第四話 第十八部 超えられない相手。そして決着。
私はホームランを打たれたところを見ていた。なんで…芯を外したはずなのにあそこまでとばされた…。相手のパワーが勝っていたのだろうか。それとも私の力がもう使い切ってしまったのだろうか。
真菜「よし…よし!」
私は声の聞こえる方を向いて、真菜姉がベンチ内で立ち上がってガッツポーズをとったのを見た。私はそれを見ると同時に座り込んでしまった。もう負けた。姉から点が取れるはずがない。もうどんなことを考えても同点にするための力はこっちに残っていない。もう…ダメだ。
堀近「椎葉、まだ諦めるな!!」
私は座ったまま堀近さんのほうを向いた。後ろでは雨宮さんがベースを踏んでいた。0対1、たった一点だけれども、とてつもなく大きい一点が入ってしまった。
堀近「大丈夫だ、俺たちが何とかする。」
わずかな可能性に今はかけるしかない。でも…これ以上私も投げるのはかなり辛い…。
橘田「最後まで諦めるな!」
野本「お前なら他も抑えられる!!」
周りから大きな声が聞こえてくる。味方スタンドからも大きな声が聞こえてきた。頑張れ、まだいける。私はそんな周りの声を聞いてようやく立ち上がった。まだ私にはこのチームで投げきるという仕事を果たしていない。先輩たちのためにも…最後まで投げきらないと。……思いっきり!!!
何球…投げただろうか。ベンチで座りながら投球を振り返った。ベンチの皆は一生懸命応援している。もう九回、ツーアウト。あの後は誰も塁にでれずにいた。しかも私たちの守りでは…点は取られていないものの、満塁、満塁と続いていった。それでも最後まで投げきれた。こんなに投げても、抑えても、勝てない相手はそこにいた…。それもその相手は…。
バシーーン!!!
ストライクバッターアウト!!
ゲームセット!!!
真菜「しゃああ!!」
私の姉、椎葉真菜だった。