無欲だし、我が儘も言わないし豪遊とかもしない。なら何を報酬にすればいいのかわからないのよ。あとアルは破局したわ。相手側の女癖の悪さで」

 んー段々ロディアが感情的になってきたな。どうやってこの話を収めよう……。


「追々で良いさ。あー……ロディアの手作り料理。これで手を打とう。俺が潜入している間、一生懸命料理を覚えてくれ。花嫁修業ってな感じで。王族は絶対に料理なんかやらないだろう? ハンバーグと付け合わせ、そしてプリン。パンは買いに行く事も多いらしいから、キッチンの人に焼かせてもいいや」

 メインにデザートだ。見た事もあるし名称も同じ。ないって事はないはず……。

 そう言ったらロディアの口がどんどんヘの字になっていき、明らかに不満だとわかる。貴族女性は家事をしない事がステータスっぽかったし、王族が料理なんてもってのほかだと思う。まぁ、趣味が料理なら王族でもやるかもしれないけど。


「いいわ。ニワトコの為に、帰ってきたら暖かい手料理を振る舞って上げようじゃない!」

 ロディアはやってやらぁ! 的な啖呵を切ったので、具体的に次に進めようと思う。

「よし、労働の対価は決まった。具体案はあるの?」

 これで何も決まってなかったら、笑ってやる。


「とりあえず罪は強姦殺人って事で、収容所経由で鉱山行きで。そして十五日から三十日以内に強制的に視察に行き救出。ニワトコの名前は偽名で」

「待ってくれ。元の世界じゃ強姦はどこでも嫌われていて、囚人同士で殺されるか、性欲処理をさせられるまである。別の国だけど、木で作った腕くらいの張形を、尻の穴に無理矢理突っ込まれる事もある。強姦された方の苦しみを知れってね。もちろん裂けるし最悪死ぬし、突っ込まれるのはごめんだ。んー、貴族の家に盗み……は、鍵開けとかさせられそうだから、ただの殺人だけで」

「そ、そう。わかった。殺人ね」

 元の世界の張形の事を言ったら、気絶から目覚めたティカさんが二回目の気絶状態になったけど、現実は非情である。



 さっそく翌日には、砦防衛時代に着ていたような、麻のシャツやズボンを穿き、ロディアとアルテミシアさんに見送られながら兵士に連れられて、詰め所に向かった。もちろん木製の手錠で拘束されて。

「殺人だ。理由も聞いてるし処理も済んでいる。皆と一緒に鉱山に送れ」

「了解しました!」

 多分末端の兵士だし、この連れて来てくれた人が喋らなければ、問題はないな。


 そして引き渡され、牢屋に入れられる時に尻に前蹴りを食らい、転がった状態で振り向くと、俺を連れてきた兵士が青い顔をしていた。

 大丈夫ですよ、貴方は頼まれた仕事をしただけです。お咎めはないと思います。とりあえず通じるかわからないが、アルカイックスマイルをしておいた。


「おい、殺人だって? 殺るならもっと上手くやれよな優男」

 牢屋にいた、少しだけ甘い顔をした先輩がそんな事を言ってきた。挨拶をした方がいいんだろうか?

「次があったら上手くやらせてもらいますよ。俺は(ナツメ)。よろしく」

 名字が植物の名前だから、偽名も似た感じで攻めてみた。

「珍しい名前だな。ジョナサンだ、よろしく」

 父親はジョンなんだろうか?

「母親が遠い異国の人間でね。珍しい髪色だろ? あとそっちだけ罪状を知ってるのも不公平だ。俺にも教えてくれよ」

 とりあえず仲良くはしなくても、険悪な雰囲気にならないように話は広げておく。


「泥棒みたいなもんだよ。この顔で女を騙し、寝てる間にちょこっと家の物をな。朝には俺と金目の物がなくなってるってやつだ」

「確かに泥棒だな。ヘマでもしたのか?」

「遠征中だったはずの旦那が、家の中を漁ってる時に戻って来て、俺と寝た嫁さんは泥棒って叫ぶ。そして殴られてそのままさ。そっちは?」

 ジョナサンが笑顔になったら、抜けた歯があるのに笑顔で言っている。なんか締まらないな。


「仕事中体調不良で家に帰ったら、嫁が他の男と裸で寝てた。だからそのまま短刀で……だ。どうも衝動的に人を殺せる人間だったらしい。だからお前みたいなのはあまり好きじゃない。けど、あんたを恨むのは筋違いなのはわかっている。鉱山の良い噂はあまり聞かないが、がんばろうぜ」

