第一話 第五部 姉の偵察
次の日、私はいつも通り練習をしていた。今日から球数を減らして、少ない球で集中するような方針に変えた。大会が近いからが理由でもある。チームの練習も、合同練習が多くなってきた。私はブルペン投球の時間までは守備練習をしていた…。
雨宮 新太郎「今日でラストの偵察か。」
真菜「…偵察なんて入らないよ。」
雨宮「おいおい、俺たちにとってみればいるんだぜ。キャプテン、なんか言ってやってくれよ。」
岸 卓郎「まあ…真菜は入らないほど実力があるから言えるんじゃない。俺は捕手とキャプテンだから行かなきゃいけないけどな。」
真菜「……なら入らないじゃない。…帰る。」
小田島 美由紀「ちょ、ちょっと。あなたの妹もいるじゃない。見てあげようよ。」
真菜「………はぁ…。」
堀近「椎葉! ブルペンいくぞ!」
佐奈「はいっ!」
私は呼ばれるとすぐに道具置き場に移動して、ピッチャー用のグローブを用意した。そして堀近さんを呼んだ。しかし、返事がない。私はどうしたのだろうと思って見渡すと堀近さんが姉たちと喋っていた。あれは…キャプテンもいる。
岸「ということで、今日は練習見させていただきます。」
堀近「わかりました。そこのベンチに座って見学ください。」
雨宮「今年は神宮大会にいけそうなんだろ。楽しみにしてるぜ。」
堀近「おう、今年は椎葉の妹が調子良いから。優勝狙っていますよ。」
岸「そりゃ楽しみだ。神宮大会で良い試合しましょう。」
私が到着すると堀近さんが相手の選手たちと仲良く話している。でも真菜姉は全く喋っていない。やっと口を開いた。
真菜「私はこんなの見る価値なんて無いと思います。それに妹の球はたいしたことありません。」