 そう言って壁際に座り、しばらくは雑談をして過ごした。



「飯だ」

 詰め所の兵士が、深皿に入れた、なんか薄い泥みたいなのを床に置いた。多分脱穀してないオートミールだと思う。

「スプーンがないんだが?」

「なら食うな」

 そう言って兵士は深皿を蹴り、戻っていった。ふむ。確かにこりゃ問題ありだな。ってかスプーンくらいあるだろうに。

 俺は石畳の上にこぼれた、オートミールを上の方だけ啜る。うむ。煮ただけで塩味すらないな。


「おい、豚みてぇなまねはするなよ。見てるこっちが気分が悪くなる」

「すまんな。コレでも籠城戦で生き延びた経験がある。隣にいた仲間を食う前に援軍が来て、助かったからこんな事もできる。次があるから上澄みだけだが、食える時に食っとけ精神が身に付いてるんだよ」

「……すまん」

「気にすんな」

 まぁ、即興で作った嘘だけど、篭城戦は本当だし。あの時に砦内菜園で芋とか作ってて良かったわ。

 けど、その時の飯より酷いな。死なないようにする餌に近い。



 二日後。深皿から啜る食事を続け、木製の手枷にも馴れた頃。

「出ろ」

 そう言われ、手枷に紐を付けられて外に出ると、なんか大きな箱馬車が止めてあった。護送車かな?

「乗れ」

 ってかこの兵士は必要最低限しか喋れないのか、極力囚人と喋るなって言われてるかだな。一応情報を引き出そうと喋りかけたけど、無視されてたし。


「失礼」

 んー。赤髪で人相最悪だなこりゃ。悪役○会の若手かな?

 一応座る時に一声かけたけど、なるべく平穏に行きたい。俺は調査で潜り込むんだし。

「おい、お前は何をしたんだ?」

 意外に口は悪くないな。

「二人殺した。詳しくは兵士が睨んでるから後にしてくれ」

 馬車が動き出してから話しかけられるが、一人の兵士が御者台の方からこっちを監視してるし。



 そして体感で四時間ほど走ったと思うが、執務室で見た地図に確かあったと思われる、囚人用鉱山に着いた。

 丸太を組んで作られた壁に、よく見る尖った返しみたいな奴。そして雑な作りの小屋と槍を持った兵士が大量……。

 映画で見た捕虜収容所っぽい。もう脳内じゃ脱走する時の音楽が流れている。

「入り口で道具を受け取って、さっさと働けクズ共!」

 そう言って兵士は、馬車から降りた俺達に、いきなり鞭を振ってきた。


「おいおい、こっちは初めてなんだ。少し立ってるだけなのにひでぇな。詳しい指示くらいしてく――」

 そう言った瞬間顔面に鞭を食らったので、とりあえず吹っ飛んでおく。そしたら二人に脇腹を蹴られ、もう一人が槍の石突きで頭を突いてきた。最悪死ぬなコレ。

「口答えするな!」

「クズが!」

「ここにきた時点で死んだと思え!」

「殺さない程度にしておけよ。そして飯は三日抜きだ。けど普通に働かせろ」

 鞭を持った奴がそう言い、俺はしばらく蹴られ続け、無抵抗のふりをしておく。悪いが後日権力でねじ伏せさせてもらうからな。水戸の御隠居とか、徳田新○助とかみたいに!



「おいおい、最初から目を付けられて平気かよ」

 心配そうにしてくれたのは、先に馬車に乗っていた赤髪の人相最悪の男だった。あの後気絶したフリをしていたら、兵士に水をぶっかけられ、頭を軽く蹴られて起こされた。

「さぁな。徹底的に反抗する気力をなくす為に、激しくしつつ、獲物を決めて見せしめにしてるんだろう。見た感じ細くて、真っ先に死にそうだからじゃないか?」

 俺はモッコを担ぎ、掘り出された大きめの石を本道に運び出す作業をしている。何かの鉱石なんだろう。でもここで採れる物は頭に入っていないし、囚人って事で無意味に掘らせている訳でもないだろう。


「なら一緒に乗ってた、綺麗な顔の男はどうなんだ?」

「さぁな。夜の方で囚人に使わせるんだろ。旦那が兵士の女を狙って盗みに入る奴だ。考え方によっちゃ不倫や浮気しつつの盗みだし、その辺で強姦して金品を持って行くのと変わんねぇ。そういうのは、こういう場所じゃ嫌われてるんだろ?」

「あぁ。ここに来る前は大きい牢屋にいたが……強姦は確かに使われてたぜ」

 設定を強姦にしないで良かったわ……。



 飯を抜かれて三日。わかった事が多くある。

 まず食事は朝夕の二回。コレは鉱山に入れた囚人を昼に戻すのが面倒だからだ。なので作業が始まったら終わるまで出てこれないし、休息時間もないので水もろくに飲めない。ついでに青空食堂で木製の深皿で牢屋と同じ食事だ。


 雨が降ったら食事はなし。理由は配食する兵士が濡れるからだ。まぁ、まだ雨降ってないから聞いた話だけど。その時に囚人は体を洗うらしいが、服は濡れたままだ。


 病人や怪我人は放って置かれ、働かないって事で食事抜き。自力で治すか、気合いで動かないと悪循環。ここでは怪我イコール死だ。


 死体は、空腹に我慢できない奴に肉として食われる。好んで食う奴もいれば、生きる為に仕方なしに食う奴もいて、便の入っている胃から大腸、足の裏くらいしか残らない。ちなみに肝臓が真っ先に消える。ってか脳はヤバイ気がする。骨は割って骨髄を吸うらしい。


 食材が兵士で止まるので、囚人全員に行き渡らず、食えない奴もいる。噂だが、兵士の詰め所では毎日、食料の廃棄品が出てるらしい。


 喧嘩は止めず、死人を出して口減らしもあり。なのに食事の量は同じ。


 俺をボコボコにした奴は、常習的に意味もなく囚人を殴っている。


 人相最悪な男は実は情に厚く、貴族で継承者争いで嘘を捏造されてここに来た。と、自称している。名前はサイモンというらしいが、自称なので俺と同じで偽名だろう。


 ジョナサンは噂が広まっていたのか、兵士が流したのか知らないが、囚人用の小屋で初日の夕食後に数十人に食われて、三日目の朝には精神が崩壊していた。本当に設定が殺人で良かったわ。

 まぁ、まだまだあるけど、これくらいにしておく。



「俺の飯がねぇんだが?」

「目が気にくわないって事で二日延ばす。文句はな――」

 俺は気がついたら兵士を殴り飛ばしていた。

 そして映画なんかで良く見るこういう時の暴動が一切なく、俺は兵士に囲まれるが、空腹でイラついてるので馬乗りになってかなり殴らせてもらった。

 アジア系は飢餓に強いけど、流石に無理だわ。


 袖を少し破って拳に巻き、兜を奪い取ると左手で顎紐をもって盾代わりに構え、襲いかかってくる兵士の革鎧部分を殴って痛みで悶絶させる。囚人に武器を奪われるのが不安なのか、木製の、ショートソードくらいの長さの警棒しか持っていないので、特に脅威は感じない。

 どこでもいいので近い壁に向かって走り、壁を背にして二十人を痛みで動けなくしたら、とうとう槍を持った奴が現れた。


「大人しくするなら独房で勘弁してやるぞ!」

「逆に問うが、俺に槍を奪われて大勢殺されるのと、飯を食わせて大人しくなってもらうの。どっちがマシだ? ここまで来たら、もう殺さない努力とか関係ねぇぞ?」

 威圧のためか兵士が大声で叫んだが、なんか負ける気がしない。全員動きが遅いし力も弱い。

 そして向かいの建物の屋根に弓矢を持っている奴が現れたので、兜を捨てて足下で唸っている奴を持ち上げて盾にする。


「俺を射殺すなら覚悟しろよ? こいつはまだ息があるんだからな?」

 そう言った瞬間に、矢が飛んできたので遠慮なく盾にさせてもらい、盾にしていた人間は本物の盾に格下げになった。

「おいおい仲間殺しかよ。お前等本当のクズだな! とりあえず偉い奴連れてこい!」

 そう言ったにも拘らず、遠慮なく矢が飛んできたのでため息を吐く。どうしようもねぇ場所だな……。


「何を騒いでやがる!」

 盾がハリネズミになった頃、俺を鞭で打った男が現れ、兵士の動きが止まった。そして今までの経緯を説明している。

「中々やるじゃねぇか。どうだ? 俺の護衛になんねぇか? 俺の権限で減刑してやるぞ」

「そう言う取引には興味がない。飯さえ食わせてくれれば、殺しや暴力の罰は受けるつもりだし、仲間に暴力を振るうつもりもない。欲を言えばこっち側でいたい」

 俺は囚人側と明確にしておき、一応印象付けておく。


「残念だ……。独房に連れて行け。飯はいつも通りだ、暴れられたらかなわんからな」

「ってかお前が一番偉いのか? 勝手に減刑とか言ってるけどよ」

「あぁ、俺様がここの責任者だ。文句あるのか?」

 むしろ世紀末の獄長っぽいんだよなぁ……。鞭だし。

「そうか。入所時に自己紹介されてないからわからなかったわ。んじゃ飯と手枷もってこい。食ったら独房に入る」

 俺がそう言うと、責任者が近くの兵士に顎で指示すると、素早く俺に手枷を付け、冷め切った食事が運ばれてきたので、噛む必要もないので飲むように食べ、木皿を投げ捨てて、大人しく独房に連れて行かれる事にした。


「入れ」

 兵士に言われ入ろうとしている所は、洞窟を掘っただけの部屋で(すね)まで水が溜まっていた。ドアは分厚い木材で、鍵は(かんぬき)、コレもまた太いから多分普通の筋力では折れないだろう。食事を入れる小窓の場所だけ開く様になっているが、肩まで出しても閂に届かないし、そもそも手枷があるので通らない。

 一応通路の明かりを取り込む穴は、数ヶ所存在している。もちろん頭は入らない。

「最悪塹壕足になって水虫とか組織傷害が出るな。それに寝れないし垂れ流し、おまけに水が冷たい。不衛生で病死だ。誰も暴動に参加しないはずだぜ」

 ああ言った手前大人しく入ったが、迎えが来るまでどう過ごすか……。

 とりあえず壁の角のつかめそうな岩(※1)を、力業で引っ張って崩してそこに足をかけ、壁に背中を押しつけて踏ん張る事にした。

「どこかのテレビCMで見たなコレ」

 目からビームみたいなの出して、監視してる感じだしてたけど。立派な警備とか防犯の会社だし。


「頼む出してくれ! 謝る、何でもする、飯抜きでもいい! だから出してくれ!」

 なんか懇願しているな。発狂気味だし、かなりきついんだろうなー。問題はどうやって寝るかだけど、壁にもたれ掛かって寝た事があるし、寝る時だけ足でもつけるか。

「うるせぇぞ! てめぇはまだ五日目だろうが!」

「うるさいぞお前等!」

 別な人と兵士か。まだ五日って事は、発狂寸前の人よりは先輩って事ね。


「頼む、ここから出してくれ! ここにいるくらいなら、炭坑で飯抜き労働の方がまだ(・・)マシだ!」

「貴様は後十日だ! 期限を延ばされたくないなら黙れ!」

 んー。なんか本当にやばそうだ。多分出ても感染症で死ぬけどな。囚人が暴動を起こさない理由は、確実にコレで決定だな。

 俺がマンガで読んだ独房より酷いし。

※1

山に付いている原石ならどんなに小さくても岩っぽい?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >詰め所の兵士が、深皿に入れた、なんか薄い泥みたいなのを床に置いた。多分脱穀してないオートミールだと思う。 ◇ ◇ ◇  『脱穀していないオートミール』って、畑から刈り取った燕麦を…
[一言] 大変楽しんで読ませていただいております。 一言だけ……作者様の作風なのか他の作品でも事あるごとに主人公が口に含んだお茶を吹き出す描写がありますが、あまりに頻繁に行われているので少々の違和感…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